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プロローグ「動画作成中の自室にて」


 作戦会議室として機能している自室にて、優利ユウリはパソコンに向き合っている。背後には連日の疲労によって屍のようになっている男二人がいるのだが、今は労っている余裕もないのでスルーだ。

「あー、自己紹介文ってマジ面倒やな。リアルなんはいくらでもエピソード絡めて言えっけど、動画内で身バレせん程度の紹介って、正直当たり障りのないもんしかでけんぞ」

 唸りながらパソコンの前で腕組みをしたら、背後の屍の一人から返答があった。まだ意識があったのか。昨夜もけっこう“激しかった”から、てっきり寝ていると思っていたのに。

「とりあえず“出せへん”情報も含めて箇条書きしてみて、そっから拾ってったらー?」

「……それでいくかー。待ってろ、ちょっと書き出すわ」

 返事よりも先に手を動かして、動画に出演する三人分の情報を箇条書きにしてパソコンに入力していく。


 『優利』・・・彼女とは長続きしない遊び人。硬派っぽく見えるが本質的にはクズ男。27歳の営業職。バイセクシャルとまではいかないが、仲が良い男性相手とはヤれる。本当はタチしかしたくないけど拓真相手だとネコも許してる。自室での配信のため、新たに買い揃える機材や日程調整が気になって仕方がない。


 『拓真』・・・バイセクシャルの遊び人。チャラついた格好をしていて遊び方も性格も派手。24歳の営業職。世渡りが上手いクズ。バイでリバのなんでもありのド変態。三人で話している時はネコ目線でいることが多い。ゲーム配信や漫画といったサブカル系に最近凝っていて、主に情報収集を担当する。語尾が伸び気味。


 『一希』・・・拓真と同い年。バイセクシャルだけどどちらかというと男の方が好き。“組”から任された怪しい会社の経営者。硬派、だけど本質的にはクズ。バリタチ。ネット関係のことに関しては疎い。普段は口数少な目。三人での行動時の足は一希のセカンドカー<ドノーマルの軽>になることが多い。


 全然動画に関係のないパーソナルな情報ばかりになってしまって噴き出す優利に、屍二人が訝し気に身体を起こした気配を察する。

「優利くんどしたーん?」

「おい、いくら“出さへん状態”やからって、俺らのことボロカス書いとるんやろ? 見せろって」

「大丈夫や。俺自身のこともちゃんと『クズ』って表現しとるわ」

 後ろを振り返ってそう言い笑ってやると、二人からも同意の笑いが返ってきた。

「僕のこともクズって書いてるんー? 浮気も大好物な貞操観念ゼロ男ってー」

「こいつと同レベルでクズ扱いされるん不本意やな。ま、ええんやけど」

 そんなことを言いながら、二人の表情は笑ったまま。

「まあまあ、俺らは仲良しクズ仲間ってことで。さすがにこれは動画内では浮気も仕事も言えんから、仲良しでちゃんとBL……激甘純愛してるとこだけ拾って……」

「ネコかタチかくらいは書くやろー?」

「それはしばらくは明記せんとこか思てる。誰と誰をカップリングするかは、視聴者の自由やし」

「優利くん寛大ー」

 完全に起き上がった気配の数秒後、肩に回される腕を引き剥がし、優利は箇条書きの作業を続けた。


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