02.追手たち
★☆★ そのまま、おっさんデブータ視点 ★☆★
どうやら少年を追いかけてきた奴らは、一人や二人じゃなさそうだ。
これ、話し合いで解決しないかな、頼むから。
俺、一応冒険者はやってるんだけど、他人と喧嘩なんかしたことないんだよな。
口下手だし話し合いは苦手だけど、でも話せばわかってもらえると思うんだ。俺はただの通りすがりで何も関係ないって。
ガサガサガサ……。
追手と思われる奴らが、少し離れた草むらから顔を出した。五人、いや六人もいるぞ。
よし、話し合いだ! まずはこちらから話しかけて……
「おいっ!」
俺が声をかけると、奴らは一斉にこちらに振り向いた。
「ひっ!」
「人食い鬼だ!」
「おい、ちょっと!」
「く、食われる!」
「お助けを~っ!」
「ちょっと待てって!」
追手っぽい奴らは、何かを叫びながら全力で逃げていった。
…………ふぅ。
細かいことはわからないけど、これは話し合いで終わったと言って良いんだろうか。
確かに『この山には人食い鬼がいる』なんてうわさがあるんだよな。俺は一度も見たことはないし、ただのうわさだと思うが。
だからと言って、人の顔を見ていきなり『人食い鬼』は無いよな。
そりゃあ俺はかなりのデブだし毛深いし、顔はハンサムとは言えない。それだけじゃなく、最近ちょっと額が薄くなってきてる。
でもいきなり人食い鬼呼ばわりは、さすがに失礼だと思うんだ。まずは挨拶、これが社会人としての基本だぞ。
こう見えてガラスの精神だから、もうちょっと優しくしてほしい。
腕の中のプラチナブロンドの少年を見る。
やっぱり気絶している。
「はあ、面倒だ~」
俺は気を失った少年を小脇に抱えると、元来た道を引き返して自分の山小屋へと戻った。
★☆★ 取っ捕まった少年?視点 ★☆★
思わず飛びついて助けを求めた大男。
その体形、そして毛むくじゃらの姿。
間違いない、人食い鬼だ!
(私って何でこう運が無いのかしら)
なんとか隙を見て逃げ出さないと。しかし人食い鬼の太い腕でがっしりと抱えられていて、身動きが取れない。
草むらから追手が現れたのが、その気配だけでわかった。
かなり凄腕の六人組。私では一対一でも厳しい相手だ。
よし、人食い鬼が戦っている隙に……
その時!
「ゥオオオオーーイイイッ!」
魂が凍り付くほどの咆哮!
戦う事すら許されず、すっとぶように逃げていく凄腕の追手たち。
追手はいなくなった。でも事態はまったく良くなっていない。
むしろ悪くなっている。
(こうなったら気を失ったふりをして、チャンスを待つしかないわね……)
少しは運が回って来てくれれば嬉しいのだけれど。
私は人食い鬼の腕でガチっと捕まえられたまま、どこへともなく運ばれることになった。
たぶん、この人食い鬼の巣へ。
生きたまま食われる、それだけはなんとか避けたいのだけれど……。
私は手足が震えるのを必死で我慢し泣きそうになりながら、ただ狸寝入りを続けていた。
謎の少年の運命は? そしてその正体やいかに!
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