表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/118

2. 卵が孵ったぞ!!……あれ?殻が……

 次に意識が覚醒したのは暗闇の中だった。

 というか、すごく狭い空間にいる気がする。


 ここはどこだろう。


 死んだことは覚えている。残念な神様と対峙して転生ガチャを引いたのも覚えている。

 ということはここが転生先か。


 人間として転生するなら母体から産まれるが俺の転生する種族はひよこだ。

 鶏は卵を産んで孵化させるが……まさか殻の中か?


 試しに身体を動かそうとしても狭すぎて中々動かない。

 だが身体の一部に力を入れるとピシッと何かヒビが入った。


 うん。殻の中だな。


 産まれるにはこの殻を破らなければいけない。

 だが生半可な力ではヒビを入れるのも無理そうだ。


 転生したばかりで未熟な肉体だからか思うように力が出ないし、これは骨が折れそうだ。


 どうにか全身を使って殻を破ろうと試みるがほんのちょっとずつしかヒビは入らない。


 すごいな。鶏は皆この試練を突破して立派な大人になっていくのか。

 飛べもしない役立たずな鳥もどきと思ってスマン。

 食用にしかならない家畜と思ってスマン。

 今は俺がその家畜一歩手前さ。


 どれほど時間が経ったか定かではないが、いつまでもちまちま殻にヒビを入れるのも飽きてきた。

 手っ取り早く殻を破る方法はないのか?


 そうだ、前世から継続した魔力は使えるだろうか?


 感覚を研ぎ澄ませてみると前世と変わらぬ量の魔力が全身を駆け巡っていることに気付く。

 よし、魔力は使えそうだ。


 だが成熟していない肉体でいきなり魔法を使うのは何かと危険だし、そうなると方法はひとつしかない。


 早く異世界をこの目で確かめたい一心で魔力を練る。

 殻を破るのに必要そうな分の魔力を練り上げ、それを一気に外に放出した。



 パァァァンッ!!



 すると全身を覆っていた卵の殻が粉砕した。


 魔力の衝撃波で卵を割るつもりだったのだが、どうやら力を入れすぎたようだ。まさか粉砕してしまうとは。


 急にクリアになった視界に眩しくて目を堅く閉じる。

 人間の頃と同じ感覚で思わず手で遮ろうとしたがそれは叶わなかったからだ。


 数回ほど目を瞬き、ようやく外の光に目が慣れてきたところで勿体ぶらずに目を見開いた。


「…………っ!!?」


 視界の先に広がる光景に、俺は絶句した。


 どうやらフェイドスという世界は、元の世界の常識を(ことごと)く覆す気満々のようだ。


 まさか誕生した瞬間から驚かされることになるとは思わなかったぞ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