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雨に青年

 もう泣くのはやめようと決めたのはいつの頃だろう

 人を信じてはいけないと知ったのと同じ時期だったはずだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 大粒の雨が地面を割るかの如く降る。

 キリアは読みかけていた本から目を離すと窓の外を見てため息をつきたくなった。

 雨は昨日から一度も止まず降り続いている。

 最悪だ。

 雨漏りが先程からひどいのだ。

 キリアが住む神官の寮はお世辞にも綺麗とは言えない。それに、キリアは見習い神官のため、神殿から与えられた部屋は屋根裏部屋。雨漏りしないわけがない。

 最初、雨漏りは一ヶ所だけだった。それが一つまた一つと増え、今や数えれば心が折れそうになるほどの数となってしまった。

 今安全な場所は窓際ぐらいだ。ベットを窓際に置いておいて良かったと思う。

 見習いのため文句など言えない。

身の安全のためだとキリアは自分に言い聞かせ、悪いことばかり考えてもキリがないと窓の外に目を向けた。

 窓からはレシアス川が見える。その昔、女神レシアスが水浴びをしていたことから名付けられたらしい。

 由来はどうでもいいが、窓から川が見えるのはいいことだ。晴れていれば良い景色だと言えるだろう。晴れていれば……

 良いところを考えても雨が邪魔をしてしまう。

ーーもういい、無心でいよう無心で。

 そう決めたからだろうか。

 そう決めたあと、何気なく外を眺め、それに気づいた。

 川の岸辺に倒れている人。

 ここからでは男か女か、生きているか死んでいるかも分からない。

 助けなきゃ

 そう思った瞬間にはもう体が動いていた。

 階段を駆け下り、外へと出る。

「キリア⁉︎今何時だと思ってるの‼︎」

 先輩たちの声がが後ろから聞こえるが気にしない。後で怒らるだろうが無視して駆け出す。

 雨足は先程よりも強くなっていた。


 




川岸へ続く道は思ったより足場が悪く、歩くのも一苦労だった。少しでも気を抜けば、足を滑らせ川に落ちてしまいそうだ。

 川は水かさが増し、轟々《ごうごう》と音を立て、いつもの穏やかさが嘘のように荒れている。

 あの人は大丈夫だろうか?

 そんな不安が雨と共に増していく。

 部屋から見たときは水には浸かってなかった。だが、この雨の中ではそれがいつまでもつかは分からない。

 キリアは足元に気をつけながら窓から見た場所へと近づいていく。

 しばらく進むと土が盛り上がっている所に出、そこが窓から見た場所だと気付くとキリアは右手に持っている明かりをかざし、周りを見た。

 その姿はすぐに見つかった。

 その人はキリアから少し離れた場所に仰向けに倒れていた。

「おい‼︎大丈夫か⁉︎」

 かけよって顔を覗くと微かではあるが、息が顔に当たった。生きている。

 顔が長い為、女かと思ったが男だった。黒い神に黒い服が死神を連想させる。

(もしかすると本物だったりして……)

 裾が長い黒服は伝説上の死神アーリアスの服装に似ている。アーリアスは人の命を切り取ると言われているため、もし、この人がそうならばと思うとぞっとする。

(なわけないか)

キリアは自分の考えに苦笑した。

神がこんなところで倒れている訳ないかと納得した。

とりあえず今はこの人を助けなければいけない。

キリア

17歳

156cm

黒髮と黒い瞳が特徴的

レシアス神殿の見習い神官

孤児でレシアス神殿で育った

孤児とチビという言葉は嫌い

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