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異世界を創って神様になったけど実際は甘くないようです。  作者: ヨルベス
第3章 水の街

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第97話 お嬢様、預かる


 赤い世界が広がっている。というのも、目蓋の裏側を外から照らす光がほんのり色付けているからだ。

 目を開き、今度こそ現実が入り込んでくる。


 朝か……。


 軽く唸った後、全身から来る異常を認識する。

 なんだか身体が痛いな。床が硬いからか?


 あ、暖炉で服を乾かしてたんだった。

 眠くなって横になって、そこから記憶が無い。うとうとして眠っちまったのか。



 ──トテテテテテテテテ



「ん?」


 タンッ!


「キュッ!!」

「おうふっ!?」


 軽快に走る足音が聞こえたかと思うと、ボディに目覚ましの一撃が入る。

 恨みを加速に変えて突っ込んできた犯人はレトだ。


「ふっ、ふふ、いい体当たりじゃねーか。一発ですっきり冷めたぜぇ」

「キュウ……」

「怒ってんのか? 何に不満なのかなー? 昨日のことなら反論しておくが、お前が悪いんだぜ」


 この獣の抱える怒りの源は昨晩のこと。首を絞められ気絶させられたのを根に持っているようだ。

 あれはレトに非がある。レトにやった仕打ちは正しい躾だ。誰が何と言おうとも躾なのだ。


 だが、不服そうな態度は改めない。なんて悪いラーダだ。


「こっち来いよ。ご主人様の愛あるハグで思いっきり可愛がってやるからさあ」

「キュオォ……」

「お兄ちゃんをいじめちゃダメ!」

「うん? ビィビィ?」


 レトに続き、やって来たのはビィビィだ。

 さっきのやり取りを目撃していたらしい。レトの前に来ると、四つ足の体勢になりながら威嚇する。


「うぅー」

「キュー」


 唸り声が交錯し、両者バチバチに睨み合う。喧嘩をおっ始めた二匹の猫そのものだ。


「お前、ビィビィにひどいことした! 嫌い!」

「キュッキュ、キュ!」


 対立は初めて出会った後の出来事に起因する。ビィビィとレトの仲は深まらず、寧ろ敵対が強くなっていた。


「ま、待て、お前ら仲良くしろって……」

「お兄ちゃんいじめるの許さないっ! 懲らしめてやるもんっ!」

「キュアァッ!!」

「あっ……!」


 獣と少女の足が地面を蹴る。

 制止も届かず、一触即発の空気に火蓋が落とされた。


「喧嘩は止めろぉ──っ!!」


 手を伸ばし、牙を剥くビィビィ達を止めようとして間に飛び込む。


 間に合え……あっ。

 ちょ、これ、やば……っ。






 ──かりりっ




「~~~~っ!!」


 ダブルコンボで腕に歯がくい込む。

 レト、ビィビィ、それぞれに腕を噛まれるという散々な結果で幕が下ろされた。


「ごめんなさい、お兄ちゃん……」

「いいんだ。ビィビィが正気だっただけでも分かったんだし」

ほへへあおふふぁふぁ(これで治るかな)あ?」

「お、おう。もっと良い方法があるんだが、ありがとう」


 反省を示して、ビィビィが甘噛みして舐めてくる。気持ちは嬉しいのだが、傷口が唾液でデロデロだ。


「お前も見習えー?」

「キュンッ!」

「おい、そっぽ向くな」


 レトは反省の色無しか……。


「どうしたの、今の騒ぎはなに?」

「猫の喧嘩だ。大したことじゃないさ」

「あっ」


 騒ぎを聞きつけて現れるフィンチ。一目見るやビィビィが立ち上がって、彼女の前に駆け寄る。

 フィンチに用があるみたいだが、何をする気だ?


