12.そりゃ、おかしい
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
翌朝、アデラが目を覚ますと、枕元に自分の服が丁寧にたたまれて置かれているのに気が付いた。
広げてみると、破れていたところも綺麗に繕われている。
「デブータ、髪の編み込みといい、料理といい、裁縫といい、人食い鬼のくせに、なんで私より女子力が高いのよ!」
それだけじゃない。掃除・洗濯だってしっかり行き届いている。その上であの強さ。
見た目の問題だけじゃなく、別の意味でも化け物だ。
あまりの能力差に歯噛みしていると、部屋の扉が叩かれる。
「朝食だが、ここに運ぶか? それとも台所に来るか?」
「あ、行きます。着替えるのでちょっと待ってください」
急いで繕われたばかりの服に袖を通す。
かぶっていた毛皮を寝床の上に畳みながら、ふと疑問に思う。
「ここってデブータのベッドよね、あの人どこで寝たのかしら?」
いや、そんなことは後にしよう。あまり待たせるわけにはいかないしね。
朝食はパン、と呼ぶにはあまりふっくらとしてない、薄くて丸い変わったパンだった。
それに焼いたお肉やチーズを乗せて食べるらしい。
「…………っ!」
だからなんでこんなに美味しいのよ!
もしかして魔法? まさかそんなことはないわよね。
★☆★ おっさんデブータ視点 ★☆★
朝食はピザっぽいものに具材を乗せて軽く焼いてみた。
やっぱり旨い物ではないけれど、そこそこ食べられるようにはなっているはずだ。
「……魔法」
ちょっと待て、今なんて言った?
「アデラ、魔法なんてあるのか?」
ここは間違いなく異世界。
今まで魔法なんか見たことは無かったけれど、もしかしたらあるんじゃないか。ずっとそう思っていたのだ。
「い、いえ、ただ何となく、思っただけです……」
そうか、アデラも知らないのか。
それはちょっと残念だ。
「あの、デブータは冒険者なんですよね?」
「ああ、そうだぞ」
「もしかして上級、いや特級なんでしょうか?」
「いや、違う」
「まさか超特級……」
「ははは、違うって。ただの下級だ」
冒険者にはランクがあり、下から下級、中級、上級。さらにその上は特級、超特級と別れている。
俺はその一番下。ただのしがない下級冒険者だ。
「そんな馬鹿な……あの強さで……あり得ない……」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、まあ冒険者なんてそんなもんだ」
強さだけなら中級はギリギリ行けたかもしれないけど、強さだけで決まるもんじゃないしな。
冒険者ギルドに行ってみれば、多分納得できると思う。
そう言えば剣を売らないといけないし、そろそろ小麦粉の仕入れも必要だ。
「怪我が大丈夫そうならだが……、町、行ってみるか?」
女騎士! 逃げるなら今だ!
アデラを応援してくださる皆さん、ぜひとも★感想と評価★をお願いいたします!




