13.辺境の町
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
背負子に獣の皮、売り物の剣を積んで、しっかりした足取りで歩くデブータ。
私はそのすぐ後ろについて、一緒にふもとの町に入った。
やはり辺境、それほどの活気はない。ついこの間まで暮らしていた王都と比べるのが悪いのかもしれない。
二人とも顔を隠すため頭からすっぽりと、毛皮のフードをかぶっている。追手に居場所はバレているけど、それでも余計なトラブルを防ぐための用心だ。
「アデラ、怪我は痛まないか?」
「ええ、大丈夫です」
もうほとんど痛みはない。それに山小屋に籠っているよりも、こうして体を動かしている方がはるかに楽な気がする。
最初に向かったのは武器屋。
「こんにちは、剣を四本引き取ってくれ」
「あいよ」
拾い集めた三本の剣と、元の私の剣を合わせて売りに出す。
「思ったよりもいい値段がつきますね」
「必要な品物だし、運送料が高いんだ」
物価が高いはずの王都の相場と比べて、二倍以上の値段だ。
「こんにちは、イノシシの毛皮の引き取りを頼む」
「わかった」
「こんにちは、小麦粉を大袋で売ってくれ」
「はい」
あれ? なんだかこの町のお店っておかしくない?
「いらっしゃいとか、毎度ありとか、ないんでしょうか」
「ん? どこでもこんなもんだろ?」
その後もチーズや塩、その他細々としたものを買い求めたけれど、どこのお店も似たり寄ったりの対応だ。
そんなものなのかな? 王都が異常だったの? いや、そんなことは無いはず……。
最後の商店でリボンを買い、その後に寄ったのは冒険者ギルドだ。
建物に入ると、受付にたむろしていた人たちが、声もたてずに消えていく。やっぱりなんだか変な感じがする。
デブータから少し離れたところで様子をうかがう。
受付嬢はかなり緊張しているのか、完全に目が泳いでいる。
「こんにちは、俺宛の手紙や伝言はあるかい?」
「いいえ」
「俺に向いた依頼はある?」
「残念ながら……」
「そっか、ありがとう」
受付嬢はあからさまにほっとした表情だった。
冒険者ギルドの建物を出ると、背後から陽気な声が沸き起こった。さっきまで静まり返っていたのに。
人食い鬼扱いしていた私が言うのもなんだけど、これはかなり酷いんじゃないかな。
デブータが初級の理由はなんとなくわかったけれど、正直な話、町に来たことを後悔していた。
★☆★ おっさんデブータ視点 ★☆★
アデラが何か言っているが、正直こんなものだろう。俺は口下手だし、それほど社交的じゃないからな。
お店の人たちを見て、挨拶しないのは社会人としてどうかっていうのはあるけど、こっちから押しかけてお願いしてるわけだからな。そこは間違えちゃいけないところだ。
それに前世だってこんな感じだったぞ?
この世界に来て生活レベルは下がったけど、今はちゃんと休暇も取れるし、有り難いぐらいなんだが。
★☆★ 伯爵家三男クロード視点 ★☆★
「くっ、これ以上は……しかたない、一度町に戻るか……」
ああ、愛しのアデラ、君はいったいどこにいってしまったんだ……
オッサン、過去に一体何があったんだ!
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