1.憂鬱な日々
どんなに憂鬱でも朝はやってくる。
自分が望んだことなのに…何故、こんにも虚しいのだろう。
「ローズマリー様。朝でございます。」
毎朝、同じメイドが同じ時間に同じことを伝えてくる。
「わかったわ。いつもありがとう。」
私はベッドから起き上がり伝えた。
メイドに渡されるがまま、顔を洗い、身支度を整える。
「今日もローズマリー様は可愛らしくあられますね。髪型はどのようにされますか。」
「ありがとう。あなたに任せるわ。アンナ。」
私の世話係のメイドであるアンナは笑顔で返事をし、私の髪を整えてくれる。
毎朝、鏡を見ながら考えてしまう。このままでいいのかを…
私の容姿はハニーブロンドの腰まである長い髪。
大きく、アーモンド型で水色の瞳が特徴的な目。
鼻は高い方になるのかもしれない。
容姿は悪くないと思う。
そう。私は選んだ。この時代とこの場所を。
私の住む国の名前はクラディスという。
軍国家で、剣と魔法が盛んであり、150年前より国全体を大きな結界で守られている。
そのため、他の国より安全で治安が良く『世界で一番安全な王国』と言われている。
私はこのクラディス王国のリンドル公爵家を選んだ。
家族構成は両親と兄と姉と私である。
この生を受けて、12年の月日が流れた。
私の目的は達成している。
100年前とは違うのは仕方ないことよね…
私には前世の記憶があり、100年前もクラディスに住んでいた。
その時は、まだ小国で力がなかったが、当時の王様であったあの人と共に民と力を合わせ大きくした。
あの人が亡くなり、私も姿を隠すことにした。
私の前世は人ではなかったから。
国が心配ではあったから、当時作った結界はそのままにしたんだけどね。