05.乙女の秘密
★☆★ デブのオッサン、デブータ視点 ★☆★
ああ、もう! 俺は馬鹿か!
替えの包帯ぐらい、先に用意しとけっていうんだ!
彼女の体に巻かれていた血まみれの包帯、というかサラシ。それをそのまま彼女に巻く? 常識としてあり得ないだろ。
俺は新しい包帯を取りに納屋に向かった。
替えの包帯は充分にある。でもほとんどは俺が一度使ったものだ。ちゃんと洗ってあるとはいえ、そのまま乙女に使って良いものか。
そんなこと、少しでも考えれば誰でもわかるだろう?
オッサンの血と油が一度しみ込んだら、どれだけ洗おうが、煮沸消毒しようが、何をしようが、それはもうオッサンの一部なのだ。
「新品……たしかあったはずだ」
棚の上から少し埃をかぶった箱を取って中身を確認する。
よし、あったぞ。これなら何とかなりそうだ。
取り替えた包帯も洗った方がいいけど、乙女の肌に触れる物を俺が洗うのもどうなのか。
彼女に洗ってもらう? いやいやいや、前世のように洗濯機に放り込めば済む話じゃない。
この世界では洗濯は大変な重労働。とても怪我人にやらせるような仕事じゃないのだ。
彼女と相談するか? それはそれで問題だ。
包帯を替えられてしまったことは彼女にとって最大級の恥辱のはず。それを思い出させるなんて、傷をナイフで抉るようなものだ。
ならば気づかれないように黙って洗っておくか? その方がまだマシなんじゃないか?
だからそれがダメだから悩んでるんだよ! わかれよ、俺! 馬鹿なのか?
考え事に気を取られていて、気配に気付かなかった。
元の部屋の扉を開けると、寝ているはずの彼女がいない。
その代わりに、まるで輝くような乙女が立ちすくんでいる。
「キャーッ! 見ないで!」
大きな叫び声をあげてうずくまる彼女を前に、俺はただ眼を逸らすことしかできない。
手に抱えていた箱が床に落ち、中の包帯がコロコロ転がった。
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
急いで逃げ出そう!
服を着る時間がもったいない。ここは抱えて逃げ出すしかない。
いや、それよりも先に武器だ。
離れたところに無造作に置いてある愛剣に手を伸ばす。
バタン!
扉が開いた。まさかこんなに早く戻ってくるなんて!
武器は無い、鎧も無い。
まさに絶体絶命!
あまりの危機感に思考がショートした。
ぽんっ!
押さえつけていたプラチナブロンドの豊かな髪が、スパークするかのように弾ける。
え? 見られた?
それは私の最大の秘密、コンプレックスのかたまり。
剛毛。
それがはっきりと、まるでネギ坊主のように逆立った。
「キャーッ! 見ないで!」
見られた! 見られた! 見られた!
死んじゃう、死んじゃう~~!
ああ、神さま、こんなのってあんまりです!
乙女の危機!
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