第1話
*当作品はフィクションであり、実際する人物・地名・団体・事件とは一切関係ありません。未成年者の喫煙および飲酒は法律できつく禁じられています。過激な表現や刺激的な描写も含んでおります。読む際は上記で記されている点を確認してから読むことを推奨します。
僕こと風宮悟は平凡な人生を望んだのにそれと裏腹に僕の人生は崖から暗闇の底に蹴り落とされた生活を送っている。
いじめ・両親の冷え切った関係・片思いの同級生が教師と付き合ってる現実に不安と恐怖……怒りを混在させた心を抱えて生きていた。
* * *
放課後、 学校・体育館裏で同級生・東川慎二が僕を殴る蹴るとボッコボコにしフラストレーションを僕で発散する。
東川慎二ー高2
暴力的な奴で僕は彼のいじめの対象になっている。サラッとした薄暗い長髪の金髪にキリッとした鋭い目つきをした奥二重。
僕に力があったらこいつと互角にやり合えるのに。僕は背が低くてひょろくて顔は普通らしい。前、妹に兄貴は顔だけは普通だよねって言われた。人によって顔が普通は落ち込む言葉なのかもしれないが僕にとっては褒め言葉なんだ。
「サンドバッグが僕じゃないといけない理由はなんなの?」
僕の鼻から蛇口を強く捻ってドバッと出る水の様に鼻血が噴き出す。僕は鼻を押さえ怯えながら言った。
「あぁ、お前はおどおどしてるから、狩やすいんだよ。だからストレス発散のサンドバッグにちょうどいいんだよな」
東川はニヤリと笑みを浮かべて言った。
「君に人の心はな……ないの?」
「俺は人間に育てられなかったからな」
「え?…」
「もういい」
ぐったり跪いてる僕に飛び膝蹴りでとどめを刺す。
* * *
目を覚ますと空はかぼちゃ色に染まった夕方になっていた。
「……」
僕は軀を起こして鼻血は止まっていたが白シャツに血が飛び散っていたので校舎に入り、トイレに入って自分を鏡で見るとトマトスパゲティを食べた後みたいに鼻から口周りにかけて血だらけだった。水道水で血を念入りに落とす。
「……何で僕がこんな目に」
男子トイレを出ると阿澄さんが前方から歩いてきて、僕の前で止まる。
「ねぇ、風宮くんその鼻と目は東川にやられたの?」
阿澄広菜ー高2
自分の陰口をたたいてた女子生徒の肩にペンを刺したヤバイ奴。見た目は茶髪の長めのマッシュウルフに気怠そうな奥二重で常に無表情である。
「阿澄さんには関係ないよ」
僕は小走りで阿澄さんの横を通り過ぎる。
暫くして後ろを振り返ると阿澄さんは消えていた。
* * *
自宅に着くと、僕は洗面所で手を洗いうがいをし、シャツの血を石鹸で落として洗濯機の中に入れた。二階の部屋のドアを開けて制服を上下スウェットに着替える。
階段を降りて居間に入り、ソファでスマホを弄りくつろいでる。
「あぁ、兄貴帰ってたんだ」
僕は素っ気ない妹の態度にイラッとした。しかし、現実の妹なんてこんなもんだ。
台所にいる母さんが僕の顔を見て近付いて来る。ジッと僕の顔を見る。
「どうしたの、その目と鼻?」
「あ、これは友達とじゃれていたら喧嘩になっちゃって」
僕は焦りながら笑って誤魔化す。
「前もあなた顔に怪我してたでしょ?いじめられてるんじゃないの」
「もし、いじめられてるとしたら母さんがどうかしてくれんのかよ」
僕は無神経な母さんに声を荒げる。
「何、兄貴キレてんの?」
妹はムカつく顔をして訊いてくる。
「もういい……」
僕はボソッと呟いてグレーのパーカーを羽織って家を飛び出す。
「悟どこ行くの!」
行くあてもなくただひたすら近所をぐるっと歩いて回る。
疲れて家から少し離れた公園のベンチで休憩をとる。
「やっぱり、家に帰るか」
また、歩き始め家路に就く。
帰り道の道中に前からうちの高校と最寄駅が一緒の素行の悪い生徒が多い高校の制服を着てる銀髪の長髪の細い体型の男子と角刈り頭で強面をした恰幅のいい男子の2人が僕をギロっと睨み近寄ってくる。
「なぁ、そこのガキ」
「……」
「無視してんじゃねぇよ」
角刈りの奴が両手で僕の上着を強く掴んで僕を持ち上げる。
「ひょろっちいなぁ、チビ」
「おい泉田、場所変えようぜ」
銀髪の男子はニタっと不気味な笑みを浮かべる。
「そうだな、西村」
泉田は両手を離し僕は地面に着地した。
「ついてこい」
僕は2人に挟まれた状態で横一列でどこに行くかも分からず歩く。今、逃げても運動神経はどう見ても歴然の差だ。仕方ない、ついていってボコられておしまいだ。
「ほら、着いたぞ」
さっき休んでいた公園に連れてかれた。夕方暮れ時で人気も少なく、こじんまりとした公園なのでボコるのには最適な場所を選んだわけか。
案の定、泉田が腹にパンチ、脚に蹴りを入れられヨタヨタした足が絡みあって地面に尻餅をつき倒れた。もう、このまま目を瞑って気を失ったフリをしとこう。
「こいつ、気絶したよ」
西村は僕の頬っぺたを指?で突く。
「んだ、やりがいのない奴だな」
「じゃあ、蹴り放題だな」
西村は笑い声を上げて言った。
気絶したフリする俺を手加減なしで蹴り続ける。
何なんだ僕の人生。勉強も運動神経も悪いし人と会話するのも苦手だ。母さんに申し訳ないがこんな人生になるなら生んでほしくなかった。僕は怒りが頂点に達する。
西村がまた蹴ろうとした瞬間、僕は節々に痛みを感じながら軀を起こした。西村は目を大きく見開いて僕を見てギリギリのところで脚を止める。
「おい、西村どうした?」
「こいつに一瞬、異様なオーラを感じたんだが……」
「何言ってんだ、お前?こんな奴、俺が!」
泉田は僕の方へ真っ直ぐ走り、右腕に反動をつけて僕の顔を目掛けてストレートのパンチをかましてくる。僕は右手にギュッと力を入れて右拳を淡い水色の球体が覆って泉田に伸ばした拳から烈風が吹いて泉田が吹き飛び背後の灰色のコンクリートの壁にヒビが入る。
「……」
西村は口をあんぐり開けて言葉を失う。
「え!?」
僕は自分が起こした出来事を見て頓狂な声を上げる。
読了ありがとうございます!