4.姉のデイジー
私にはデイジーという姉がいる。
しかし、家族での食事はいつも4人である。
姉は来ない。来れない方が正しいが。
兄と私は正妻の子。姉は愛人の子。その違いがあるからである。
姉の母である父の愛人は、庶民で1人で姉を育てていたが病に倒れ、姉を残し亡くなってしまった。
その後、姉は自分の母親の遺品を頼りに、この家までやってきたのだ。
姉が最初、家に来た時は大変だったと覚えている。
父に愛人がいて、しかも子供も居たのだ。騒動にもなる。
異母姉妹でも、姉は姉。
私から見てもデイジーの現状は悲惨なものだ。
部屋は汚い屋根裏で、私の母と兄は冷遇され、それを父は傍観している。
私には優しい家族だから、虐待までは考えたくないが…
使用人達の態度も気になる。
私はため息をつく。
自分の食事を終えた私は、壁に控えるアンナに伝える。
「アンナ。お姉様の食事を用意して。今日は、私が持って行くわ。」
アンナは困惑しながらも「はい。」返事をして下がった。
「マリー。いつも言ってるけど、そんなことしなくていいのよ?」
母は私の行動に困った顔をする。
「あいつはうちの面汚しだ。家に置いてもらえるだけありがたいと思ってほしい。」
兄は怒った顔で言った。
「私は、慈悲の心を忘れたくないのです。神様に笑われたくありませんわ。」
笑顔でこう言えば大丈夫でしょう。
「マリー。優しいのね。マリーがそう言うなら許すわ。」
よし、母から許可を取った。
丁度戻ってきたアンナから食事を受け取り姉のとこに向かった。
普段は使用人に任せてはいるが、姉に話したいこともある。
アンナは同行しようとしたが断った。
多分、隠れてついてくるとは思うが。