第77話 パーティー代行依頼
「それで、依頼というのは?」
改めて店の奥へ案内され打ち合わせをすることになった。
「実は、今度近隣住人を呼んでパーティーをしなくてはいけなくて、そのための仕切りをしてくれる人を探しているんです」
俺は現状を彼に説明するのだが……。
「なるほど、国家冒険者の……これは大きな仕事になりそうだ」
「知ってるんですか?」
「知ってるも何も、国家冒険者は国民の憧れでもあるからな、田舎街から出てきて貴重なモンスターを従魔に従え最短で国家冒険者になる。この成功譚は百年前のリンドと並ぶのではないかと言われている」
片やレッドドラゴン、片やフェニックスということでそんな凄い伝説の人物と並べて語られて気まずい。
「懇意になりたい家は多く、その伝手は後見人によって守られている。国中の貴族が注目するパーティーを仕切ったとなれば、うちの商会の評判も上がるに違いない」
「それじゃあ、引き受けてもらえるんですか?」
俺の言葉に彼は頷いた。
まだ引き受けてくれると決まっただけなのに俺はホッとする。
慣れない仕事を振られてしまいどうして良いかわからなかったからだ。
「それじゃあ、詳細に関しては後日詰めるとして……」
ルシア父親と話ていると、
「お父さん、私も手伝っていいかな?」
傍で話を聞いていたルシアが父親にそういった。
「まあ、構わないぞ」
父親はあっさりと許可を出し頷いた。
「いや、忙しいんじゃないのか?」
俺は彼女が学校に通っている点について指摘をする。ステシア王立アカデミーといえば国でトップの学校だ。学業の難易度も高いし手を抜ける部分ではない。
「平気だよ、こう見えて魔導師学科で三位なんだし」
ところが、ルシアは笑顔でピースサインを作ると俺に言ってきた。
「私は家業を継ぐつもりだから、今のうちに経験を積んでおきたいんだよ」
ルシアは胸に手を当てると、自分の事情を余すことなく伝えてきた。
確かに申し出はありがたいのだが、ここで甘えるわけにもいかない。そう考えていると……。
「俺もきっちり見るし、娘の分の人件費はもらわない。頼めないか?」
父親からも頼まれてしまえば断ることができない。
ルシアが潤んだ瞳を俺に向けており、溜息を吐き覚悟を決める。
「わかりました。それでお願いします」
「やった! ありがとう、クラウス君!」
嬉しそうに飛び跳ねるルシア。
「それじゃあ、早速クラウス君の家に行こうよ!」
彼女は間を置くことなく俺の手を掴むと家に行こうと言い出す。
「いきなり?」
「だって、パーティーをやるには屋敷の場所や敷地についても色々把握したいじゃん?」
「……まあそれはそうか」
「ルシア、ちゃんと顧客の希望を聞いてプランを組むんだぞ」
父親も既にルシアを送り出す気のようだ。
「それじゃあ、お父さん。私出掛けてくるから」
一旦部屋の奥に行きポシェットを取り出てきた。
俺はルシアを連れて家に戻ることになった。




