幼馴染side そっちが先に
今回はかなり短いです。ご了承ください。
「……はぁ」
一日の終わり、私は日課にしているストレッチを行いながら今日一日を振り返っていた。
「今日もミス連発しちゃったな」
朝練と午後練で私はミスを連発した。それはもう素人もビックリな程簡単なミスを。
そのせいでチームのみんなにはかなりの迷惑をかける事になってしまった。
夏のインターハイが終わって3年生が引退し、新チームになったばかりで今が大切な時期なのに、私が足を引っ張ってしまっている。
レギュラーの私がもっとしっかりしないといけないのに……。
それに私はテニス部のエースとして、みんなから期待されている。その期待には、しっかりと応えなくちゃいけない。
そう頭では分かっているんだけど、どうしても違うことを考えてしまう自分がいることに私自身気付いている。
「結局、天成とは話せなかったな」
頭の中で、今日の昼休みのことを思い出す。
そう、私の頭の中をいっぱいにしているのは、幼馴染みである天成だ。
ここ最近、天成のことしか考えられなくなってしまっている。
もともと頭の中の3分の2くらいの割合だったのに、今では1分の1、思考の全てを占めてしまっている。
私は天成に告白されたあの日のことを思い出す。
私が天成と言葉を交わしたのはあの時が最後、あれから一度も話していない。
今まで物心ついたときから毎日一緒にいて、毎日話していたからこんなことは初めて。
たった2日話さなかっただけでとても寂しく感じてしまう。
「はぁ……駄目、そう思っちゃ駄目だ」
弱気になっていた心を無理矢理強く持たせる。
今日の天成は明らかに私を意識していた。
その理由は、私が天成の告白を拒絶したからだ。
多分、天成は私が断るなんて思っていなかったんだろう。私が彼を拒絶した時の驚きに満ちた顔がそれを物語っている。
私が天成に話しかけに行った時も、明らかに私から目を逸らし、声も弱々しいものだった。
その様子は少し可哀想に思ったけど、私が受けた悲しみに比べたらまだまだマシだと思う。
天成には、しっかりと反省してもらわないといけないから。
「だってそうでしょ? そっちが先に裏切ったんだから」




