三河國
・三河國
三河国の風俗、気勝ちて人の長け十人に七八人のびす
(三河の人は、気は強いが体は小さい人が多い)
言語いやしけれども実義なり、人と物を談するにその事と消すと云事なし
(言葉使いは汚いが誠実で、相談事を蔑ろにはしない)
若し違却する事あれば、其仔細を理る風俗にして、子は親を恥じ、親は子を恥じて、虚談する事を禁すると言えども、偏屈にして我言を先とし、人の述する処を不待して是を談し、命を終之族多し
(もしも道理から外れてもいい加減なことはせず、正しく処理し、親子の間でも恥として嘘偽りをしない、しかし偏屈で頑固なので人の言う事を聞かず、自裁(自殺)する者も多い)
亦自然と気質の邪僻少なき人も有り
(へそ曲がり・ひねくれた者は少ない)
私心を知て吾に勝人あれば、諸人是を崇敬する形儀也
(自らよりも優れた人には崇め敬う)
別而北三州の人尖なり
(特に北三河の人は血の気が多い)
尾州に隣すると言えども、その気質亦勝たり
(尾張の隣国であるが、三河の方が気質が良い)
武士の風儀善多くして悪少なし、女も健気に恥を知れり
(武士として品行はたいへんよろしく、女でも気丈なことに恥を知っている)
・超意訳
三河の人はチビのクセに気が強い。
言葉に品が無いが誠実さがある。
律儀で道理に反することを嫌い、性根が真っすぐだが度が過ぎると偏屈で頑固になり、人の話を聞かず、勝手に自殺してしまうのが困ったところ。
あと優れた人を敬う素直さがある。
尾張より三河の方が気が良く、武士として立派なものだし、女性にも感心するところがある。
・私評
人国記の中でも善く書かれている数少ない国の一つが三河である(これでもです)。
三河の言葉は卑しいらしいのだが、尾張の男言葉は好しと書かれているのが不思議だ。
今の三河弁と尾張弁だとどっちもどっちな気がするが、当時は違ったのだろうか?
・一言要約
誠実だけど融通の効かないチビ