「な、なにかしら?」

「あのね……ごめんなさい」

「え?」


 謝罪の言葉がフィンチに向けられた。

 まさか謝るとは思わなくて、意外な分だけ耳に強く残る。


「ど、どういうこと?」

「ビィビィ、悪いことしちゃった。だから謝るの」


 なるほど、理解した。


 ビィビィは謝りたかったのだ。暴走を起こし、フィンチを襲おうとした事を。

 泣いて、悔いて、教えてもらったことを実践して、許してもらおうと行動に移したんだ。


 唐突な行動に、フィンチはおろおろとしている。俺からも言ってやろうか。


「反省してるから許してやってくれねえかな?」

「そうね……私も貴方を傷付けてしまったわ。ごめんなさいね。仲直りしたいのだけど、いいかしら?」

「仲直り!? ほんと!?」

「ええ、貴方さえ良かったら」

「するするっ! ビィビィ、仲直りするっ!」


 この瞬間、わだかまりは消えた。

 フィンチが抱える畏怖は薄らいでいる。仲直りできたビィビィは憑き物が取れたように綻ばせた。


「どうだ? 上手くいっただろ?」

「うんっ! お兄ちゃんの言ったとおりだった! ありがとう!」


 ビィビィの嬉しそうな姿を見て、こっちも晴々としたものを感じる。



 ──やっぱりビィビィは普通の子供だ。



「私ね、芸術品を作っているんだけど見てくれるかしら?」

「ゲージュツヒン?」

「そうよ。私が考えて作ったものよ。気に入ってくれたら嬉しいわ」

「見たい見たい! 見せて!」

「はは、なんだなんだ。もう仲良くなってんなあ」

「ありがとうね、シンジ。貴方、暖炉の前で寝てたのよ」

「そりゃ全身が痛いわけだ」

「カチコチになっていたんでしょう? ちょうどいいわ。あの子を起こしてらっしゃい」


 フィンチの指が上に向き、天井を指す。


 二階? ああ、テレサか。

 なんだ、まだ寝ているのか。寝坊するようなズボラじゃなかったと思うが、遅くまで起きてたんだ。たまにはこういう日もあるか。


「テレサさーん、朝ですよー」


 階段を上り、部屋の前へ。

 まだ寝ている彼女を起こそうと、扉を開けようとした──その時だ。


『うぅーん……』


 応じているとも言えない返事……じゃなくて寝言が部屋の中から漏れる。

 声はテレサのものじゃなかった。


「うん?」


 聞き覚えのあるような無いような声に違和感を覚えた。


 妙だな……。

 この家はテレサ、フィンチ、ビィビィ、レト、俺しかいない。あの声はどれとも該当しない。


 部屋の中に知らない人間がいる。聞いたことがある声だがパッと思いつかない。


 誰だ? 誰が使っているんだ?


 気になり、ドアをそっと開ける。キィという音が緊張で重みを増している。

 オープンしたドアの向こう側の景色が映された。



「──は?」



 部屋の中にテレサはいない。

 その代わりに、テレサが使っていた寝床に美少女が眠っていた。


「なん、だとぅ……?」


 ロザリーヌだ。ロザリーヌがいる。

 かのフィオーレのワガママクソ令嬢がそこで寝ている。


 あれ? あれ、あれれぇ?


 暫し困惑の不動。夢でも見たのかと思ったが、目蓋を擦っても何も変わらない。

 確かにそこでスヤスヤと寝ている。腐っても見目麗しいお嬢様なんで、簡素な造りの一般市民が使うベッドで眠っている様が似合わない。


 それはさておき、だ。

 意味がわからない。なんでロザリーヌがフィンチの家にいるの……?


 此処はフィンチの家。こんな所に名家の令嬢が来るはずがない。そう、来るはずがないんだ。

 二人に接点は……ん? そういや昨晩フィンチが何か言ってたような……。


「ああっ、シンジさん! 見てしまったのですか!」


 困惑に包まれる中、部屋には居なかったテレサが慌てて駆けつけて来る。

 その言いぶり、ロザリーヌがいる理由を知っているな。俺がいない間に何が起こっているのか見聞きしているはずだ。


「なにこれ? どういうこと?」

「こ、これは、実は……フィオーレさんを預かることになりまして……」

「ホワッツ?」


 ロザリーヌを……預かるぅ? ワケがわからんぞ!


