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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
二章

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第74話 明るい未来

「皆さん、食事の用意ができました」


 夕方になり、庭の一角でセリアが肉を焼き始めた。


 集まった人間の数が多いので凝った料理をする時間もなく、簡単に食べられる物が良いと判断したのだ。


 とはいえ、ただの肉ではなくサプライズが仕込まれている。

 以前、うっかりと焼く前に生肉を落としてしまったことがあった。


 その時に汚れを落とすため【浄化の炎】を使ったところ、中に入り込んでいる血なども浄化できたのだ。


 それだけで普段に比べて極上の味に変わっているので、皆もきっと気に入るだろう。


 ちなみに途中でマルグリッドさんの使いが大量の肉を持ってきた。どうやら、キャロルをたきつけた責任らしく、随分と高そうな肉だったので一緒に出している。


 バーベキュー台の傍ではテイマーギルドの職員やレブラントさん、キャロルも集まり肉を食べている。


 その表情を見ると、今回の振る舞いが正解だったと確信した。


「しかし、もっと早く頼めばよかったな……」


 俺は皆が料理を食べているのを見ながら、庭の様子を確認する。


 雑草が生えて荒れ果てていた庭からはすっかり草がなくなっている。


 ゴールデンゴートの食べっぷりはすさまじく、今日だけでかなり作業が進んでいた。これならば数日で片付くと考え、周囲の会話に耳を傾ける。


 バーベキュー台の前では一人のテイマーがセリアに話し掛けていた。


「ゴールデンゴートの乳にそんな効果があるんですねぇ」


「ああ、美容と健康にも良いし栄養価も高い。野生のゴールデンゴートから乳を搾るのは現実的ではないから量も確保できないので、一部の高級レストランにしか卸していないんだ」


 俺以外のテイマーが従魔と生活している話を聞けるのは嬉しい。


「すこし、撫でさせてもらってもいいですか?」


「ああ、構わないよ。アゴの裏を撫でられるのがお気に入りなんだ。優しくしてやってくれ」


 近くにいるテイマーがそう答えると、セリアはゴールデンゴートのアゴを撫でてやる。


『ミィィィィィィ』


「きゃっ!」


 ゴールデンゴートは気持ちよさそうな声で鳴くと彼女に身体を預けてきた。


「ゴールデンゴートって可愛いですね」


 俺は二人に近付き声を掛けた。


 身体をこすりつけてくるゴールデンゴートを見ていると心が穏やかになるのを感じる。本来は敵対しているモンスターと共存し、信頼関係を築いている。


「ああ、俺もそう思う。従魔と暮らす生活は大変でもあるが、この可愛さの前には些細なことだよな」


 テイマーは優しい表情を浮かべゴールデンゴートの頭を撫でた。従魔とともに過ごす幸せをテイマーは皆知っているのだ。

 俺がもっと多くの人間にこの幸せな光景を知って欲しいと考えていると……。


「テイマーギルドの創設者リント・デ・ボイルは、人がモンスターと共存できる道を示した。モンスターを従魔にする方法を伝え、こうして国に影響を与える規模までギルドは成長した」


 レブラントさんが来て俺たちに語り掛けてくる。


「次は我々が民衆にモンスターと共存できることを伝えていかなければならない。今日のように日常生活に必要な仕事をテイマーギルドが請け負い、従魔が危険な存在ではないと知ってもらわなければ」


 それこそが今日こうしてテイマーギルドのメンバーが集まった理由なのだろうか?


 従魔の有用性を示しつつ、周囲への理解を浸透させる。レブラントさんもテイマーギルドのために色々考えているのだろう。


「それが……俺たちのテイマーの使命、か」


 いつだったか、ダグラスさんが従魔はただの人に従うモンスターではないと言っていたのを思い出す。


 彼は俺に、従魔に頼りきりになるなと伝えたかったのではないだろうか?


 俺はレブラントさんの目を見る。


「その考えに賛成です」


 こうして他のテイマーと話し、まだ見たことがない従魔と触れ合うことができた。


 これから先、俺はテイマーとして色んな人に出会うと思う。

 その時に、今回の様に従魔が脅威ではない。人とモンスターは共存できると伝えなければならない。


「いつか、家庭で小型の従魔を飼うのが当たり前になるといいのにな」


 テイマーさんの言葉に、庭で子どもと従魔が駆け回る光景が浮かぶ。


 そんな未来がくればいいのにと、俺もレブラントさんも思うのだった。

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