「王宮よもやま話」の記事
「王宮 よもやま話」とは、貴族や官吏が良く読むゴシップ紙である。
一応 王宮広報部門が検閲した記事が掲載されている
このペーパーに、キャラハンの離宮への参殿が取り上げられた。
その記事を要約すると 以下のとおりである。
(敬語類は 省いてある(;'∀') )
◇
母后は、息子の友人であり 現在王国内唯一の公爵家コンコーネ家当主でもある清明氏の婚約者に興味を持ち、離宮の茶会に招いた。
その婚約者とは、キャラハン・テクノクラート子爵位継承者である。
彼女は、誠実かつ優秀な官吏であるとともに、
「キャラハンタウンハウス管理会社」社長でもある。
この管理会社は、彼女が王都官吏として勤めるにあたって居住することになったタウンハウスの管理組合長を務めた経験を発展させたものであるため、官庁からも正式に兼業許可を得て設立したものである。
清明氏とキャラハン嬢との出会いは、
スカイ国王肝入りの大縁談会であるコンコン会であった。
公爵は、結婚後はパートナーと共に コンコーネ領都で暮らし、領地の発展にさらなる尽力をしたいと考えていた。
しかし 誰もが知るように、公爵領は 王都から最も遠い地にある。
それゆえ 清明氏は 婚約を前提としたお付き合いを開始する前に、まずは自領での暮らしを知ってもらいたいと
コンコン会で出会った複数の女性をコンコーネ領に招待した。
その招待旅行の際、キャラハン嬢は現地の反物にいたく興味を惹かれ、さっそく晩餐時のドレスにアレンジして出席されたとのこと。
その斬新なファッションセンスに同席者たちは感銘を受けたそうである。
その後、キャラハン嬢と清明氏との仲は深まり、二人は婚約に至った。
そのような経緯を踏まえ、エリザベス母后は、キャラハンを茶会に招待するにあたり、
コンコーネ産の反物を使ったニューファッションの展覧と
キャラハン嬢がデザインした服の持参を要望した。
キャラハンは、幅広の長い布を体に巻き付けてドレスとして着こなすという斬新なスタイルで参殿した。
そのうえで、茶会での作法は申し分なく、
エリザベス母后は、キャラハン・テクノクラート子爵位継承者の教養の深さ・所作の美しさ・有識故実に関する知識の確かさを高く評価し、
コンコーネ公爵との婚姻後のできるだけ早い時期に、王宮節句会を主担するようにキャラハン嬢に命じたとのことである。
さらに 茶会終了後、母后は ご自身に仕える侍女たちに、キャラハンが持参したコンコーネ産の反物を着つけるように命じた。
布をまとう女性の年齢・体形を問わず、さまざまな色・柄・織の布を巻き付ける技法の巧みさ。
さらに、女性が安全かつ優美に馬にまたがることができるようにとデザインされた乗馬服。
そのいずれもが、その場で試着した女性達のみならず
新しいファッションに身を包んだ女性達が着心地を確かめるために離宮内を散歩した姿を目にした多くの者たちの心をとらえたそうだ。
母后をはじめとする離宮内に居た多くの女性達が、
キャラハン嬢のデザインした服やコンコーネ産の反物の購入を希望したが、
王族へのわいろ禁止規定やコンコン会の規約を鑑み
それらの贈呈及び販売は、見送られた。
というのも コンコン会は婚活目的の男女の出会いの場を用意するための会であり、商談禁止・就活厳禁だからだ。
それゆえ、スカイ国王の親友でありクラン仲間でもあるコンコーネ公爵清明氏が、
コンコン会で出会ったキャラハン嬢に、自領の特産品を売りさばかせたり
公爵の婚約者であるキャラハン嬢が、コンコーネ産の布を使った製品を扱う商会を新規に建てるわけにはいかなかったのだ。
なんと 順法精神が高く配慮の行き届いたカップルであろうか!
コンコーネ公爵も またその婚約者であるキャラハン嬢も!
もちろん、両者の婚姻後であれば、問題はない。
新婚夫婦による 領地経営の手腕に期待したい。
キャラハン・テクノクラート子爵位継承者は、
コンコーネ公爵清明氏の希望により、
婚姻後は コンコーネ領に転居して、そこで夫とともに
公爵領の発展に尽力する予定である。
そのため、現在、キャラハン氏は、彼女と一緒にコンコーネ領に引っ越し 彼女に仕える秘書及び侍女を広く募集中であるとのことだ。詳細は xxへ。
◇
といった具合に、大変好意的な記事を、「王宮よもやま話」は掲載した。
今回の投稿はここまです。
2章がまとまったら、公開を再開します。
しばらくお待ちいただけたら幸いです。
2章は コンコーネ領に行って、清明とキャラハンそれぞれの部下たちと?部下たちが?
ワイワイやる予定です。




