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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
二章

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第49話 大掃除


「さて、やるか……」


「はい!」


『ピィ』


『…………♪』


 俺の言葉にセリアとフェニとパープルが返事を寄越した。

 俺たちは現在、王都中心に近いテイマー区画内にある屋敷の壁を挟んだ内側にいる。


 草は放置されてぼうぼうで、建物全体にはコケがこびりついていており汚れている。


 壁から五メートル離れた場所には十メートルを超す高さの細い木が植えられていて周辺を覆い、屋敷の内部を覗き込めないように目隠しの役割を果たしている。


 なぜ俺がこうしているのかと言うと、屋敷を買ってしまったからだ。


 先日、アパートから「近隣の住人がモンスターに怯えてクレームが殺到しているので出て行って欲しい」と告げられ、急遽引っ越し先を求めてテイマーギルドを訪問したところ、不動産屋のサギンさんを紹介されて物件を見て回った。


 その中でも、この屋敷は荒れており、それを気に入ってしまったフェニとパープルの一声が決めてとなり購入することにした。


 俺としても、他の物件にくらべてここは安かったので決して悪くない選択だったと思いたいのだが……。


「セリアとフェニは屋敷内の掃除で、俺とパープルは庭の手入れをするから」


「わかりました」


『ピィ!』


『…………♪』


 庭も屋敷内も荒れ果てていてとても住めるどころではない。

 アパートの退去も迫っているので、至急環境を整える必要があった。


 俺は皆にテキパキと指示を出す。


 購入した屋敷は広く部屋の数も二十を超えているので大変だろう。


 さらに大型従魔がくつろげる部屋や巨大な風呂まであるので、まともに掃除をしていてはどれだけ人手と時間が掛かるかわからない。


「フェニが【浄化の炎】で部屋をざっくり綺麗にしていくから、セリアは使えなさそうな家具がないかみていってくれないか?」


 だが、フェニは普段俺がアパートの部屋の掃除に使っている【浄化の炎】の本来の使い手で、威力、範囲も俺とは比べ物にならない。


 以前テイマーギルドの書庫の中を綺麗にしたように、屋敷中の浄化はあっという間に片付けてしまうだろう。


「はい、それが終わったら街に行って足りない家具を注文してきましょうか?」


「頼んだ、これお金な」


 気を回してくれるセリアに俺は金貨が入った袋を渡す。

 後のことは任せて、俺とパープルも作業にかかることにした。




「それじゃあ、パープル。俺たちも始めるか」


『…………!!』


 俺が声を掛けると、パープルが頭上をパタパタと動き回る。どうやら気合は十分らしい。


 俺たちはまず、目の前の視界を塞いでいる雑草をどうにかすることにした。


 この雑草は、王都北門を出て歩いた先にある平原に生えている植物と同じもののようで、俺の身長よりも高く茎も太いのでまともに抜こうとするとかなり力がいる。


 それらを手作業でやるとなると、今日中に家の門までたどり着けないに違いない。


「それじゃ、パープル。頼むぞ」


 俺がパープルに声を掛けると、パープルは羽根を後ろにそらし、力を溜め、三度羽根を羽ばたかせた。


『…………%! …………%! …………%!』


 パープルの周辺から不可視の風の刃が飛び、目の前の雑草が切れ視界が良くなった。


「流石はパープル。これならあっという間に門までたどり着けるぞ」


 買い物をした際の搬入やらを考えると屋敷までの道の雑草を綺麗に片付ける必要がある。


 パープルがレインボーバタフライに進化した際、俺は【風魔法(小)】を習得できたので、パープルはもっと高位の魔法が使えると思って頼んでみたが、予想以上の効果だった。


『…………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%! …………%!』


 褒められたのが嬉しかったのか、パープルはますます元気に飛び回ると雑草をなぎ倒していく。


「まって、まてまて! 今はそこまでやらなくていいから!」


 雑草は、庭全体に広がっているのだが、今は屋敷から門に続く道をもう少し広げるだけでも問題ない。


 そこまで広範囲に手を付けたら簡単に終わらないからだ。


 俺はパープルに指示を出し直すと、雑草を片付けていくのだった。




「はぁ、大分片付いたな……」


 空は赤くなり、日が落ちそうになっている。


 俺たちは一日中屋敷の掃除をしていたので汚れてしまっていた。


「それにしても、たった半日でここまで片付くとは、従魔の影響力を国が無視できないわけだ」


 テイマーギルドが力を持つようになったのは、人間ではできない、モンスターの優れた力を利用するためなのだが、それにしたってフェニとパープルは優秀すぎる。


「はぁはぁ、流石にここまで広い屋敷だと大変でしたね」


 セリアは汗を拭うと達成感を得たように屋敷を見上げていた。


「セリアもお疲れ様」


 俺は彼女を労うと、水が入ったコップを差し出す。


「それにしても、兄さんが急に屋敷を買ったというのは驚きましたけど、フェニちゃんとパープルちゃんの様子を見ると買って良かったですね」


 彼女の視線の先には、庭ではしゃぎまわるフェニとパープルの姿があった。


 これまでと違い、自由に動き回る様子を見ていると、狭いアパート暮らしで窮屈な思いをさせてしまっていたのだなと反省する。


 これからは庭限定とはいえ自由に動き回ることができるので、そのこと一つをとっても屋敷を買ってよかったと思った。


「そういえば、兄さん」


「ん、どうした。セリア?」


「引っ越しの挨拶どうしましょうか?」


 セリアに言われて考える。近所に住んでいるのは貴族や富豪が多いので、おいそれと挨拶をしに行って良いものだろうか?


「俺たちの街に住人が引っ越してきた時とは状況が違うよな?」


「そうですね、多分貴族ならではの決まり事があると思います」


 子どものころ、新婚夫婦が引っ越してきた時は料理を振る舞ってもらい可愛がってもらった記憶が蘇る。


 一般市民の振舞と同じようにやるのが間違っているのはわかる。


「私の方でこういう時どうすればいいか友達に聞いてみましょうか?」


 セリアが通う学校には貴族もいる。最近では普通に話すことができるようなので、彼女に聞いてもらうのもよいかもしれない。


「そうだな、俺もレブラントさんあたりに聞いてみることにするよ」


 それぞれが情報収集をすれば、おのずとどうすればよいか答えは見えてくるはず。


「まあ、でも。この庭の惨状を考えるとしばらくは住居を整えるのに専念ですかね」


 セリアは苦笑いを浮かべると、荒れ果てた庭を見ていた。

 今日一日かけても付かずの部分がほとんどだ、完全に住めるようにするにはどれだけ時間がかかるのか……。


「とりあえず当面は屋敷の整備と、その他に……」


 当面の支払いに関してはフェニやパープルの素材を売ることでどうにかなるが、他の収入源を得なければいけない。


「……少しは稼ぎに出かけないとな」


 今のうちに収入を確保しようと、俺は考えるのだった。


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