表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人国記を読む  作者: 三河
畿内5ヶ国
21/80

河内國

河内国は今の大阪府東部地域です。

挿絵(By みてみん)

河内かわち

河内国の人は風俗上下男女ともに気柔にして、譬ば雪の朝に庭前を見れば、一柳の枝をたおますと云えども、不折か如し。

(河内の国の人は地位の上下や男女を問わず物腰柔らかく、例えば雪の降った朝に庭を見れば、柳の枝が撓んでいても、折れないようなものである)


上手の風俗と可知なり。

(なかなか品行がよろしい)


然ば士農工商ともに富貴なる人は都而驕りの気ありて、人を足下に見卑しむ心甚強し。

(しかし、どの職種・階層においても富裕層は傲慢で、人を見下す心が非常に強い)


雖然気に和あるか故に、物の道理を知る時は、名高き人もあるべき也。

(それでも性根に人の和を求める心があるためか、物事の道理を知っている場合は、世に名の知れた人となることが出来る)


上河内は城州に風俗不替也。

(河内国の北側は山城国と替わりない)


下河内は人の気直にして、頼母敷き所あり。

(河内国の南側は性根が真っ直ぐで、頼もしい所がある)


丹南郡・石川郡・錦郡の人は別而余国に違て、智恵有りて、実有りて、物の品ふり言葉の様子は城州に似たるようなれども、上下ともに毎物卑劣也。

(丹南郡・石川郡・錦郡の人は他の地域と異なり、智恵が有り、誠実で、物品や言葉の感じは山城に似ているが、やることが下品)


此是国の人を靡けんには、その政を緩くし、気を固うして、少し弁ある人を招きて談する時は、危なきことなく可従。

(この国の人を靡かせるには、施政を緩くし、気が合いそうな少し話の上手い人を招いて話させれば、危なげなく従わせることが出来るだろう)


もし権威を振う時は、悪む処の者多かるべし。己が長を立てる則は、必妬起り禍をだくむ故に、却而敵となるべし。

(もしも施政者になった時は、それを憎む者が多く居る。自分の長所を誇示すると、必ず嫉妬しよからぬことを企むから、却って敵対した方が良い)


亦自言を出て人を誹る時は、還而是国の人は憤りを深くして、従うよう成とも、服する処なかるべし。

(また、自分の言葉で人を誹る時は、この国の人は憤りながらも表に出さず、従っているように見えても、心からは従わない)


誠にその国のその湿土因て、音聲の替わること可知事也。

(本当にその国のその風土によって、声色が変わる事を知るべきである)


・超意訳

河内の国の人は柳のようにしなやかで物腰柔らかく、品行方正であるが、偉くなると傲慢さが出る。

それでも、性根の所は悪く無いから出来た人も居るは居る。

北の方は山城とそっくりだけど、南の方は根が真っ直ぐで頼もしい。

南西の地域は頭も良いし誠実で、どことなく山城に似ているが、やることが下品。

この国の統治は面倒だよ、一言で言えば面従腹背、何か言ったり指示したりすれば、その場はともかく陰で悪巧みをするからね。

いっそ表立って敵対した方が楽なくらいだ。

それが嫌なら、話を合わせながらゆる~く治めるしかないよ。

国によって言ってることとその真意が違って来るから気を付けな。


・私評

おそらく愚痴交じりの苦労話を聞いたのだろうな。

浅い付き合いなら悪くないが、深くなると途端に面倒になる類なわけだ。

・一言要約

しなれど折れぬ柳の如く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