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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
三章

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第99話 貴族になる為の条件

「何かな? ボイル伯爵」


 全員の視線がダグラスさんへと集中する。


「まさか、自分のところの孫娘と婚姻を進めているとか言い出したりするつもりか?」


「クラウスを独り占めはさせんぞ?」


 三人に睨まれても涼しい顔をするダグラスさん。豪胆なことだ……。


「それはない」


 ダグラスさんは三人の言葉を否定すると俺を見て言った。


「クラウスの今後については本人が決めるべきだ」


 あくまで中立の立場を貫き、俺の意思を優先してくれている。


「クラウスが今言ってくれた言葉は、国を統治する者としてとても嬉しいものだ。こいつらが先走らなければ、余も宝石のように大切に育ててきた王女を差し出す提案をしてしまいそうだった」


「……ははは」


 この場を和ませる冗談と受け取り笑っておくことにする。国王が一歩引いた態度を取ることで他の三人を引き下がらせる作戦なのだろう。


「だが、この国に残ってくれるというのなら、なおのこと権力を持つべきだろう」


 ドワイトさんが俺を諭すように告げる。


「そうですな、今はこの場にいる人間で周囲を押さえ込んでいますが、いずれ無視してちょっかいを出す人間も出てくる。争いごとの際、本人が自分を守れる力があるのとないのでは随分と違いますからな」


 先程まで話を聞いていたマルグリッドさんがそれに同意した。


 実際、俺はよく守られている方だと思う。


 国家冒険者にくる護衛依頼や危険アイテムの収集依頼についてはマルグリッドさんが断ってくれているし、テイマーギルドの方ではレブラントさんが奮闘してくれている。


 他の三人も宮廷内の反テイマー派に睨みを効かせており、俺やセリアや従魔に危害が加わらないように牽制してくれていた。


 そんな彼らが危機感を持つくらいなので、俺は権力を持つべきなのだろう。


「何か貴族に取り立てる目安のようなモノが欲しいな……」


 このままでは話が纏まらないと思ったのか、キングス四世は口元に手を当て考え始める。


 俺たちは数分の間口を閉じると彼の思考を邪魔しないようにした。

 やがて考えが纏まったのか、彼はダグラスさんに視線を向けた。


「リントを叙勲した際、彼が率いていた従魔は何匹だったかな?」


「公式の記録 によりますと、確か十匹だったかと」


 実家のことだからか間をおかずに答えるダグラスさん。その質問にどのような意味があるのだろうか?


「では、クラウス」


 キングス四世は俺の名を呼ぶ。


「はい!」


「お前が従魔を十匹にしたら貴族にするということでどうだ?」


 俺が返事をすると、彼は貴族になるための条件を示した。


「どう……と、言われましても?」


 今後も従魔が増えることが前提になっており困惑している。俺自身、自分の潜在能力を完全に把握できているわけではないのだ。信頼しているかのような目を向けられると何と答えて良いかわからなくなる。


「それならば、周囲にも示しがつきますね」


 ニコラスさんが名案とばかりに国王の条件を支持する。


「そんなことより部隊に入った方がいいと思うが……」


 ドワイトさんはまだ俺を引き入れることを諦めていないらしい。


「他国につけ入る隙が残る気もしますが、しかたありますまい」


 エグゼビアさんも肯定的だし、ダグラスさんとマルグリッドさんも落としどころと見て頷いている。


「どうだ?」


 国王は再度俺に問うてきた。ここで断っても代案が出せるわけでもない。全員が納得している以上この条件がベストと判断する。


「わかりました。その条件でお願いします」


 俺は溜息を吐いた。






 長かった会議が終わり、俺はマルグリッドさんと一緒に退城した。

 ステシア王国の重鎮と会うということもあってかなり緊張していたのだが、国王を含め皆好意的だったのでホッとする。


「その様子だと今後も会議に参加させても平気そうだな?」


 そんな俺の様子を見て、マルグリッドさんが笑みを浮かべからかってくる。


「いやいや、流石に疲れましたって」


 いくら好意的だとは言っても、偉い人たちに囲まれて精神的疲労が溜まらないわけがない。これだったらコカトリス討伐の方がまだ楽なくらいだ。


「情けない。今後は彼らの護衛任務をやってもらうことになるかもしれんのだぞ?」


 マルグリッドさんは俺が所属している国家冒険者機構の責任者だ。俺が受ける仕事については内容を彼に一任している。

 現時点で受ける依頼は後見人である彼らの護衛ということになる。


「それにしても、会議の途中から明らかに皆さん目の色が変わっていましたよね?」


 最初は後見人として節度ある距離を取っていただけに、豹変した理由が気になる。俺が首を傾げていると、頭に触れられる気配がした。


「マルグリッドさん?」


 触れてきたのはマルグリッドさんだ。知り合ってから結構経ったが、彼がこのような行動をしたのは初めてではなかろうか?


 俺が不思議そうに見ていると、彼は強く手を動かし俺の髪をクシャクシャにした。


「わっ! な、何をするんですか?」


 城に入るためにセットしてもらった髪型が無茶苦茶になった。


「まったく、お前というやつは……」


 呆れたような声を出すマルグリッドさん。


「本当に人たらしだな」


 意味不明な言いがかりをつけられた。


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