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【書籍化&コミカライズ】女神から『孵化』のスキルを授かった俺が、なぜか幻獣や神獣を従える最強テイマーになるまで  作者: まるせい
一章

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第26話 レインボーバタフライ

 テイマーギルドの書庫にて俺たちは各モンスターの生態記録や資料について調べていた。

 パープルがあの状態になってから二日、その間わずかな休憩しかせずに手掛かりを探している。


 ギルド職員の疲労がピークに達しているのか、表情は陰り、髪には艶がなくなっていた。


 パープルの傍にはフェニが見守るように座っている。

 俺がパープルを心配する気持ちが伝わったのか、文句ひとついうことなくじっと皆の様子を見ている。


「はぁ、駄目だ。そろそろ限界、一度風呂に入りたいわね」


 テイマーギルドの職員の一言をきっかけに、その場の全員が同意する。


「そうだな、せめて汗だけでも流せれば」


「服も汚れてるしスッキリしたいかな」


 集中力が切れたのか、各々がそのような言葉を口にする。


「うーん、ここは一端、休憩を取った方がいいかもしれないわね?」


 係員さんが俺に同意を求めてくる。確かに、これだけ調べても進展しない以上、どこかで休みをとることも必要だろう。

 時間は惜しいが、焦ってもパープルの状態をどうにかできるわけではない。俺がそんなことを考えていると……。


『ピィ?』


「どうした、フェニ?」


 フェニが顔を上げ宙に羽ばたいた。


「綺麗な羽根」


 書庫内を優雅に飛び回り、橙色の粉をパラパラと周囲に巻き散らす。


「この落ちてくるのって火の粉なのかしら? 全然熱くないんだけど?」


「なんだか……とても気持ちいいような?」


 最初はまばらだった火の粉だが、フェニが羽ばたくたびに数が増え、その場にいる全員の頭上から降り注ぎ、視界を埋め尽くす。


「クラウスさん! フェニちゃんは一体何を!?」


 焦った係員さんは俺に詰め寄ってくる。室内を満たす橙の火の粉が書類を燃やしてしまわないか心配になったのだ。


「いや、大丈夫です。どうやら皆の声が聞こえていたようで、フェニなりの気遣いのようですから」


 次第に、皆の様子に変化した。


「何だこれ、汚れが蒸発していく」


「火の粉が触れたところの汗がとれてスッキリするわ」


「見ろ、机とかの染みも消えていくぞ」


「皆さん落ち着いてください。これはフェニックスの固有スキル『浄化の炎』です。体内外の汚れを浄化してくれるんです」


 俺が使っている『浄化の炎』よりも小さな火種なのに気持ちよさはそれ以上だ。

 やはり本家本元の魔法はけた違いだな。


「これが……フェニックスの能力、生命を司る幻獣と言われるだけのことはあるわね」


 職員の一人が伝承を口にする。しばらくすると火の粉が消え、その場の全員がスッキリした表情を浮かべている。


 風呂上がりの様に頬が紅潮していて、疲労もやわらいでいるようだった。


『ピーィ!』


 皆の身体の汚れを浄化し終えたフェニは地上に降り立つと、ふたたびパープルの横に座る。


「ちょっと待って……? それ、光ってない?」


 職員の一人がパープルを指差すと、糸が虹色に輝いていた。


「もしかして、今のがきっかけで?」


 フェニの『浄化の炎』に刺激されて変化が起きたのは間違いない。


 俺たちが見守る中、糸が裂け中から何かが出てくる。

 ますます光が強くなり、俺たちは眩しさに目を瞑る。やがて、光が収まると……。


《『パープル』との従魔契約がふたたび結ばれました。【魔力増加(中)】【魔力制御(中)】【風魔法(小)】【風耐性(小)】を獲得しました》


 四枚の虹色の羽根を生やした美しい蝶がいた。





          ◇




 クラウス:人間

 性 別:男

 年 齢:16歳

 称 号:女神ミューズの祝福

 筋 力:B

 体 力:A

 敏捷度:B

 魔 力:C

 精神力:C

 幸 運:F

 状 態:疲労

 スキル:『孵化』

 付 与:【火耐性(極)】【浄化の炎】【体力増加(中)】【自動体力回復(中)】【自己治癒(中)】【火魔法(中)】【威圧(中)】【魔力増加(中)】New【魔力制御(中)】New【風魔法(小)】New【風耐性(小)】New

 テイミング:『フェニックス』『レインボーバタフライ』New



「どうやら、パープルに間違いないみたいです」


 自分のステータスを確認した俺は、皆にこの蝶の正体がパープルだと告げる。


「まさか進化するなんて……」


 係員さんは驚いた様子でパープルを見る。


『…………♪』


 ちなみにパープルは現在俺の肩に止まっている。マジックワームだったころと変わらずこの場所が落ち着くらしい。

 触角を動かすと俺の頬を羽根で撫でる。


「種族は【レインボーバタフライ】らしいです」


「レインボーバタフライって……Aランクモンスターじゃない!?」


「そうなんですか?」


 流石はテイマーギルドの職員だけはある。まさか名前だけでその存在を突き止めるとは。

 職員はどこかへ行ったかと思うと、図鑑を持って戻ってきた。


「これね、強力な魔法耐性を持つモンスターで、主に大樹海や妖精の森などの秘境にしか存在していない超希少レアモンスター」


 直接の戦闘能力こそ乏しいが、秘境まで入って行かなければならない上、滅多に見かけることがないのでAランクなのだという。


「マジックワームの進化先がそんなモンスターだったなんて……」


 俺は思わぬ事態に驚く。


「だったら、養殖しているマジックワームもレインボーバタフライに進化できる可能性があるんじゃないですか?」


 そして同じように、王都で飼育しているマジックワームでも同じようにすれば進化させられるのではないかと考えた。


「厳しいんじゃないかな? 元々、マジックワームは環境の変化に弱いし、あれだけ数がいるマジックワームが全身に糸を巻き付けたという報告を聞いたことがないわ」


 職員さんは「もしそんな話が聞けていたら真っ先に話しているからね」と補足する。


 本来のマジックワームは糸を吐き出すだけなのだ。それを回収して纏めたものを編み上げ布として使っている。


「仮に同じように糸を纏ったとしても、環境の変化について行けず死んでしまう可能性の方が高そうだし」


「つまり、クラウスさんのパープルちゃんだからこそ進化できたということ?」


 実際、うちのパープルは『孵化』のスキルを使ったお蔭なのか弱くなく、どこにでもついてくることができた。さらに【ミニフライ】などのモンスターと戦っても負けることがないので、進化の条件がある程度の強さを備えるということなら納得できる理由となる。


『…………!!』


 そんなことを考えていると、パープルが羽根をパタパタと動かし、俺の眼前にくる。


「ど、どうしたの?」


『…………☆#$!』


「何やら手を出すように言ってきてるみたいです」


 姿は変わってしまったがパープルとの意思の疎通はできている。

 俺はパープルの指示通りに両手を差し出した。


『…………☆☆☆!』


「嘘……」


「綺麗」


 パープルが羽ばたくたび、虹色の鱗粉が俺の手に降り積もる。

 フェニの火の粉よりもきめ細かく触れた感触は砂のようだ。


 しばらくして、てのひらいっぱいに鱗粉が溜まり、満足したパープルが肩に乗ると。


 魔導具が震え、カードにこう表示されていた。


『Aランクアイテム【レインボーバタフライの鱗粉】を収集しました』



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