第87話 討伐前日
「それじゃあ、これよりこの廃村を拠点にしてコカトリスを討伐する」
コカトリスと遭遇してから数日が経ち、俺たちは辺境の廃村へと到着した。
「ここに来るまでに調査隊が発見したコカトリスの一部を討伐することができた」
皆、リーダーであるパリスさんの言葉に耳を傾けている。
「だが、調査隊の目撃証言によると、まだ十数匹のコカトリスが近隣に潜伏しているはずだ」
ここからが本番ということで、皆表情を引き締めている。
「明日以降、コカトリスが巣を作りそうな場所を回ることになるので、今日はゆっくり休むように」
一瞬の判断ミスが死に直結する。俺たちは万全の状態を整えるため身体を休めることにした。
「ふぅ、やっとベッドで眠れる」
リッツさんはベッドに腰掛けると靴を脱ぎ楽な姿勢をする。
「リッツ。埃が立つでしょ! 静かに座りなさいよ!」
「なんだよ、掃除もされてないんだから仕方ないだろ!」
解散となった後、俺たちはパーティ単位で廃屋に泊まることになった。
この村は街道から離れた場所にある不便さから廃村となっており誰も住んでいない。
村の住人は近くの街に引っ越しているのだが、建物だけが残っている状況だ。
「まあまあ、俺が綺麗にしますから」
浄化の炎でベッドの埃を燃やしておく。ベッド自体ボロいので安眠できないが少しはましだろう。
「それより、明日の話をする」
そんな中、キャロルは淡々とした声で俺たちを呼び集めた。テーブルの上に地図を広げる。
「コカトリスが主に生息していそうな箇所が全部で三つ。ウチらはこの場所を任された」
それは荒野と森の中間のような場所だった。
少し進めば森に入るし、開けた場所は岩らだけの……まさにコカトリスが巣を作るのには最適な場所だ。
他には小川付近や、森の中など、村から等距離の場所がいくつか候補に挙げられている。
「前衛はクラウスとウチ。ハンナとリッツはウチらの側面を狙うコカトリスの牽制」
数日前の戦闘で感覚はつかんでいる。誰からも文句はでなかった。
「それじゃあ、ご飯にしよ」
一瞬、仕事を纏める姿が格好良く映ったキャロルだが、次の瞬間元に戻っていた。
今では腹を鳴らし出会った時のように何を考えているのかわからない思考をしている。
「まあ、とにかくだ! 石化さえ気をつければそんな強いモンスターでもない。さっさと討伐して王都に戻ろうぜ」
「リッツにしてはいいこと言うじゃん」
リッツさんの言葉で盛り上がり、俺たちは休息を取ると翌日の狩りに備えた。




