5.私と姉
デイジーの部屋に着いた。扉を軽くノックする。
「ローズマリーです。お姉様の食事をお持ちしました。開けてください。」
返事はない。が、扉は開けてくれた。
姉であるデイジーはこちらを見ると睨んでくる。
「私の行動が理解できない…というところですか?」
私は笑顔でデイジーに近づく。デイジーは睨みながら頷く。
「食事、無駄にしたくないので食べてもらえますか?」
私が押し付けるように渡すとデイジーは渋々受け取り、警戒しながら食べ出した。
姉を観察する。ハニーブラウンの髪を見ながら思う。
前回会った時より痩せてる?
私は毎食、使用人に姉の食事の準備を依頼している。
おかしい。
「お姉様、食事はちゃんとされてますか」
デイジーの目つきが更に鋭くなる。
私は、めまいを覚えたが片手で自分の頭をおさえてしまう。
「今後は家族の食事の時間に降りて来てください。」
「嫌よ」
デイジーは私の勢いよく拒否する。
気持ちはわかるが、このままではよくない。
どうにか説得できないかな。
「お姉様は悔しくないのですか?部屋に閉じ込められ、無い物扱いされるために、ここに来たのですが?違いますよね?あなたは自分で選んだのです。この家の子になることを…この意味わかりますよね?」
「仕方ないじゃない。こんな風になると思わなかった。」
デイジーは俯いてしまう。
「あんたはいいよね。家族に愛されて。好きな物を食べて、好きな物を着て、自由にしてる。だから、アタシの気持ちなんてあんたにはわからないわ。」
そうね。私にはわからない。
それでもあなたは選んだこの家に来ることを。