表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キャラハンと清明:結婚生活の準備編  作者: 木苺
   (その3)妻の時間・夫婦の時間
24/33

言い分の変化にも訳がある??

「婚姻後のあなたの生活をサポートする人たちのめどもついたことですし、

 いよいよ 結婚準備のための あなたの退職予定の日取りを決めるときが来ましたね。」


清明のその言葉に、キャラハンは 悩まし気な顔を向けた。


「そのことなのだけど、あなたと婚約してから 今日まで いろいろありすぎて

 私 ちょっと疲れました。


 なので 次の予定を考えるより前に 少し ぼーっとする時間が欲しいです」


「お疲れ様です。


 ならば 尚のこと 早めに退職して、コンコーネ領でのんびりされたらいかがです?」

優し気に語り掛ける清明


「お気持ちはうれしいのですが、

 私にとっては 慣れ親しんだ職場で過ごす時間が 今 一番 ホッとする時だったりして。


 未来の準備ばっかりって 案外疲れるんです」キャラハン


「そうなんですか?!

 私は あなたと一緒に結婚後の生活を考えたり準備するのが楽しみでしかたがないのに」清明


「そりゃぁ あなたは これまでのコンコーネ領での生活に、新たに私を受け入れる立場だから。


 私だって 仕事をやめて コンコーネ領にすっぽりと骨をうずめるのなら

 それはもう 思い切りよく飛び込んで そちらに行ってからチャレンジ!とばかりに考えますけど、


 清明さんは 私が 王都での会社の運営を続けながら

 私が領主婦人として コンコーネ領で暮らすことを望んだでしょう。


 だから 王都での仕事と 未知のコンコーネ領との生活をいかに両立させるかって難題で 頭が痛いのです」


キャラハンの言葉に驚く清明


「王都の仕事は 代理人に任せるのではなかったのですか?」


「会社を売却すれば、その時点で私との関係は切れます。

 だから 売った後の責任が無い分、気楽なんですよ。


 でも たとえ代理人を置くにしても 私の会社がある限り

 会社の運営の最終責任は私にかかってくるわけですし、

 それは 私の信用問題に直結するわけです。


 しかも これまでは 「王宮官吏として」の制約、それは明文化された規定でもありましたが、その範囲であれば、あとは私個人の責任でありましたけど、


 結婚後は 「コンコーネ公爵夫人・領主婦人」という二つの肩書を背負ったうえでの会社経営ですから、

それとの兼ね合いも考えながら、私個人への信用も維持していかねばならないという 未知の世界への挑戦でもあるので、ゆっくりと考える時間が欲しいのです。」キャラハン


「あなたの生真面目さには 驚きました」清明



◇ ◇


キャラハンとの逢瀬のあと、例によって例のごとく クラン仲間にぼやく清明


「私は キャラハンに良かれと思って、

 キャラハンが現在経営している会社を手放すことなく、結婚したら良いのではとアドバイスしたんですが、


 キャラハンは 会社を売却した方が気楽でよかったって 今になって言うんですよ!」


「君ねぇ、あれは アドバイスなんてかわいいものではなくて

 思いっきり キャラハンに 会社経営を続けろ~って 説得してたじゃないか」ボロン


「え~ そうですか~」清明


「あの時の会話は 僕も傍で聞いていたから 覚えてる。

 君 すごくいい人ぶって 年上らしい権威までまとって

 キャラハンに 人生の在り方を説くような感じで、会社を続けろ~って 説得してたよねぇ」ミューズ


「そりゃ 君たちへの婚約報告の宴会中での雑談でしたから・・

  私も 細かいこと覚えてませんけど

  そんな風に 傍からは見えてたんですかねぇ・・・・」清明


「僕の見解もミューズやボロンと同じ」スカイ

「わしもじゃ」コンラッド


「はぁ・・

  それにしても キャラハンが 私の意見に流されるとは 思えないんですが」清明


「僕たちへの婚約報告の宴会中での雑談なのだから

  キャラハンだって 雰囲気に流されることもあるだろ」ボロン


「というか お主の面子をたてて、しぶしぶ同意したのではないのか?」コンラッド


「というか 付き合い始めの時っていうのは、女の子はたいてい 男の言い分に従うよ。


 そして 付き合いが深くなるにつれ、本音がでてくるというか

 そんな 相手を建ててばかりはいられないっていう現実に向き合って 

 具体的な話をつめてくるか」スカイ


「女っけのない スカイから 女心を説かれるとは思いませんでした!」


「あのねぇ 僕は 王宮に居る間、女性達から見て「落としたい男 トップテン」に

 いつもはいっていたの。


 それに 僕だって 王宮に戻りたての頃は若かったからねぇ。


 相手が男性でも女性でも 人間との付き合いに興味深々だったし

 一通りのことは経験してるの!


