第241話 いよいよ『アポーツ』を付与してもらう
狩猟大会から三日が経過した。
トリリアン地域の水害もある程度落ち着いたので、いよいよ魔法を付与してもらえることになった。
俺たちはエレオノーラさんの下を尋ねると彼女に依頼品を手渡す。
「それで、今回『アポーツ』を付与するのはこの二つの魔導具でいいのかしら?」
エレオノーラさんは俺が目の前に置いた魔導具を見ると確認をした。
「ええ、お願いします」
今回依頼をしたのは『箱庭』と『転移の腕輪』だ。
「それにしても、わざわざ依頼してくるくらいだから、もっと凄い魔導具かと思ったのだけど、意外と無難な注文ね」
「ははは、まあ色々あって」
俺は苦笑いを浮かべておく。魔導具の利用方法について説明すると新たな揉んだいが発生しかねない。
事実、エレオノーラさんは俺の表情を読もうと覗き込んできており、ドキドキが止まらない。
「このたびは、見学を許可していただきありがとうございます」
「私からも御礼を言わせてください」
俺たちが見つめ合っていると、メリッサが割り込んできた。
セリアも深々と頭を下げている。
「構わないわよ。魔導師なら付与魔法に興味を持つのは当然だもの」
二人はエルフの付与魔法が見られると知ると、観光予定をキャンセルして見学したいと言ってついてきた。
「だけど、アポーツを付与できる付与魔導師はここにはいないから、エルフの里まで出向いてもらうことになるわね」
「そのくらい当然よ!」
「全然問題ないです!」
あらかじめ聞いていたので、二人は準備をしてきている。
「それで約束していた報酬についてなんですが……」
依頼を開始する前に、支払いについて話をしておくことにした。
「それだったら、触媒でもらえると嬉しいわ」
「現金の方がいいんじゃないですか?」
そっちの方が使い勝手が良いのではないかと思い首を傾げると……。
「現金だと、他の長老どもがうるさいのよ」
今回の依頼はエルフ族への依頼ということになっている。潤うのはエルフ族の財布なので、現金で納めたら他の部族がたかりにくるのだという。
ステシアでも俺がダンジョンを攻略した直後、怪しい投資の誘いから寄付の申込みが多くかなり大変だった。
「わかりました、それじゃあ後程お出ししますんで計算の方お願いします」
幸いなことにロックを連れてきているので、触媒も溜まっている。
「それじゃあ、私たちはエルフの里に出発しますね」
セリアが笑顔でそう告げてきた。
「なあ、俺も一緒に行かなくて本当に平気なのか?」
ここまで、仕事や他の用事があったせいか家族サービスのようなことが足りていない気がする。
それならエルフの里に同行して一緒に見学した方が良いと思ったのだが……。
「大丈夫ですよ。私たちだけで」
「あんたはゆっくり休みなさいよね」
二人はなぜか俺についてきて欲しくないとばかりに遠慮する。
「まあ、二人がそういうのならいいけどさ……」
釈然としないものの、女同士の付き合いにしつこく割り込むのもどうかと思ったので引いておくことにする。
「でも、何かあったらすぐに俺を呼ぶんだぞ?」
慣れない国土ということもあるので、何が起きるかわからない。
「はい、私は兄さんを誰よりも信じてますから、その時はよろしくお願いしますね」
そういうと、俺は笑顔のセリアを送り出すのだった。




