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人国記を読む  作者: 三河
東山道8ヶ国
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近江國

近江国は今の滋賀県です。

挿絵(By みてみん)

近江おうみ

近江国の風俗は賢佞の間を兼ねたる風義なり。

(近江の国の風俗は賢さとズルさを兼ねた様である)


雖然賢智の人を聞く事なし。

(しかしながら、賢く智恵のある人を聞いたことが無い)


佞人多かるへきなり。

(口先ばかりのズルい人が多い傾向がある)


身持上手にして、人に非を可被討事を言葉に不顕して、非を隠して善を説く。

(如才ない立ち回りで、人のせいにして問題点を言葉に出さず、悪い事を隠して善い事のみを話す)


然る故に心を不付してこれを見る時は、一段この国人は総て際立ち余国に優れたりと見ゆるなり。

(だから、内情を知らずに見た場合は、この国のひとは全ての面において一段と際立って他国よりも優れていると見える)


これを例えを以て論するに金に同じ。

(これを例えるならば金と同じである)


金とは金あり、銀あり、銅あり、鉛あり、錫あり。

(金と言っても黄金があり、銀があり、銅があり、鉛があり、錫がある)


皆金にして皆格別なり。

(全て金であるが、全て別々のものである)


さればこの国風金と言えば結構の様なれども、金にあらず、銀にあらず。

(そこでこの国の風俗は金と言えば大したものの様だけれど、黄金では無く、銀でも無い)


只銅鉛錫の内なり。

(ただの銅や鉛や錫のどれかである)


是を以て是を見れば、この国は半佞国と可知。

(このことを踏まえて、この国を見れば、この国は半ば口先ばかり国と知ることが出来る)


佞人は必ず利根利発利口にして、言舌は賢人にも劣る事無し。

(口先ばかりのズルい人は必ず生来賢く活発で要領が良い、口の上手さは賢明な人にも劣ることはない)


吾愚にして、賢佞可知ようなし。

(私は愚かだから、本当に賢いのかそれともズル賢いのか知ることが出来ない)


唯善悪言行を察して可知の也

(ただ、成すことの善悪、言葉や行動から察して知るだけである)


口伝。

(仔細は口伝による)


・超意訳

近江の国の連中はズルくて、賢い人なんて聞いたことが無い。

口ばかりが上手くて、自分の都合の悪い事は隠して調子の良いことばかり口にする。

確かに傍から見ればさぞ素晴らしい国に見えるだろう。

しかし、そんなものは見せかけに過ぎない。

金と言われたから黄金や銀かと思ったら、銅や鉛や錫だったみたいなものだ。

ズル賢いと賢いは紙一重で、馬鹿な自分には見分けがつかなかったさ。

一見ではわからないんだから仕方がないではないか。


・私評

これは作者の私怨が入っているね。

近江の人に騙されたんだろう。

流石は近江商人の国といったところか。

・一言要約

騙すなんて酷い

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