03.鬼の住処
★☆★ 取っ捕まった少年?視点 ★☆★
ギイッ
扉が開かれる音に、私は思わず薄目を開けて周囲を確認した。
人食い鬼の住処なんて、どうせ洞窟か何かだろう。そう思っていたら実はそうでもない。想像していたよりも遥かに立派な山小屋だ。
(このまま鍋の中にでも放り込まれるのかな……)
どうやら違った。何かベッドのような場所に、放り投げたりされることもなく静かに寝かされた。乱暴にすると味が落ちる、とかあるのかもしれない。
特有の獣臭さが周囲にどうしようもなく充満している。
見た目は小綺麗だけど、その肌がひりつくような腐臭だけは隠せない。
(そうか、ここでバラバラにされちゃうんだわ)
ごくり、自分でつばを飲み込む音が部屋の中に響く。
ふう、大丈夫、なんとか気づかれずに済んだようだ。
人食い鬼のゴツゴツした岩のような手が伸びてきた。そうか、服は食べないんだ。
なんて凶悪な腕だ。隠し持った短剣、こんな物じゃ傷つけることなんてできっこない。
「グググ……」
人食い鬼は轟くように喉を鳴らす。それだけで命の炎がかき消されてしまいそうだ。
「………っ!」
ここで気づかれたらおしまいだ。
声にならない声を上げ、なんとか気力を奮い立たせる。
早く逃げなきゃ。でもどうやって?
涙があふれそうになるのを必死で我慢し、途方に暮れそうになりながら、私はチャンスが訪れるのをひたすら待った。
★☆★ 人食い鬼デブータ視点 ★☆★
少年の服はところどころ刃物のようなもので切り裂かれ、中からは血がにじみ出していた。
こりゃ、連れ帰って治療してやらないといけない。
俺は足早に山小屋に戻ると、いつもの寝床に少年の体を優しく横たえた。
おいおい、加齢臭のカタマリなのはわかるけど、だからって意識も無いくせにそんな死にそうな顔をしなくても……オッサン、泣いちゃうぞ?
服を脱がせていくと、ふわっと部屋中に甘い香りが漂った。香水かな。さすが貴族、俺たちなんかとは次元が違うぜ。
「うぐぐ?」
おい、思わず声が漏れてしまったぞ。
なんだこりゃ?
こいつ、最初っから包帯でぐるぐる巻きじゃないか! まだ若いだろうに、いったいどんな面倒なことに巻き込まれてやがるんだ……
さっさと古い包帯を取って、新しいのに替えてやら……ない……と……?
ぼよよんっ!
少年の胸元がいきなり、弾けるように自己主張した。
そしてそこには、真っ白でふわふわで、そしてすべすべな乙女の秘密が……
待て待て待て待て! 違う、俺じゃない!
包帯じゃなくて、サラシだなんて、聞いてない!
思わず一瞬ガン見してしまったが、事故だ! そう、これは事故なんだ! けっして痴漢じゃあ……だめだ、こんな言い訳通じない、あああ……。
どうするんだよ、これ……。
これはもう、間違いなく事案。
一瞬見えてしまった、乙女の大切な秘密。それを頭の隅々から追い払って、俺は天井を睨みつける。
本当にどうすれば良いのか、途方に暮れながら。
社会的に死んだオッサン!
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