リナリアの空
2作品目です。今回は台詞なしで少し詩のようにしてみました。
気付いて、私を見て、おねがいだから
独りにしないで
内気な少女は今日も想う。迎えに来る王子様はどこかしら、と。部屋に籠った少女は願う。早くこの世界から連れ出して、と。
彼女の王子様はいつの日か、彼女の前に現れるようになった。
「ほら、一緒に行こうよ」
王子様とは程遠い、全く格好をつけた様子のないその一言が、少女の心を動かした。少年の屈託のない微笑みが、彼女の心を奪っていった。
少女と少年はいつの日か、同じ学校に通うようになった。少女は独りぼっちの世界から、少年とともに広い世界へ飛び出した。
しかし少女に見えるのは唯1人。世界を広げた少年のみだった。
しかし少年は少女の想いも知らず、他の少女を好いていた。
悲しみに暮れる少女はまた、独りの世界に逆戻り。少女は涙で池を作り、少年は少女の身を案じつつも他の少女を優先していた。
少年が他の少女を失った時、初めて独りになった。そして少女の大切さを知った。少年は自分の思いに気付いたが、時はすでに遅かった。少女は部屋で閉じこもり、外界との接触を絶ったのだ。
少年はまた他の少女に目を向けて、少女の事を忘れようとした。
それを知った少女は空へ向かって飛び出した。
そして少女は星に願う。"この恋に気付いて"
これは一人の少女と少年の物語。淡く切ない恋をただずっと見ていたのは、少女の家で咲いていたリナリアの花1輪。その後2人がどうなったのか、リナリアの花に教えてもらわなければわかりませんが、ここでこの物語の幕を閉じさせていただきましょう。それではまた、この劇場で。
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