それぞれの夜
清明は、龍の庭に行って、クラン仲間に愚痴を聞いてもらったり、有益な助言をもらったり、ついでに竹林で刀を振り回してストレスを発散したりと散々夜更かしして、コンコーネ領の屋敷にもどったら、もう 日の出前の黎明で、あたりは十分に明るかった。
といっても 日の出までは まだ1・2時間ある。
なので、ベッドに飛び込み ぐっすりと眠った。
◇
一方 キャラハンはと言えば、昨夜 清明と嫌な別れ方をしたので
ベッドに入っても落ち着かず、眠くなるまでの本でも読もうと思っても、
あいにく手元に本はなし><
仕方がないので、部屋に備え付けの非常用寝袋を取り出して、
屋上に上って、夜空を見上げながら寝転んだ。
(清明さんって 意外性に富んだ人で、
家族には マイ寝袋を配布して 寝室の備品にするとか
ユニークな発想もいっぱいあるのだけど
なんかこう 日常的な社会生活?既婚女性の生き方? そのへんについては
いったい なぜ そういう発想になるの???? って話が多くて困ってしまう。
しかも どっちかというと男尊女卑型の 私にとっては嫌な男達・苦手な人達と同じ考えを押し付け、モノ言いするから嫌い!
私のことを気遣ってくれているのはわかるんだけど
何事においても 初手の押しが強すぎるというか 自分の考えに絶対的な自信がありすぎるというか・・
一から十まで 「それちがう」って言わなければならないのって、私もつらいのよ。
しかも、穏やかなようで 結構切れやすいし 怒ると迫力あるし
もうどうしていいかわかんない
疲れる。
私自己主張するのが苦手なのに
自分の生き方にや生活について あれこれ言ってくる人を前に
自分を主張するときには、命を奪われるかもって恐怖を感じてしまうのに・・
疲れた)
そして 屋上で 浅い眠りで 眠気と悪夢のはざまでさらにいっそう疲れ果て
そうこうするうちに 空が白んできた。
「もう 灯なしでも歩けるくらい周りが明るくなってきた。
だれだろう「夜明け前は一番暗い」なんて言った人は
草木も眠る丑三つ時は、確かに「鼻をつままれてもわからない」暗さだけだけど、あれは 夜明け前ではなく真夜中だと思うのよねー。
夜明け前は 明かりなしで作業できるくらい十分に明るいのになぁ。
夏だと 夜明け前の明るさで 朝の仕事を済ませてしまうくらいなのに・・
作家さんと わたしでは 生活時間の感覚がずいぶん違うみたい。
あーでも これから一緒に暮らそうっていう人と
こんなに感覚が違っていても
しかもその上 私は 人間同士 生活感覚が違っていても当たり前だから
お互い できるだけ干渉せず、共同できるところを見つけましょうって考えなのに
清明さんは、なんでも一緒で当たり前、違う所だけ話し合って妥協点を見つけましょうって考え方だから 困る。
妥協点を見つけることそのものに無理があるからこそ、互いを尊重して 信頼して、適度に距離を置いた付き合いが必要だと思うのに・・
むつかしいなぁ」
そう 心の中でつぶやいて、
屋上で夜を過ごしたとばれたら また 起き抜けに清明にぎゃんぎゃん文句を言われる、いえ心配させてしまうから、部屋にもどろうっと、と考え
よっコラショと 起き上がり、寝室に戻った。
そして 寝室に戻っても 朝食までやることなくて暇なんで
仕方なくベッドに入ったら、ベッドの心地よさに引き込まれ 少しだけれど深い眠りに入った。
◇ ◇
というわけで その日の朝は 二人とも 少しだけ寝坊した。
清明の館の者達は、休日の朝は 10時まで起こしに来なくてよいと言われているので、二人をそっとしておいた。
日ごろ早起きの二人が 珍しく寝坊だなぁと思いながらも。




