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伊賀國
・伊賀國
伊賀の国の風俗一円実を失い欲心深し、さるに因て、地頭は百姓を誑かし、犯し掠めんとする事日々夜々なり。
(伊賀の国は全ての人が欲深く誠実さを失っており、地頭(領主)は百姓から奪い取ろうとすることを毎日考えている)
百姓は地頭を掠め事を日夜思い
(百姓は地頭(領主)をどうやって出し抜こうかと毎日考えている)
夢にたに義理と云事を不知か故に、武士の風俗猶以不被用也。
(夢でさえ義理という事を知らないため、武士として用いてはいけない)
・超意訳
伊賀の人は全員欲深く誠実さの欠片も無い。
互いに出し抜いて、相手の物を奪い取ろうと日々考えているとんでもない連中だ。
この世に義理なんて物がある事自体を知らないから、武士にするなんてもっての外である。
・私評
伊賀の人国記は割と有名で時代小説などにも出て来るが、人国記は基本的にどの国も辛口批評なので何も伊賀だけ辛辣に書かれているわけでは無い。
それでも他の国は何かしらの好点も挙げられているのに対し、国中が犯罪者扱いという人国記でも一二を争う酷評であるは確かである。
・一言要約
義理を知らない人非人