2.過去の私
私の過去は魔王。神聖力と魔力を持っており、白の魔王と呼ばれていた。
150年前、当時の勇者王子と出会い恋に落ちた。
彼と生きる時間は楽しかった。本当に幸せだった。
でも、私は魔王で、彼は人間。生きる時間があまりに違いすぎた。
年を重ねるごとに痛感した。私は老けないから。
私は人間のフリを続けた。
魔力を使いバレないようにもした。
時間の残酷さを知った。
彼は起き上がることが出来なくなってしまった。
「私の可愛い魔王よ。最後に魔法を解いてくれないか。」
私は彼の言う通り魔法を解いた。出会った頃と変わらない姿の私。彼は笑っている。
「今まで幸せをありがとう。国を任せたよ。」
彼から魂が抜ける。魂は私を一瞬見ると天に上がっていった。残されたのは生気の抜けた肉体だけ。
人とは時に残酷だ。私に国を任せるの。魔王の私に。
私は目から落ちる雫に驚いた。
(私、泣いてるのね)
「バカ。」
その後、私は国から去った。彼がいない国はいたくなかった。
彼の大事な国は守る結界はそのままにして。
「また、あなたに会える日までさようなら。」
あなたがいない時間が過ぎた。とても長い時間。
あなたの魂がまたこの世に現れた悦びは今でも忘れないよ。
あなたに会いたい。共に時間を過ごしたい。
私は人間に転生することにした。
私は今もあなたを愛しているから。
きっと、あなたは私をわからないと思う。
それでも見守りたい。
強く私は願っているから。あなたの幸せを。