 ただ なにかと結婚に話を持っていきたがる女の子たちに辟易して

 自分の立場を考えて 女性全般と距離を置くようになったけどね

 

『宮廷魔術師』としてのマントに身を包んで 人と距離取り出すまでは

普通の青春してたんだから! 」スカイ


「そんなぁ まさか 

 その割に 若い頃のスカイの噂 全然聞きませんけど」清明


「忘却魔法じゃよ。

 スカイが赤子の時に、人々が双子の王子のことを きれいさっぱりと忘れたり

 王宮に戻ったスカイが、「皇太子」として皆の前に姿をあらわせばすんなりとそれを受け入れ、

 さらに「皇太子」が再びあまり表に出なず 代わりに「王宮魔術師」が活躍しだせば

 あっさりとその流れにのる。

 人間とは 己の見たいものを受け入れ、面倒ごとにはかかわらないうちに その面倒な内容すらあっさりと忘れるもんじゃ。」コンラッド


「記憶操作をそんなに ちょくちょくと!」清明


「というよりも 『いらぬ争いに巻き込まれぬように 様子をうかがっておるうちにあっさりとそのことすら忘れる』という人間心理をちょいと刺激しただけじゃよ。


 記憶操作というほど大仰なものでもなければ、

 暗示ともいえぬほどのものじゃ。

 せいぜい 雰囲気づくり程度のものじゃの。」コンラッド


不審そうな顔の清明


「だって 僕の見てくれだけで ワ―キャー近づいてくるような女の子たちだもの。

 僕自身のことを 見ていたわけじゃないから

 姿形が変われば 僕の存在にぜんぜん気がつかない、

 そして ちょっと姿を見かけない期間があっただけで、ほかに気持ちがそれて そのまま忘却の彼方に、っていうくらい、その程度の付き合いだったんだよ、あの人達にとっての僕の存在は。


