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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
二章

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第84話 討伐対象はコカトリス

「それじゃあ、セリア。屋敷の管理をよろしくな」


「兄さんも気を付けてください」


 討伐依頼に参加を表明してから数日が経ち、本日はいよいよ出発の日となった。


 相手がコカトリスということもあってか、セリアは不安そうな顔をしている。


「フェニとパープルもセリアのいうことをきちんと聞くんだぞ?」


『ピィィィーン!』


『…………#』


 そんなセリアの頭を撫でながら俺は二匹に声を掛ける。


 二匹は反応すると俺に擦り寄ってきた。


「ロック、よろしく頼むぞ?」


『…………(任)』


 今回俺が連れて行く従魔はロックになる。元々石でできているのでコカトリスの石化攻撃を無効化することができるので、要所で活躍してくれると期待している。


 しばらくの間、セリアと二匹の頭を撫で、そろそろ出発しなければならなくなり屋敷の門を潜ると、門の前にロレインが立っていた。


「クラウス様」


「ロレイン。どうして?」


「クラウス様がコカトリスの討伐に行かれるとお聞きしましたので……」


 ロレインは灰色の液体が入った瓶を渡してきた。


「これは?」


「石化解除ポーションです」


「いいのか?」


「勿論、クラウス様ならコカトリスに後れを取るとは思いませんが、万が一を考えたら持っておいた方が良いかと」


 一応、今回の依頼で国家冒険者側もいくつか用意しているはずなのだが、それらは纏めて管理するということなので、現場に持ち出せるのは大きい。


「それにしたって貴重品だったろ?」


 マルグリッドさんがかき集めても十本も手に入らなかった。それだけ在庫が不足しているのがわかる。


「当家の秘蔵です」


 すると、ロレインは悪戯に笑って見せた。


「いざという時は使っていただいて構いませんが、無事に戻ってきたら返却いただけると嬉しいです。でなければお叱りを受けますので」


 そう告げるロレインに、


「ああ、その時はコカトリスの爪と合わせて返却させてもらうよ」


 正直なところ助かる。何かのおりに攻撃を受けてしまい石像が破損すれば死亡となる。その場で治癒できるなら生存率は格段に跳ね上がるのだ。


「戻られたらまたパーティーをしましょう」


 名残惜しそうに手を離したロレインは、


「御武運をお祈りしています」


 そう言って笑って見せるのだった。







 人一人すれ違わない街道を馬車で移動している。


 現在、俺たちは問題が起きた街道に向かっているのだが、その場所が王都から二週間程進んだ所にあるからだ。


 コカトリスを討伐し、素材で石化解除ポーションを作製する。そのためにはできるだけ多くの素材を王都に持ち帰る必要がある。


 この場にいるのは全員が最難関と言われる試験を乗り越えた猛者なのだが、コカトリスの石化攻撃のことを考えると皆緊張の表情を浮かべている。


 何せ、石化に関しては熟練の国家冒険者でも防ぎようがないのだから……。


「……退屈」


 そんな中、隣を歩くキャロルは眠たげに目を細め欠伸をしていた。


 言葉通り退屈そうに尻尾をゆらゆらと揺らしている。


「モンスターが出ないんだから歓迎するところじゃないか?」


 平和なのはいいことだ。主要な街道ではモンスターの目撃情報も少ないのでスムーズに進行することができる。


「ウチは身体を動かしたい」


 ただじっと進行しているのが我慢できないのか、キャロルは不満げだ。


「せめてフェニかパープルがいたらいいのに……」


 キャロルは二匹のことが気に入っている。ここにいたら抱きかかえていたことだろう。


「仕方ないさ、あの二匹は今回の依頼と相性が悪い」


 コカトリスの石化攻撃も怖いし、何より逃げられて討伐にならないと困る。


「まあまあ、二人とも。そんな辛気臭い顔するなって」


 俺たちが話していると、リッツさんが明るい調子で話し掛けてきた。他の人間と違って彼は左程緊張していない様子だ。


「リッツさんは今回の地方に行ったことありますか?」


 せっかくなので今向かっている地方の地理を頭に入れておこうと考える。


「まあな、これでも国家冒険者になる前は国中を飛び回ってたから、国内なら大抵の場所に行ったことがある」


「どんなところですか?」


 少しでも現場の空気を知っておきたくて、自然と質問をしてしまった。


「自然が多くて飯も美味い良い場所だったぞ」


 ところが、天然なのか見当はずれな答えを返してきた。


「リッツに聞いても無駄よ。料理のことしか覚えてないから」


 ハンナさんが呆れた様子を見せる。


「リッツ、その話詳しく」


 キャロルは瞼をパッチリ開くと、赤い瞳をリッツさんに向けた。


「俺らのリーダー大丈夫なのかよ?」


 俺とリッツさんとハンナさんは、キャロルをリーダーとした四人組で今後も行動をともにする。リッツさんは食欲旺盛なキャロルの態度が気になったようだ。


「大丈夫だから!」


「うん?」


 キャロルは続ける。


「コカトリスは絶対にウチが倒すから」


 虚仮で言っているわけではないのが分かったのか、全員が黙り込んだ。


「それにしても……」


「どうしたんですか?」


 リッツさんがアゴに手を当て真剣な表情を浮かべていた。


「この時期にこの街道でまったくモンスターを見ないのは不自然だと思ってな」


 リッツさんは言葉を続ける。


「近くに林があり小川もあって生き物が沢山いる。こういう場所にはゴブリンやコボルトが生息していてもおかしくないんだが」


「今回の討伐依頼の報酬も良いけど、肩慣らしがてら少しは駄賃も稼いでおきたいもんね」


 リッツさんとハンナさんの会話に、


「何かが起きているのか?」


 俺は嫌な予感をさせるのだった。





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