14.夕焼け小焼け
★☆★ おっさんデブータ視点 ★☆★
町で用事を済ませ、山小屋に帰ってきた時にはもう夕日が山々にかかっていた。
思ったより遅くなったな。この山ってかなり険しいからなぁ。
病み上がりのアデラに無理をさせ過ぎたと思うけど、本人がやれる、やりたいって言ってたし、言ったからにはちゃんと自分で責任持ってもらわないとね。
「今日は疲れたし早めに寝よう。夕食は適当に肉でも焼こうか。」
肉のかたまりを厚めに切って、適当に塩をかけて焼く。
「だから、なんでこんなに!」
ん? ただの肉だぞ?
何度も言うけど、丁寧な下ごしらえ、それとしっかりした温度管理。もうそれだけだって。
丁寧にスジを切るとか、そこから肉汁が逃げないようにちょっとだけ小麦粉まぶすとか、表面強火で焼いて中は余熱でじっくりとか、誰でもやるだろ?
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
今日はちょっと無理しすぎちゃった。
町の中を歩くところまでは良かったんだけど、帰りの山道で傷の痛みがぶり返してきて、何度も休み休み登ることになってしまった。
デブータが何度も「休め」と言ってくれていたのに、なぜか意地を張っちゃったのも悪かったわ。
今、こうしてデブータのお世話になっているけれど、まだ逃げるのを諦めたわけじゃない。
デブータはやっぱり得体が知れないし。追手だってまたやってくるに違いない。
彼は私を追手から守ってくれるかもしれないけれど、それがいつまで続くかわからないのよね。
彼がいない時に追手に襲われることだってあるだろうし、彼自身が食欲に負けて襲い掛かってくることだってまったくないとは限らない。
こうして外出したお陰で、もうちょっと傷が癒えて、体力が戻ってくるまで待つ方がいいことがわかった。それが今日の教訓ね。
山小屋に帰りついた頃には、もう日が暮れる直前だった。
さすがに今日は疲れ切っている。デブータの言う通り、早く食事を摂って寝た方が良さそうだ。
今夜の夕食は厚手のステーキ。
ナイフを入れると肉汁が溢れ出し、一切れ口に入れるとまるで蕩けるような柔らかさ。もう口の中いっぱいどころか、体全部に幸せが広がっていく。
「あーもう! だから、なんでこんなに美味しいんですかっ!」
これはまずいわ、もしかして私、胃袋掴まれかけてる?
★☆★ 伯爵家三男クロード視点 ★☆★
町に戻った時、黄昏の切ない赤が空いっぱいに広がっていた。
酒場や宿屋、人が集まりそうなところで聞き込みを行ったけれど、プラチナブロンドの髪や、余所者の女の情報はまったく集まらない。
辺境にいるはずのアデラ。まるでその姿が煙のように消えてしまったかのようだ。
まさか、どこかで捕らわれの身になっているのだろうか。
「アデラ、絶対に俺が助け出してやる!」
もう落ちかけている、、チョロインか!
クロード、間に合うのか!
アデラ&デブータ、ついでにクロードを応援してくださる皆さん、ぜひとも★感想と評価★をお願いいたします!




