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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
一章

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第38話 エルダーリッチ

          ★


「誰か、ポーションを!」


「先生を、先生を呼んでっ!」


 その場は地獄のような状況になっていた。


 多くの生徒が地面に転がっており負傷している。

 傷を負っているのは生徒だけではなく、冒険者の方が重傷で、中には自力で起き上がることすらできない者もいた。


「一体、何が?」


 誰かがボソッと呟く。急に爆発が起きたかと思えば吹き飛ばされ、このような惨状になっている。誰か解る人間に説明をして欲しかった。


『オロカナニンゲンドモメ、ワガスミカヲアラシオッテ』


 どこからともなく声が聞こえる。

 全員が上に視線を動かすと、そこにはところどころがちぎれたローブを身に纏ったモンスターが浮かんでいた。


 血のような赤い瞳に真っ白な肌。頬はこそげ落ちており、まるで末期の病に侵された病人のようだ。


 宙に浮かぶそのモンスターは地に転がっている集団を見下ろしている。


「リッチ……? いや、この力は……明らかにリッチを超えている!」


 先程、礼拝堂の扉の前に立っていた国家冒険者がそう断定する。彼は爆発音がするなりいち早く救助に駆け付けていた。


 Bランクモンスターのリッチ。魔導に長けたものが死に、瘴気を吸って蘇る。知能が高く魔法を扱う上、レイスと同じく実体がないので魔力がこもっていない武器による攻撃は通じない。


「エルダーリッチだ! 気を付けろ!」


 国家冒険者は冷や汗を流すと周囲に向かって警告した。


「エルダーリッチだって!? どうして、そんなモンスターがこんなところに!?」


 アカデミーの生徒を調査に連れてくるということで、事前に騎士団が訓練を兼ねて討伐を行っていた。


 その時にはこれ程強力なモンスターは出現しておらず、その場の全員が表情をこわばらせる。


「冒険者は学生を逃がすための時間稼ぎをしろ! ここから脱出した人間は本部に応援を要請してくれ! こいつはA+ランクのモンスターだ!」


 Aランクより上のA+ランク。熟練の騎士や国家冒険者をもってしても集団でかからなければ討伐できないモンスター。

 生徒を護りながらでは相対することも不可能なので、国家冒険者は即座に判断をくだした。


「わかりました。直ぐに応援を呼んできます!」


 応えた教師は全力で走り扉を抜け外へと向かおうとするのだが……。


『ニガスワケガナイダロウ。オロカモノメ!』


 エルダーリッチが右手をかざすと、扉の前に透明な壁が張られる。


「なっ! 障壁が張られている!」


 触れると膜のようなものが一瞬現れる。高位の魔法使いが張る障壁だ。


「こうなったら、魔法で相殺するしかない! 皆、この障壁に魔法をぶつけろ!」


 咄嗟に対策を思いついた教師は生徒に指示をするのだが、


「駄目です……魔力がもう……」


 大半の生徒は、ここに来るまでに魔力を使い切ってしまっている。


「そんな……、逃げられないというのか!?」


 Aランクモンスターまでなら、この場の全員でかかれば突破口くらいは開けると踏んでいたが、A+ランクとなるとそうはいかない。


 全員で攻撃を仕掛けたところで、犠牲を覚悟しなければならないだろう。


「……どうするか?」


 国家冒険者は冷静だからこそ、自分たちの状況を把握した。

 現在この場にいる国家冒険者とその受験生で19人、教師が1人に生徒が36人。


 人数だけなら大物モンスターを討伐できるだけ揃っているのだが、大半は既に魔力を使い果たしていた。


「せめて、学生だけでも逃がすためあがきましょう!」


「そうです、奴を傷つければ障壁の効果も弱まります! そうすれば……」


 例え勝ち目がなくとも、彼らは誇り高き国家冒険者だ。日頃からこの手の危険な依頼をこなしているので、状況が絶望的とはいえ、諦めるようなことはなかった。


「これが、お前たちがなりたいと願った国家冒険者だ。この程度のピンチで狼狽えるな! 覚悟を決めろ!」


 周囲を鼓舞し、その場を絶望から盛り上げていく。受験生の目にも力が宿り、覚悟を決めた。


 国家冒険者も、受験生も、教師も、生徒も、全員が生き残るために希望を胸に己を奮い立たせていると……。


 ――『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』――


 エルダーリッチの声が響き渡った。


「ああああああ」


「いやああああああ」


「もうおしまいだ……」


 【威圧】の効果を受け、全員が戦意を喪失し崩れ落ちる。


『ショセンハニンゲン、コノテイドカ』


 エルダーリッチは目の前で呆然としている者たちを蔑むと、右手を上げ、魔法でとどめを刺そうとする。


 威圧の効果を受けており、抵抗の一つもしてこないのでつまらない。

 エルダーリッチは右手に魔力が集中し魔法を作り出す。黒い炎が徐々に大きくなっていき、魔法が完成して放たれればこの場の全員が塵と化す。


 今まさに、エルダーリッチが魔法を放とうとした瞬間、


「これ以上はさせない!」


 エルダーリッチの目の前に、クラウスたちが立ちはだかった。


          ★



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