イントロダクション:新婚さん清明が 一人で追憶に浸る時
この世界は 王国一つだけの世界。(王国民にとっては)
王国は 竜の山のある原生林を囲むドーナツ状に展開している。
王国の領地の外には荒野が広がり、そこに踏み込んで戻って来た者もいなければ
王国の外からやってきた者もいない、と王国民は信じている。
コンコーネ公爵領は
竜の山をはさんで 王都と対角線上にある
ゆえに、王都からコンコーネ領までは、馬車で1・2か月かかる。
コンコーネ領はもともとやせ地であった。
それを 代々領主であるコンコーネ公爵家が、ブドウ栽培と葡萄酒づくり、地元の土質を活かした食器の製造と販売、といった具合に殖産興業に励んで、今に至る。
しかし いかんせん、王都から見ればへき地である、コンコ―ネ領も周辺領も。
どちらかと言えば華やかさにかけ、過疎っているといえなくもない。
ゆえに 領主階級の者が結婚の際、血族結婚を避けようとすると・・
新たな出会いに乏しい地元を避け、王都まで伴侶探しに行かなければならない。
さらにまた、領地で新しい産業を興しても、大量販売で富を得ようと思えば
王都まで いかに運んで売るか?という問題にぶち当たる。
迅速に情報を得るにも発信するにも 郵便問題、
観光業を起こすにも やっぱり(お客の)移動時間の問題が・・。
当代領主である清明は、ドラゴンクラン仲間であるスカイ国王のおかげで
婚活中は スカイ国王の秘術「転移魔法」に大いに助けられた。
これは あくまでも 友人としてのスカイからの個人的な特別サービス&
コンコン会参加者への 限定特別販売品=スカイ特製転移魔法陣のおかげ。
コンコーネ領の経営に スカイ国王の魔法を頼るのはご法度。
だって 国王が一領主をひいきしては 国政が揺らぎますから。
というわけで、王都育ちのキャラハンを妻に迎えた清明は・・
普通なら 妻のホームシックを心配しなければいけないところなのだけど
婚活中に 交際相手をコンコーネ領に招いて実情を見てもらったうえで、婚約を前提とした交際に進むか否かを判断してもらい
婚約中も コンコーネ領での領主夫妻としての生活について、あれやこれやと話し合っていたので、
「どうやら 当面は キャラハンのホームシックを心配する必要はなさそうですね。
むしろ 彼女のバイタリティについていくのが大変です。」
というのが 目下の清明の感想であった。
そして 婚約期間の終盤、キャラハンをコンコーネ領に招いて新生活の準備をしたり、彼女の侍女選びに奔走した頃のことを思い出した。
※ 土日休日は 朝8時
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