第4話
部活終わったーっ!疲れたー!
さて帰ろうと思って校門に行くと、姉の夏希が待っていた。
うっわ、男子に囲まれてる。行きたくない〜。
そう思っていたら向こうの方が私に気がついたみたい。
「瑞希〜!帰ろーっ」
周りにいた男子は邪魔だと言わんばかりに私を睨みつけてくる。その男子が沢山いるところに来いと⁉︎
無理、無理ですお姉様。私は豆腐メンタルなんです。
「夏希ちゃん、もう少し俺と喋んない?」
「ごめんねー、瑞希待たせるわけにもいかないから、また明日話そう?」
その言い方やめてくれ!
ひっ!もっと睨まれた!
「夏希、相変わらず人気だね…」
「そんなことないよー。みんなが優しいのよ」
「…………うん……そっか……」
夏希はひどく鈍感である。
ゲームか漫画のヒロインかよ…。
おっと、忘れるところだった。
「夏希、これ」
そう言って今日預かったラブレターを渡した。
「うわぁ、ごめんねー。ありがと!誰からかなあ」
「私のクラスの重岡くんだよ。知らない?」
「知らないなぁ…」
まじかよ。知らない人にラブレター渡せるのか…。まさに菩薩メンタル。私には一生無理だね。
「てか夏希、私のクラスで知ってる人とかいるの?まだ入学して3ヶ月しか経ってないからほとんど知らないんじゃないの?」
「ほとんどわかんないなー」
ですよねー。
「あっ、でも1人知ってる人いるよ!」
「えっ、誰誰?」
「西宮くん」
なるほど。彼はうちのクラスだけでなく、他のクラスの子にも人気があるのかも。
まあ、かっこいいもんねー。
「西宮くん、かっこいいよね」
「お?夏希は西宮くんみたいな人がタイプ?いいこと聞いた!夏希、そういうの全然言わないもん」
「えー、タイプってわけじゃないよ。かっこいいとは思うけど、それだけかなー」
「そうなの?それは残念」
「瑞希も全然そういうこと言わないよね。どう思う?西宮くん」
「私もかっこいいとは思うよ。けど住む世界が違う人というかなんというか」
「なるほどー」
彼はいい友達だ。
その日は夏希と珍しく恋バナをしながら下校した。恋バナとか、夏希とあんまりしたことなかったけど結構楽しいもんだなー。
***
西宮くんがまた告白されたそうだ。
しかも1学年上の、美人だと有名な先輩に。
しかし、西宮くんの首が縦に振られることはなかったらしい。
昼休み。
また私は西宮くんと話していた。
この最近は西宮くんとよく話すなぁ。
あ、そうだ。
「あのさあ西宮くん」
「何?」
「美人な先輩に告白されたって本当?」
「ぶふぉっ⁉︎」
西宮くんは飲んでいたコーヒー牛乳を盛大に吹いた。
「な、何でそれを…」
「噂で聞いた。私まで届くってことは、もう相当知れ渡ってると思った方がいいよ」
まじかよ、早すぎだろ…と呟きながら西宮くんはため息をついた。
「西宮くんてさ、彼女いるの?」
「いないけど。何で?」
嘘⁉︎他校とかにいるから断ってるとか、そういうことじゃないの⁉︎
「いや、西宮くんが告白を受け入れたこととか聞いたことないから、他校とかにすでにいるのかと…」
「いない、いないよ!断ってるのは、単に俺がその子のこと恋愛的に好きじゃないからってだけで」
そう言って再びコーヒー牛乳を飲み始めた。
「じゃあ、好きな子はいるの?」
「ぐふっ⁉︎」
今度はむせたみたいだ。
この反応は…もしやいるな?
これは気になる!何人もの人から告白されておきながら、誰とも付き合っていない西宮くんの好きになる人ってどんな人だろう。
これは問い詰めなければ!
「ねえ、どんな人どんな人?うちのクラス?気になる!どんなことでもいいから教えてー!」
「見たことがないくらい中原の目が輝いてる⁉︎てか、まだいるともいないとも言ってないよな⁉︎」
「西宮くんわかりやすすぎるよー。いるんでしょ?ほら、正直に言ってごらんなさい!」
西宮くんはちょっと俯いて。
「……………ょ」
「ん?」
ちょっとよく聞こえなかった。なんて言った?
「〜〜っ!いるよ!ああもう、言うつもりなかったのに!」
おおお…!西宮くんはこれ以上ないほど顔を真っ赤にしていた。
「誰?誰?」
「教えない!これ以上は無理!」
そっかー、残念。でもいると知っただけでも満足だ。
西宮くんて意外と純情なんだなーとか思った。