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キャラハンと清明:結婚生活の準備編  作者: 木苺
第一章 婚約期間終盤:大詰めを迎えた新生活準備 (その1)清明とキャラハン
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コンコーネ公爵婚約者キャラハンの侍女探し②

キャラハンは、幼き頃より 己の人生においては

 観察⇒思考⇒仮説→実践→再検討・情報収集⇒再仮設→実践・・

⇒課題を設定して師を求め学び実践する

を繰り返してきた。


それゆえ 清明と婚約してからは、自分が陥りそうな過ち・結婚後の生活で起きそうなトラブルを

ある程度は予測し、それについての対策も考えながら

まじめに 清明と向き合って日々を過ごしていた。


速い話が、清明から「公爵夫人としての生活に関する話」を振られたときには

真剣に 清明の話に耳を傾け

清明の希望にそうには どうすればよいかを考え

自分にできること・できないこと。

清明の案を実行するために必要と思えることを提案したり質問してきた。


そして 出た結論


(その1)

今こそ 公的機関の人間ではなく身内として、親身に話を聞いてくれる相談相手が必要だ! 切実に!!

 それも 私の身に立って考えてくれる人が!!


 (無力な子供時代と違って、公的な地位についている今の私たちの立場上、

  公的機関の人間にプライベートな相談はできない。


  機関で話したことは、建前としての守秘義務があっても実際には

  必ず職権乱用者・無自覚逸脱者による悪意ある噂となって出回るのが必定。

  おまけに 記録が残るから 何十年もかけて年々 話した内容を知る人の数が増える一方。

  その結果、私たちの子供たちの進路にも災いが及ぶことがありうる。


  制度としての守秘義務があっても、罰則規定が穴だらけなので

  こればっかりは どうしようもない現実。

  なにしろ 王国の法制度は性善説に立っているからなぁ。


  こういう時こそ 口の堅い信頼のおける人が身近にいたらいいのに!!)

 


(その2)

私の侍女は 私が決める!

  こればっかりは 譲れない!


(その3)

清明さんって、女性の服装とか 公爵夫人の暮らしとかについての概念がおかしいのでは?? 

なんか 非現実的なことばかり言っているような気がしてきた。


 いくら公爵家といっても ここまで伯爵家や子爵家の暮らしぶりと違うのかしら??


 だって コンラート領の周辺に居る領主たちは子爵のみ。

 それに 王都では これまで公爵家御一家の姿は見たことがないから・・


一度 国王であるスカイさんに、公爵家としての社交の実態と範疇と基準をお聞きしたいなぁ・・。


と、伯爵家の孫であり 子爵家の娘として生まれ育ち、

王宮官吏であるだけでなく

タウンハウスの管理人として、子爵家一家や伯爵家一家に接する機会の多かったキャラハンは、

自分の見聞とあまりにもかけへだったことばかり言う清明の話に疑問を持ち始めた。

 



