表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら王子になっていました~予想外の事態にも、奮闘あるのみ~  作者: 銀雪
終章  王子を襲った陰謀と国家転覆
153/153

『150(終)、転生したら王子になっていました~予想外の事態にも、奮闘あるのみ~』

転生したら王子になっていました~予想外の事態にも、奮闘あるのみ~、堂々の完結!

リテルはお母さんであるハーナンに近付くと、通路の奥に向かって合図を送る。

すると回復魔法がハーナンを優しく包み込んだ。


「おい、誰が通路にいるんだよ!?」

「フゥ・・・龍魔法にかかっている状態を装うとはいえ、リレン様には無礼な振る舞いを・・・」

「お前は・・・エーリル!?」


ラオン公爵たちに追われていて、逃げたはずのエーリル将軍が通路から出て来る。

続いて4人の人物が憤怒の形相で父上に迫った。


「僕たちにリレンを襲わせるとはいい度胸ですね。相応の報いを覚悟してください!」

「騎士としての誇りを崩したお前を許さない!」

「巫女姫たる私を敵に回したことを後悔するがいいわ。愚か者には神罰を!」

「戦える執事の本懐を見せてあげましょう。相手が例え国王様でも容赦はしませんよ?」


ボーラン、フェブアー、マイセス、そしてカルス。

龍魔法で操られていたはずの4人が正気に戻ったかのように父上を睨んでいる。


「リレン様、参上が遅れて申し訳ありません。カルスの魔法を解くのに時間を要しました」

「そういえばカルスはモックルデン伯爵のところで倒したんだったね」


俺は苦笑いをするしかない。

むしろ、よくこの短時間でカルスの龍魔法を解除できたな。


「どうして魔法が解けているのだ!」

「龍魔法の解除条件は“一度気絶させる”ですから。私は皆さんを回収しただけです」

「そっか・・・。僕たちがみんなを気絶させたんだもんね」


イグルたちを助けるためにしたことが、結果的にみんなを助けることにも繋がったのか。

随分と運がいいな。


「クソッ・・・お前たちまで俺に牙を剥くか。ならば跳ね返すのみっ!」

「無詠唱魔法には引っかかりませんよ。私たちの最終奥義をその目に焼き付けなさい!」


マイセスはそう言うと、ボーランと共同で魔法の構築を始めた。

あれは『固有結界』か。


今回は2人だけではなく、護衛としてフェブアーとエーリル将軍がいるんだもんな。

詠唱は成功するだろう。

予想通りに部屋の中が魔力で充満したところで、ボーランが俺の方を向いた。


「リレン、拘束魔法を発動して。僕たちは闇魔法を使えない」

「分かった。父上、今まで色々教えてくださってありがとうございます。尊敬しておりました」


お辞儀をしつつ、無詠唱でバウンドを発動させる。

俺が父上を尊敬していたというのは事実だし、最低限の敬意は必要だろう。

黒い鎖が父上に向かって伸びていった。


「どうして俺が拘束されなきゃいけないんだ!――グアアァァァ!」

「さあ、拘束しちゃってください。そいつは国家転覆罪が適用されるほどの罪人よ!」


フローリーが部屋の隅にいた騎士団に声を掛ける。

慌てたように捕縛に向かう騎士団を横目で見ながら、次なるターゲットに意識を向けた。


「レアガ=オース。あなたも捕縛させてもらう」

「どうしてじゃ・・・儂は全く関係ないじゃろう!――ウワァァァァ!」


エルフの国王が捕縛されるのを見届けた俺は、その場にへたり込んだ。

これで・・・全てが終わったのか。

半ば放心状態にある俺に近付いてきたのはグリーソンさんだった。


「リレン、お前は国王になるんだ。父上がいなくなった今、国王になれるのはお前だけだ」

「そうですね。僕も覚悟を決めました」


父上のような悪政を繰り返さないためにも、俺がなるしかない。

もともと指示する側になりたいと思って転生したのだから、チャンスを逃すのは愚かだ。


「それじゃ、お前が7歳になった日にするか」

「いいですね。誕生会のついでに国王就任式なんてロマンチックですし」


7歳の誕生日なら、この世界に転生してから7年という意味も込められているからな。

国王就任式にはうってつけだろう。


「ホブラック宰相、エーリル将軍もお願いしますね。僕は基本も出来ていませんから」

「任せてください。リレン様であれば教えがいがありますしね」

「私も出来るだけサポートしますが・・・あまり干渉しすぎるとフェブアーに怒られそうだ」


エーリル将軍の言葉にみんなが笑う。

予想外の事態によって、俺の王子生活は唐突に終わりを告げることになった。

でも・・・不思議と悪い気はしないな。


それは俺が仲間を信頼出来ているという証なのだろう。

昔の自分なら絶対にあり得ないことだったなと思い、1人で苦笑する。



そして迎えた俺の7歳の誕生日、国王就任式が正式に執り行われることになった。

豪華絢爛な大広間で、王冠とマントをホブラック宰相から受け取って身に着けていく。


()、リレン=グラッザドはここに第20代国王への就任を宣言します!」


全ての装飾物を着込んだ俺が宣言すると、会場には割れんばかりの拍手が鳴り響いた。


思い返せば、この世界に転生してから7年、前世の記憶を取り戻してから4年。

いつでも予想外の事態に直面しており、最善を尽くすべく奮闘してきたと思っている。

だからこそ、これからも最善を尽くしてみせる。


俺が就任に当たって掲げたモットーは“予想外の事態にも、奮闘あるのみ”だ!

舞台から降りた俺に近付いてくる家族や友人たち。

この幸せがいつまでも続くような国を作りたいなと思いつつ、俺は微笑む。


4月から連載を続けておりました、転生したら王子になっていました~予想外の事態にも、奮闘あるのみ~(旧題、転生王子の奮闘記)はこの話を持って完結します!


応援してくださった方、更新を楽しみにしていてくれた方、本当にありがとうございました。

新作も投稿しておりますので、是非そちらも読んでいって下さい!

                   

                               2019.9.10 銀雪


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