「預かるって、どういうことだよ?」

「そのままの意味です。不本意ですが……」

「何があったんだよ? というかトゥールはどうした? あいつがどうにかしてくれる手筈だったろ?」

「伝言がありまして……『お守りは一人で手一杯じゃから、お主らに任せるのじゃ!』と」


 任せるのじゃ! じゃねえーっ!!


「断りたかったのですが、結局断れずに……」

「かあぁっ! ロリっ娘があぁっ!!」


 面倒なモン押し付けていきやがったあぁ……!!


 ロザリーヌと入れ替わり、変装した俺がフィオーレ家から脱出したことで結婚を不成立にする。それに手を貸しただけなのに、押し付けられるとは……。


 あいつの幻が頭上でほくそ笑んでやがる。あー笑うな笑うな腹が立つ。


 クソガキがっ! ミニマムがっ! 合法ロリがっ!


 次会ったら礼をたっぷりしてやる!!

 はい? 貴族街に連れて行ってもらった恩? ナニソレオイシイノ?


「大変だったのよ。ベッドが合わない~なんて文句を言われてね。結局は眠っちゃったんだけど」


 いつの間にか来ていたフィンチがその時の苦労を思い出し、溜息に変換する。


「さ、起こしてあげましょ」

「え? ええぇー。俺がやんのかよ」

「起こさなくていいと思いますよ。このまま眠らせておいてください」

「そういう訳にいかねえけどさ……」


 どのみちロザリーヌは起きる。この場に居る以上、避けては通れないイベントがある……が気が重いな。


「うーん……」


 あ、目が覚めた。


「…………」


 朝日に迎えられ、上半身を起こす。傍で見守っている俺達を見るが、特に何の反応を見せずにいる。

 ぽけーっとしてる。まだ寝ぼけてるな。


「もしもーし、起きてるかー?」


 手を振ると、ロザリーヌが目をパチパチさせた。

 眠りで緩慢となっている思考が、時間を掛けて覚醒していく。


 ようやくハッとしたかと思うと、


「ブサイクッ!!!」

「理不尽っ!!!」


 拳が顔面に吸い込まれる。起床して早々、お嬢様の拳が炸裂するのだった。





「う~ん、テレーゼ〜。なんとも素敵ですわ〜」


 起床の後、花と華が束になっていた。


 起きるやすぐにロザリーヌがテレサを抱き締め、自身の大ぶりな胸間に頭半分まで挟んでいる。

 ココルではテレサを求めて陰謀を企てたほどだ。すぐそこに居るのだから、こうもしてこよう。


 なぜって? その……同性の壁を越えた感情がロザリーヌにはあってね。テレサに近付けるのは良くないんだ。


「やめて! 離れてください! 引っ叩きますよ!」


 テレサはとても嫌がり、お嬢様から離れようとするのだが……ぷるんと谷間に戻された。


 いいなあ、俺もそこに入れて欲し……いやいや、朝っぱらから迷惑掛けるなあ、このお嬢様は。


「シンジさん! 助けてください! フィオーレさんが……っ」

「もうっ、ロジーと呼んでくださいまし! ワタクシ達は既に親友ですわ〜」

「誰が貴方とッいつ親友になったんですかっっっ!! いい加減にしてください!」


 ぎゅっと抱き締めるナイスバディを押し退けようとするが、力負け。拘束は解けず、ロザリーヌのしつこい抱擁からは逃れられない。


「あぁ〜素晴らしいわぁ~。二人とも良いわぁ〜」


 押しの離れの攻防を、フィンチはうっとりとしながら見守っている。

 ロザリーヌを止める気が無く、興奮混じりの観察。芸術家としての本能が勝ってる。頭の中はインスピレーションが湧いているはずだ。


「おいおい、そこでやめておけ」

「ん~~っ、はあっ。髪の毛も肌も良いですわ〜〜!!」

