悩む友人たち
清明は 不機嫌なまま帰って行った。
残されたボロンとミューズとコンラッドは、頭を抱えた。
「これ バラバラに話を聞いていたのでは ややこしくなる一方だよ。
二人一緒に事情聴取しないと」ボロン
「だけど 僕たち そこまでキャラハンと親しくないよね。
清明は僕たちに言いたい放題だけど、キャラハンは そこまで僕たちに対して気を許しているかなぁ」ミューズ
「むしろ わしは、彼女が 清明の前で涙を見せたことの方に驚いておるよ。
そこまで 彼女が 清明に対しては心を開いているということじゃ」コンラッド
「なのに 清明ときたら」溜息をつくボロン
「まさか キャラハンの涙にうろたえたあまり、
見当違いの方向に清明がつっぱしったってことは・・・」ミューズ
「あー だとしたらますます厄介だ。
彼氏、そういえば 常識がありそうでない奴だった」
がっくりとするボロン
「つまり 清明が キャラハンの涙の理由を解釈間違いしたということか?」コンラッド
「だって 清明と一緒に過ごすことが泣くほど嫌って解釈
なんか変じゃない??」ミューズ
「だが それこそ解釈違いだと 清明からは言われそうだなぁ」ボロン
「ここは ぱぱっと コンラッド先生の 脳内透視実況術の出番では??」
ミューズが コンラッドに話を振った。
「無理じゃな。
強い感情に支配されると 人の記憶はゆがむ
そして 他人の認知のゆがみを冷静に見ることはできても
自分の認知のゆがみについては、それをみせられた時に、強い感情に支配されておれば、見たものを受け入れることができないのが人間じゃ。
だから わしが何を見せても 清明の感情的解釈が勝つな」コンラッド
しばらく沈黙が続いたのち、ボロンがぽつりと言った。
「清明って ほんと寂しがり屋なんだねぇ」
「物心ついたときから 家族とは疎遠で
生まれた時から両親に庇護され細やかな配慮を受けていたとはいへ
それは あくまでも 使用人たちを通して伝えられるものであり
肉親と一緒に過ごした時間がほとんどなかったのだもの
どうしても 生々しい感情のやり取りとは無縁な育ち方をしたのだろうな、清明は。」コンラッド
「生々しすぎる親の激情、身内の欲得、周囲の負の感情にさらされて育ったキャラハンと
生々しさの無い 思いやりと配慮というクッションにくるまれて育った清明
二人とも 理性で対人関係を築こうと頑張っているカップルではあるけど
逆に言うと 生の感情を交えた交流がへたくそすぎる!
ということなんだろうか」溜息をつくボロン
「そういう解説よりも 現実をどうするかだよ」ミューズ
「それがわかれば 苦労はせんよ」コンラッド
「同感の意」ボロン
「これはもう キャラハンと清明の二人一緒に スカイのもとに経過報告に行くように勧めるよりしょうがないな」コンラッド
「うわ~ スカイに丸投げ!」ミューズ
「代案があるなら聞くぞ?」コンラッド
「代案もなし 賛否を問われても困る」ボロン
「同じく」ミューズ




