表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を創って神様になったけど実際は甘くないようです。  作者: ヨルベス
第1章 出立

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/109

第49話 深闇の底にて


 其処は暗所――というよりも闇そのものと言える世界。


 どこを見廻しても闇、闇、闇。

 光の一切存在しない世界――視界を阻害し全ての感覚が断絶されそうな深き穿ちの底にロギニはいた。


 ロギニが生む雑音以外は無音。小さな音さえ騒音に変わる。

 何もかもが寝静まったそこは草の根ほども無く活気が全く感じられない……が、静かな空間の中に蠢く気配が続いていて、まさしく胃袋の中に居るような雰囲気だ。


 やっとのところだった。勝てる(ころせる)はずだった。

 それは自然法則と同じと言っても過言ではない当たり前のこと。


 ネメオスライアーはモンスターの中でもかなりの強さがあった。

 加えて強化を施してさえした。不死身にも至った。不死の猛獣を殺すなぞどこの化け物が殺せようか。

 不死を殺す者が存在するならそれは英雄、または同じ化け者だ。


 なぶり殺しにしてやろうと思ったら……あの意味不明な光だ。

 ネメオスライアーを失い、優勢を覆されたロギニは光の奔流に灰にされる前に脱出、しぶとくも逃げ果たした。


 思い出すだけでも忌わしい。逃げ帰った後しばらくは毒づいたものだ。


 厚い持て成しを受けた傷は燃えるような痛みを主張する。掠めた火傷はまだ癒えていない。

 止まず苛ませ続ける苦しみもまた虫の居所を悪くさせる。どこへ漏出することのない感情がロギニの身を震わせた。


「あの光は……」


 轟々と流れる大河のような光流……あれは、いわば不具合(、、、)だ。

 二人が編み出したものではなく、女の光の腕(うで)が偶然にもオリジンの力の一片を引き起こしたのだ。


 なんとも奇跡的な(ズルい)ことか。あんな偶発的なものでやられるとは光栄(さいあく)だ。

 チートスキルを消してまで追い詰めたのに……。


「まあせいぜい華々しい勝利に酔いしれてろ……」


 一時の平和を勝ち取ったシンジに対し恨めしそうに呟く。

 決して、決して負け惜しみなどではなく。


 それよりも確かめたい事がロギニの頭を占めていた。


「アイツが降りた理由(わけ)を調べねーとな……」


 シンジ………オリジン……。


 現在(いま)にして姿を見せた奴が何処へ向かうのか。

 簡単には放ってはおけない。シンジは懸念材料だ。

 ソランジュに行く為に必要だが、彼の動向は優先すべき行動を揺るがす。


 奇妙な執着を向けるロギニはどこまでも絶対的な、思考すら奪ってくる闇と闘い続ける。


 もしかしたら――と。


 ひととき前まで敗北の苦味を浮かべていた口元がやがて歪む。

 焦燥ではなく、薄ら笑いを。

 気味悪い色に染まる唇は一つの思惑を含んでいた。


 妖しい空気に包まれたロギニを目撃するのは暗闇と――奇妙な肉塊(ぶったい)だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