「聞いてねえじゃん」

「やめっ……あうっ」


 ついには頬が重なり、びっちりとくっつく。

 喜色満面となったロザリーヌが、すりすりと柔肌を擦り合わせて感触を味わっている。


 甘い息が感想を物語っている。

 かなり幸せそうだ。テレサは嫌悪満面だが。


「助けてシンジさん!」

「はいはい、助けにいきますよっと」


 テレサからのヘルプコール。止めに行こうとして、途中で止めた。


「んー……」

「あれ、どうしたんですか?」

「いやな、百合の間に挟まろうとする奴は馬に蹴られて死ぬっていうだろ?」

「初めて聞きましたが?」

「つまりだな、もう少しこのままで良いんじゃないか?」

「シンジさん!?」

「悪いな。まだ見ていたいんだ。後で埋め合わせするから辛抱してくれ」

「シンジさーん!!」


 ショックを受け、テレサは絶望を露わにするのだった。

 すまないと心の声を送りつつ、これからの生活に新たな波紋が生じたことに懸念を抱いた。


 ふーむ、ビィビィにロザリーヌか。

 一晩明けて二人も、それもモンスターとお嬢様を一緒に預かるとは思いもしなかったな。


「ねーねー、あのお姉ちゃんはだあれ?」


 顔を出してきたのはビィビィだ。

 騒ぎを聞いて来たのだろう。この子は純粋だからロザリーヌに会わせたくなかったなあ。


「すごいねー。大きい木の実が二つあるよ。服の中に木の実を隠してるのかな?」

「あいつは気にするな。大きいのは確かだが、あまり近付かないほうが良いぞ」

「そうなの? でもあのお姉ちゃんキラキラしてて綺麗だね。ビィビィ、仲良くなってみたい」

「綺麗なんだがな。あの女は──」

「な……ひいっ! なんですのアレは! 大変よ! バケモノがそこにっ!」


 テレサを抱き締め堪能していたロザリーヌがビィビィに気付く。

 それまで昂ぶっていた感情を一転させて反応。彼女もまた初見の時のフィンチと同じ反応──いや、もっとひどいかもしれん──を見せた。


「わ、ワタクシに近寄らないで!!」

「あ……」


 はーあ、まーたこれだ。ビィビィが傷付いてるよ。


「気味が悪い、とても醜いですわ……!」


 ビィビィを見つめ、不快と畏怖を顔に刻む。


 名家の下、ワガママに育ったロザリーヌにとっては醜悪に映っている。それがムカついて仕方ない。あの美顔を叩いてやりたいくらいだ。


「あいつの言ってること気にするなよ。俺らがいるからな?」

「うん……」

「な、な、ななな! バケモノが喋りましたわ!」

「喋るに決まってんだろうが。アホかお前は」

「あ、アホ……!?」

「この子はビィビィっていうんだ。ちとワケありだが、仲良くしてやってくれ」

「はい!? 仲良くする……!? ワタクシ、聞き違えてしまいましたわ。今なんと仰いましたの?」

「仲良くしろと言ったんだよ。お前にな」

「い、いいい嫌ですわよ! どうしてワタクシがバケモノなんかと! 病気が移ってしまいそうですわっ!」


 否定する勢いで申し出を断る。正気を疑わんばかりの態度を見せている。


 ひでぇ言いっぷりだ。

 人ってこんなにも酷い事が言えるもんなんだな。


「いいですか、そのおぞましい生き物を近付けてはなりません。よろしいわねっ!」

「おぞましいとか言うな。はっ倒すぞ」

「なっ!? 先程からワタクシに向かってぇ……!」


 柳眉が逆立ち、睨む。ロザリーヌの怒りが向けられ、びっと指を差してくる。


「口の利き方がなっていませんのね! これだから下民は! ワタクシは誇り高きフィオーレ家の娘ですのよっ!」

