駿河國
・駿河國
駿河の国の風俗遠州に替り、人の気狭くして、而も実寡くなし。
(駿河の人は遠州の人と替わって、狭量で誠実さも少ない)
然ども気狭きか故に、伸る心すくなく、気の屈する時は取り直す事ならずして、命を終るもの時々なる故に、思い詰めたる時は気一和なる故、片くえなき所あり。
(狭量だからか、気負けしやすく、落ち込んでいる時は持ち直すことが出来ずに、そのまま亡くなる者が度々居り、思い詰めた時は塞ぎ込んで頑固になるところがある)
雖然常に諂う事なくして、毎物気を付、思慮深くして、抜きんする者少なく、人に従う心大分有りて、義を思い詰めて立てる人は小分なり。
(いつも下手に出るわけでは無いものの、物事に気を配り、考えを巡らせて、抜き出るような者は少ない、周囲に合わせようとすることが大半で、身を以て忠義を示す人はわずかである)
都而威厳多くして、吾は人を誹り、人は吾を卑しむ風儀更に締まり無き国なり。
(とにかくも横柄で、自分は他人を誹り、他人は自分を卑しむのが当たり前という何とも締まりのない国である)
去るに因って一国一和すると言えども、一郡一庄一郷に気質の公なる人希にして、欲深し。
(そんなわけで、国内に争いごとは少ないけれど、各村々でも平等公平な人はまれで、基本的に欲深い)
是国を静めんこと旧悪を不数して、其の悔いる所の事を不糺。
(この国を平定するには、昔の悪いことは放置し、見なかった事にするしか無い)
唯その勢を高く振るう時は心気とろけて、旗を巻くこと日不可期也。
(勢いがある時は高揚して理性を失うので、いつ治まるのかが分からない)
・超意訳
駿河は遠州とは全然違う。
精神面が弱く、ちょっとしたことで落ち込んで鬱になって自殺してしまう者もいる。
いつも周囲を気にするくせに、内心他人を馬鹿にして、互いに貶し合うどうしようもない国だ。
同調性の高さから争いごとは少ないけど、欲深で陸な人間が居ない。
メンタル弱いから昔の事を穿り返したらダメ。
また、調子に乗らせると収拾が付かなくなるから要注意。
・私評
何だが現代人の悪い面を書かれているようである
・どうでもいいような事を陰口で叩く
・ちょっとしたことで落ち込む、鬱になる
・調子に乗ると馬鹿げた事を始める
やはり似ている
遠州と言い駿河と言い、現代人に共通性を感じる一節である
・一言要約
メンタル弱いしょうもない人々