表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キャラハンと清明:結婚生活の準備編  作者: 木苺
   (その2)妻の同僚(部下も含む)
19/33

歩み寄る努力

そこまで言われて 清明はさすがに焦った。

「ちょ ちょっと待ってください!

 話が飛びすぎです」


沈黙のキャラハン


「その とりあえず 今日はここまでとして

 婚約解消云々の話は 保留ということで」

清明は 席をたった。


◇ ◇

「あーもう なんで こうなるんだ?」

自室に引き上げた 清明は、ベランダに出て夜空を見上げた。


星ひとつ出ていない どんよりとした夜の空。


ふと見下ろすと キャラハンが ぽつんと庭に座り込んでいるのが見えた。


(えーい ここは 私が謝るしかしょうがないですね。

  何が何だかわからないけれど、彼女はすごく傷ついているみたいだし。


 あの人 傷つくと とげを立てるフグみたいなところがあるから

  とりあえず 謝っておきましょう)


清明は ベランダから、庭に居るキャラハンに向かって声をかけた。


「キャラハンさーん、さっきはすみませんでした。


 そんなところに居ると 風邪ひきますよ~


 今から 暖かいものをお持ちしますから、飲み物がいいですか?

  それとも 毛布がいいですか?」


キャラハンは びくっとして 上を見上げた。


「今から 部屋にもどります」

そう言って、キャラハンは 建物の方に向かった。



◇ ◇

清明は 大急ぎで階段をかけおり、キャラハンを迎えに走った。


ろうかで ばったりと清明に出会ったキャラハンは 驚いたように立ち止まった。


「ああ 良かった。すれ違わなくて」清明


「清明さんって 夜目が効くだけでなく、足も速いんですね」

少しうろたえた口調で応えるキャラハン。


「庭に居るあなたの姿が なんだか寂しそうに見えたんです。

  それで 全力で走ってきました」清明


泣きそうな顔で「ありがとう」とつぶやくキャラハン


「婚約解消はしたくないです。

 私は あなたと一緒に居たいんです。


 だけど あなたを困らせたくもないです。

 だから 考える時間を下さい。


 そのう 自分の考えのどこがおかしいのか考える時間を下さい」


清明は 膝をついて キャラハンの顔を見上げるようにして目を合わせて言った。


「私も さっきは感情的になってすみません。


 ただ どうしても我慢できなくて。

 

 女だからと見下されるのは、自分を奮い立たせて実績を上げることで対抗できます。


 でも 女だから、男にどうこうという話は、私がいくらどう頑張っても、そんな風に私を見る男の前では 意味がないのです。

 女を性的に支配できると無意識にでも思い込んでいる男は遠ざけるしか対処法がない。それが現実なんだって イヤというほど学んでいますから。


 そういう意識を持っている男は まだ ぶん殴るという手が使えなくもないですけど、それには代償が伴いますしね。


 でも 無意識にそういう考えを持っている人には ほんとに対処の仕様が無いのが現実なのです。


 だから 清明さんが そう言う男達と同じセリフを言ったのが許せなくて」


「キャラハンさんの気持ちはわかりました。

 でも 今の言葉の意味についてまでは まだ 考えが追い付かないので

 少し私に時間をください。

 キャラハンさんの考えをちゃんと受けとめられるように、

 自分の考えを再点検する時間をください。」清明


「待つのはつらいけど・・

  清明さんの気持ちを汲んで 頑張って待ちます。


 ほんとは 今すぐ逃げ出したいです。」

そう言って 涙を浮かべるキャラハン。


「すみません。」

そう言って 立ち上がった清明は キャラハンをそっと抱き寄せ、

キャラハンは 清明の腕の中で身を固くして立っていた。


(こういうとき 私のそばで 慰めてくれる人が居たら

  無理に 清明さんに慰め役をさせなくても済むのに。


 慰め役と 私の言ったことをきちんと考え受け止めてもらうことと

 その二つを 一度に両方こなせって 清明さんに求めることは

 清明さんにとって きついことだろうに。


 でも 今の私は とてもじゃないけど 平気なふりなんてできない。


 そして 「無理させてゴメン」と私がここで言ったら

 清明さんは 考えることを放棄するかもしれないから そうは言えない。)


そう思いながら キャラハンは、

「慰めようとしてくれてありがとう。

  今夜は もう遅いから おやすみなさい。


 それと 本気で 私が言ったこと 真剣に考えてくださいね。

   お願いします」


そう言って 頭を下げて、清明の横をすり抜けるようにして自室に戻った。

 (うーん なんてかわいげのないふるまいなんだろう、そんな風に思われそうだ、

  と我が身の行動を思いながら)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