「知るか。利き方がなっていないのはお前のほうだ。助けてもらった分際で何を言ってんだか。」

「助けてもらっていません! 拐かされたのです!」

「か、かどわか……っ」


 誘拐扱いかよ。それにしちゃあテレサにくっついて喜んでたが。


「これは誘拐です! くれぐれも助けた等と見当違いな思い上がりはしないでくださる!? あ、テレーゼは別ですわよ」


 ぐっ……ムカつくなあ。


 その後もロザリーヌは上から目線であーだこーだ嫌味を捲したてる。フィンチもテレサも各々で呆れていた。


 まったく、このお嬢様は腹を立たせるのが上手いなあ。

 無駄に尊大な言動を矯正しないと言うのなら……ちょっと黙らせてやるか。


「あのな、それ以上たらたらと文句垂れ流してると、こっちにも一つ考えがある」

「なんです? 下民の分際でこのフィオーレ家の一人であるワタクシに何を……」

「いい加減にしないとバルガーネに身柄を渡してもいいんだぞ」

「ひっ!?」


 バルガーネの名を出すと、ロザリーヌの上から目線を貫いた表情が歪み、鳥肌も立った。


「あっ、ひ、ひいぃ! 嫁ぐのはっ……あの男に嫁ぐのは絶対嫌ですわっ!」


 青ざめ、頭を抱えながら拒絶反応を見せるロザリーヌ。それだけお嬢様は結婚を拒んでいた。

 歳も離れていて、俺も認める気持ち悪さを持ったバルガーネ。しかし、これは大人しくさせるのに良い方法だ。


「お前の好き嫌いは知らん。だがな、匿ってもらってる以上は文句を言うな」

「ぐぬぬ……!!」

「現状を受け入れろ。この生活に慣れろ。そして仲良くしろ」

「わ、ワタクシはフィオーレ家のぉ……!」

「それがなんだ? 家の助けは無いんだよ。家に戻りゃあ即刻バルガーネに嫁がされるぞ。よぉ〜く理解したか?」

「くうぅぅぅ〜……!」


 悔しさで見目麗しい顔がくしゃくしゃになる。犬の鳴くような声が漏れ、泣きそうになっていた。


「なんだかお姉ちゃん可哀そう……」


 ビィビィがロザリーヌに憐れみを送る。ただそれだけ。

 憂えたところでお嬢様にとって逃げ道のないこの状況は変わらない。テレサとフィンチは口を挟まない。つまり、ロザリーヌの味方は此処にはいないのだ。


「すこぶる屈辱的ですわ……!!」

「へいへい、屈辱的だな」

「およよ……このフィオーレ・ヴェネティッタ・ロザリーヌ。明日が見えませんわ……」


 皆の前で膝から崩れ落ちるロザリーヌ。先が見えず悲観に明け暮れるが、どこか劇場的でまだ余裕がありそうな気もした。


 うーん、ロザリーヌとも過ごす羽目になってしまった。

 いつまでもフィンチの家に居候させるにもいかないよなあ。トゥールの言葉通り、俺達が子守りをするってことで……頭が重いなあ。


「シンジさん、どうします?」

「どうもこうも……俺達が引き取るしかねえよ。不本意だが……」


 その後、ビィビィに向いて肩に手を置く。


「お兄ちゃん、どうしたの?」

「なあ……あんな奴だけど可哀そうだから仲良くなってやらねえかな?」

「あのお姉ちゃんと仲良く……?」

「あの女と一緒に居なくちゃならなくなったんだ。でも、ビィビィが嫌と言うのならそれでもいい。できるだけ会わせないようにするよ」


 ビィビィは黙り、考える。でも時間は掛からなかった。


「ううんっ、嫌じゃないよ。ビィビィ、仲良くするの頑張ってみる!」


 ひどい事を言われたばかりなのに気持ち良く頷いてくれるビィビィ。

 ロザリーヌでも仲良くなりたいなんて、この子は良い子だ。


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