 だから 逆に あっさりと忘れられて 僕の方が寂しく感じたくらいだよ」スカイ


「ほう ということは 忘れて欲しくないつきあいもあったのか?」

コンラッドが 真面目な顔でスカイを見た。


「ううん。僕は ただ オロオロしていただけだから、そこまで深くかかわれなかったよ。

 ただ あれだけ 僕に積極的に話しかけてきた子たちが

 僕がマントをまとっただけで 全然僕の存在に興味を示さなくなって

 そのうち 僕のことを思い出すことすらなくなったことにびっくりしただけ。


 結局 『素敵な王子様』にまとわりついただけだったのかって点にがっくり来て 悲しくなっただけ」スカイ


「つまり 彼女たちにとっても、「気を引きたい存在」どまりだったってわけだね

 君のことは」ボロン


「そうだったみたいだね」スカイ


「そのわりに さっきは もうちょっと付き合いがあったみたいなことを言っていたような」清明


「だから 僕は 僕なりに 真剣に受け答えしていたつもりなんだけどね。

 相手の女の子たちの気持ちの変遷が激しくて

 僕が眼を回しているうちに

 あっ この状態 やばそうっていうことで 軌道修正したって感じだよ。

 だって 互いの気持ちを確認しあうよりも先に、「ただいま交際中→婚約」って流れに持っていこうという外部へのアピールとか 強引な展開方法に危険を感じたんだ。


 それでなくても 『王の息子は一人しかいない』ってことになっている状況で

 父王は、ぼくが目立てば弟の立場がなくなると 僕にあれこれ言うし

 母上は、弟だけでなく 僕のことも きちんと王の息子として表に出す時が来たと国王の前で言明するし、

 僕を王宮によびもどしたことにより両親が離婚の危機に直面したなんて、

 10代の僕にはきつい状況だったから。


 それで 僕はとりあえず 王子としておもてに出る数を控えて、王宮魔術師として活動することにしたら

 周囲の人の反応が(てのひら)がえしなんだもの、びっくりした。


 王子の服装をしても 魔術師のマントをまとっても、中身は僕で全然変わらないのにねぇー

 完全に別人扱いされて 人々の態度が違いすぎて あきれた。


しかも 今度は、国王が僕を影にして、弟を皇太子として表に出すって言い出すし、

それは 母上が ストライキで断固抗議してくれたんで

僕は かろうじて飼い殺しにされる運命を避けることができたけど・・

 なにしろ 母上の仕切りがなければ、国王は何もできない人だったから。

 母上の睨みがなければ とっくに王統は別の一族に流れて この国は完全崩壊していたんじゃないかな。


とにかく 僕が女性と継続的な真剣交際できる環境ではなかったのは事実だよ。

だから 国王になったからと言って 今更 配偶者探しをしようとは思わないわけ。


なにかのきっかけで 心惹かれる人に出会えば その時はその時だけど

わざわざ『結婚を目的とした出会い』を求める気にはなれないな」スカイ


「はぁ 軽い男女交際の話をしているのかと思ったら

 いきなり どーんと重いが話が出てきましたね。 


 こっちは キャラハンと結婚を前提とした真剣な交際で

 クラクラしはじめたって時に・・

 どうせなら こうなる前に 聞きたかった話ですね、あなたの過去もあなたの女性観も」清明


「ごめん ごめん。


 だけど 世間話のように話せる過去じゃなかったからね、僕のは。

 

 ただね 僕も いろんなカップルや いろいろな人達の動きを ずっと見てきたからさ、

 その経験から さっきの感想を言わせてもらったの。


 でも 僕の発言を君が軽く流そうとするから、そうじゃない もっと真剣に聞いて欲しいと思って

 僕の過去にも触れざるを得なかったの。

 そんな 誰彼構わず 時を選ばず言いたい話ではないからね、ぼくの過去は。


それで 話を元に戻すと、

 良家のお嬢さんっていうのは、基本的に 『男を建てろ!』と幼い時から徹底的に刷り込まれて育っているから

 最初のうちは 婚約者や恋人の意見に従うんだよ。


 ていうか 付き合い始めから自己主張の激しい女と付き合う男性って いるのかな?

 悪女に振り回されている男だって、自分では 「男を建ててもらっている」という幻想を抱いているからこそ 女の言いなりになっているわけで」スカイ


「目の前に居る人を見ずに、「自分の女」イメージを押し付けるだけの男が

 案外 コロッと 悪女に引っかかるのさ」ボロン&ミューズ


「あー もう 好きに言ってください。

 私にとっては キャラハンとこれからの話をどう進めていくかが問題なんです!」清明


「頑張ってね!」ミューズ


「知り合いの女の子が そういえばこんな風に言ってたな。

  『優しい人ほど 肝心なことことになると 自分の意見や立場を譲らないから

  何回 婚約解消しようかと思ったかわからない」って。


 それで ラブラブカップル交際10年にして やっと結婚して

 そっからあとは ずっと夫婦円満にやってるよ。


 あのカップルは 何回も別れて、別の人と付き合ったりしながら

 それでも やっぱり 元カレ・元カノがいいって思いなおして

 再び交際したりして それで 最後に 結婚したんだよ」ボロン


「それもまた すごいね」ミューズ


「節度ある交際をしているからこそ 自由恋愛万歳!って感じだね」スカイ


「彼や彼女がいるのに ちょくちょくお見合いするってパターンにありがちな話だよねぇ」ミューズ


「げっ やめてください。

 私は そういう人と関わりたくないです」清明


「まあ 恋愛話は 人それぞれ

  でも 人情の機微っていうのは 割と共通要素ありってことで」ボロン


「そういえば お主も クランに入りたての頃はずいぶんと控えめだったのに

 この頃は 言いたい放題ではないか」

清明に向かってコンラッドは言った。


「なるほど、 最初のうちは 仲良くなりたいと思うがゆえに遠慮もあるけどってやつですか。

 そう思うと キャラハンの変化も納得いくような。


 にしても 頭が痛い」清明


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