・日頃 新生活についての話し合いにおいては、なんでも清明の希望を第一に

 そこにやんわりと キャラハンとしては応じきれないことを伝える対応をしてきた彼女が、

 こと 侍女問題については、 きっぱりと 最初から、

「侍女に関しては清明の口出し無用」と宣言したことに、清明は 驚いた。


 そこで、スカイに相談し

 スカイの勧めにより、コンラッドに立ち会ってもらって、キャラハンとの侍女問題についての話し合いを進めることにした。



そしてはじまった3者面談、もとい 清明と婚約者であるキャラハンとの話し合い。


「私としては コンコーネ領に馴染んでいただくためにも

 近在の領主家の方や 私の家の者の配偶者や娘たちから

 侍女を選んでいただくのが好ましいと考えていたのですが」清明


「それは お断りします」キャラハン


「なぜ?」


「私にとって 気を遣わなければならない相手が増えるだけの結果になるからです。

 家の中にいるときくらい 私室に居るときくらい

 目が覚めた時・夜寝る前くらいは、

 私は私でありたい。他人に従いたくないのです。


 私が馴染まなければいけない人=私がその方の気に入るようにふるまわねばならない人、ですよね。


 あるいは、朝 目覚めたその時から、私のやり方を教え込まなければならない人をそばに置きたくはありません。


 私のそばに近づける人を選ぶのは、私のペースで選びます。


 召使を選べと押し付けられるのは、監視役かあるいは足手まといを押し付けられることに等しい」キャラハン


このように話しているときにキャラハンの頭の中に浮かんだ 様々な出来事・未来予想図を コンラッドは 清明に中継した。



「うわぁ~

 まさか そのような展開になるとは・・!」


清明は 自分の頭の中に送られてきた光景に絶句した。


「確かに 言われてみれば そういうことが 容易に起きるってことは わかります。


 ことばだけでは わからなかったけど、

 むしろ あなたのことばを心外に思いましたが


 こうして 映像としてその光景が送られてくれば、ありそうな展開だと納得です」

と清明は 真面目に言った。


「よかった。わかってもらえて」キャラハン


「コンラッド、私たちの話し合いに立ち会ってくださってありがとう」

清明は あらためて コンラッドの方に向き直って言った。


「まったく 世話の焼ける」

コンラッドは そっぽを向いて 鼻づらを天に向けた。


「では 侍女選びは キャラハンさんにお任せします。」清明


「ただね 紹介を頼むあてが すぐには思い浮かばないのよ。

 頑張って これから探すわ」キャラハン


「私から スカイに声をかけても良いですか?」清明


「侍女選定に関する相談ができる方へのご紹介につながるのなら・・」

やや しぶしぶと言った感じで答えるキャラハン


 (なんで こう 何でもかんでも仕切りたがるのかしら><

  スカイさんにも 国王としてのお立場がおありでしょうに。)


キャラハンの心中を、コンラッドは清明に念和で中継したあと付け加えた。

 (まったく わかったと言った舌の根も乾かぬうちから

  清明は キャラハンの侍女問題を仕切りたがりよって!

   

  こういう時は、

  『クランメンバーのよしみで、婚約者の相談相手になってもらえないとかと清明から打診してみよか?』

 と言うべきで所ではないのか!)と


(え!え! そうなのですか?)念和でコンラッドに答えた清明は 

あわてて キャラハンに向かって 言葉を足した。


「つまりその、キャラハンさんが、いろいろ困っているようだから

 一度 スカイに相談にのってもらえないか、

 クランメンバーのよしみで尋ねてみる、ということで良いですか?」


「まあ! そうしていただけると大変助かります!


 私 子爵家・伯爵家の暮らしぶりについては ある程度分かるんですけど

 王国に一つしかない公爵家の方々の社交の実際については、

 やはり王族の方の視点からのお話をお聞きする機会をいただけるなら

 ほんとに ほんとにありがたいです♡」


キャラハンは 嬉しさのにじむ声で 清明に答えた。


「その旨 俺からも伝えておこう」

コンラッドも口をはさんだ。


「ありがとう!」

キャラハンは 嬉しそうに フェンリルに抱き着いた。


それを見た清明は心の中でつぶやいた。


(はあ、相談相手になるってのはむつかしいですねぇ。

 私は もっともっと 直接彼女の力になりたいのに!

  

 それでも 大切なことは、

   私が満足できる助力ではなく

   キャラハンが安心できて、キャラハンにとって助けとなる展開

 そこをはずさないために、こうしてコンラッドが来てくれたのですから・・


 私よりもスカイの方が宛てにされているっぽいのは気に入りませんが

 はぁ 仕方ないですね。


 妻の望みをかなえる道には 

 仕事の依頼のような明瞭さがないのが困ります)


そんな清明の心の声が聞こえたコンラッドは こそっと心の中でつぶやきを清明に送った。


(お前さんには キャラハンの心の奥からの望みすら 全く見えておらんだろうに

 よく言うわ。


 それでも キャラハンが望む方向に行くことすら押しとどめて

 清明が選んだ道にひっぱりこもうとすることを、控える努力を始めただけでも

 成長したとみてやらんといかんのだろうな。)


清明は 心の中で 白狼を一刀両断にした。


それに対して コンラッドは、

白刀(はくじん)をよけて しっぽの一振りで愚か者を地平性のかなたに吹っ飛ばす白狼の映像を送り返した。


清明は わが身が海中に投げ出されアップアップするさまをリアルに体感してしまい、

あわてて神獣様コンラッドに詫びを入れた。


 恐るべし! 念話力。

  ことばや映像が頭の中に送られてきたり、読み取られるだけなく

  リアルな感覚刺激まで与えられるのであるから。


が、肝心の 清明のどこがどう至らぬかは、

いまだ 清明にはわかっていないのであった。


 ただ キャラハンに対する自分の行動が 

 ほかのクランメンバーからは 未だ及第点をもらえていないことしかわからなかった。


 さらに 悔しいことに、

 キャラハンの好意の一番は自分に向かっていることは間違いない!と信じながらも、

 キャラハンからの信頼という点では、

 自分よりは コンラッド、もしかしたらミューズやスカイの方が上にあるような気配がするのが

 気に入らぬのであった。


(まあ ミューズさんは長命なエルフなので別枠として、

 人間であるスカイに劣るところがあるとみられるのは嫌ですねぇ。


 もちろん 彼が国王として別格なのはかまいませんが。

 それに魔法に関しては私はからっきしで、彼は大魔法使いであることも認めますけど、

 それ以外の点では 負けたくないです! それに刀を持てば 私だって負けやしません!)

すみません。

 現実では ものすごく厄介且つ面倒な話し合いを、コンラッドの魔法を使って解決してしまった。(;^_^A


※次話は 明日 朝7時公開です。


※ 土日祝休日は 朝8時 

  平日は    朝7時の1回投稿です

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