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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
二章

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第71話 錬金術師ギルド見学⑦

「それではそちらの方に素材をセットしてください」


「こ、こうでしょうか?」


 ロレインの指示の下、グールの粉をセットするセリア。


 妹は魔導具の操作方法についてロレインに聞きながら準備をしていた。


「さて、後は魔力を注ぐだけです。魔石に触れて自分の魔力で魔導具を動かしてみてください」


 言われた通りセリアは魔石に触れると魔力を流し始めた。


「こ……これは。魔法を使うのとは違う……引っ張られる感覚があります」


「魔法は魔力を放出するのに対し、魔導具は吸い取られるように魔力を補充します。多すぎても少なすぎても効果が高いポーションは作れません。最適になるようにコントロールするんです」


「とはいっても……調整が難しくて……」


 セリアは焦りを浮かべると必死に魔石に意識を集中する。彼女の身体から魔石に魔力が流れているのが見えるが、勢いがつきすぎている。


「はい、魔力を注ぐのはそこまでです」


 しばらくして、ロレインが声を掛けるとセリアは魔石から手を離した。


「ふぅ、緊張しました……」


 額に汗を掻くセリア。


「結構オーバー気味に魔力が入ってしまいましたね。これだと最上の効果は得られません」


「あぅ」


 ロレインの言葉にセリアはへこんだ声を出した。


「魔力残量ははどうですか? あれだけ放出したのなら疲れたのでは?」


「まだまだ余裕ですけど?」


「流石はセリアさんですね。普通これだけ魔力を吸い取られたらその日は何もできないのですが……」


「セリアは昔からほとんど魔力切れを起こしたことがないんだよ」


「……宮廷魔導士クラスの魔力があるわけですね。羨ましいですわ」


 俺とロレインがセリアを見ると彼女はキョトンとした表情を浮かべ首を傾げている。


 剣や魔法の才能は遺伝することが多く、特に王族や貴族はそういった血を取り込むので強い者が多い。


 もっとも、そういった力を持つ者は王城に登用されるので、ギルドには勤めない。


「そのうち、セリアさんも王城に上がるかもしれませんわね」


「そうなれたら嬉しいです」


 ロレインのお墨付きをもらったセリアは返事をする。


「さて、そろそろ魔導具が止まるころですわね」


 丁度、魔導具が停止して容器に黒い液体が落ちた。


「ロレインさんのに比べると、色が薄いですかね?」


 セリアは解毒ポーションをじっと見つめる。


「初級解毒ポーションですわね。やはり過剰魔力で成分を殺してしまいましたか」


「残念です……」


「とはいえ、初めてにしては中々ですわ。解毒ポーションは魔力が多い人間でなければ作れませんので、セリアさんなら練習をすれば精度も上げられるかと」


「頑張ります!」


 ロレインの慰めに、セリアは拳をギュッと握るとやる気をみなぎらせた。


 その間に、ロレインは触媒を取り出し洗浄をする。


 ザルにあけて洗うのだが、流れる水から黒い汚れがとれていく。


「俺の【浄化の炎】で洗おうか?」


 汚れならば一発で落とせる自信があったので確認してみる。


「せっかくの申し出はありがたいのですが止めておきます」


 断られると思わず首を傾げると、彼女は笑い説明をしてくれた。


「触媒に他の属性を干渉させると打ち消してしまいますから。浄化の炎は聖属性と火属性。エルダーリッチの粉は闇属性なので、効果が半減します」


「なるほど、そういうことか」


 確かに、アンデット系モンスターは浄化の炎で倒すことができるので、干渉させるのはよくないだろう。


「そういえば、レインボーバタフライの鱗粉を使えばポーションの効果が倍増するんだったよな?」


 俺はふと、護衛依頼中彼女にレクチャーしてもらった知識を思い出す。


「ええ、その通りですわ。なので錬金術師ギルドでは作業効率を上げるために大量の鱗粉を必要としております」


 タバサさんが交渉してきたのでそれは知っている。


「ロレインは口が硬いよな?」


「大切なお方の信頼を損なうような真似はいたしませんわ」


 彼女の言葉に頷くと、俺は小箱を取り出した。


「これ、どう思う?」


「兄さん、お見せするのですか?」


 セリアの反応を見ながら小箱を受け取ったロレインは箱を開けると中にある虹色の宝玉を取り出した。


「これは……中々興味深い触媒ですわね」


 ロック産のレインボーバタフライの宝玉とスカーレットダイヤの宝玉だ。


 彼女はそれを測定魔導具にかけると何やら数値を読み取る。


「まずこちらの、赤い宝玉ですが装飾としても非常に価値が高いですが、ほとんど魔力を感じ取ることができません。これなら面白い使い方ができそうですわね」


「どんな使い方ができる?」


「付与術師に魔法を付与してもらう、もしくは魔導師に魔法を付与してもらう」


 俺の質問にロレインはそう答えた。


「魔力をほぼ持たない触媒というのは魔法を込めるのに適しております。これがあれば優秀な魔導具を作ることができるかと」


「なるほど……」


 それなりに価値があるかと思ったが、ロレインに聞いて正解だった。


「この宝玉なら貴族が身に着けても問題がない見栄えですから、指輪やネックレスに加工すればよさそうですね」


 セリアの意見も参考になる。もう少し数がたまったらテイマーギルドに話を持ち掛けるのもありかもしれない。


「それより、クラウス様。こちらの虹色の宝玉なのですが……」


 俺が考え込んでいる間に、レインボーバタフライの宝玉も測定した様子のロレインが表情をこわばらせていた。


「現在使っている触媒よりも数倍上のポーションが作れる数値が出ましたわ」


「それって、とても凄いものでは?」


 セリアの言葉にロレインは頷く。


 ロレインは宝玉を小箱にしまい俺の手に乗せると自身の手を重ねた。


「もしこれをお売りいただけるのでしたら声をお掛けください。相当な額を積む覚悟があります」


 ロレインは真剣な瞳を俺に向けてくるのだった。

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