11.人食い鬼の正体
★☆★ おっさんデブータ視点 ★☆★
少女にも少し手伝ってもらいながら、俺は追手の人たちが落としていった剣を拾い集める。
まったく困った人たちだ。剣なんて安いものじゃないのに、こんなに簡単に捨てていくなんて。物を大切にしないにも程があるぞ。
まあ挨拶も出来ないような人たちだしな。そりゃあ……
ここで俺の足はふと止まった。
待てよ? そう言えば俺、この少女に挨拶してねええええええ~~!
名前も名乗ってねえええええ~~!
まったくのダメ大人だった。
「あらためて自己紹介しよう。俺はデブータ、一応、冒険者だ。愛称はデブ、ブタ、どっちでもいい。」
なんだか少女がびっくりしているぞ。どこかおかしかったか? いや、自己紹介、やっぱり遅すぎたか。
「わ、私はアデラ、騎士、いや元騎士です。逃げて来ちゃったので……」
やっぱり何か深い事情がありそうだ。もちろん突っ込んで聞いたりしないぞ? それはプライバシーの問題だ。
あとここで、間違っても「良い名前だ」なんて褒めちゃいけない。それは老害のすることだからな?
これは基本中の基本、女性を褒めて良いのはイケメンのみ。不細工から褒められたりしたら、それは呪いの言葉になる。セクハラまったなしだ。
あまりのことでパニックになりかけていたとはいえ、すでに一発、髪のことで地雷を踏んでいるのだ。俺にはもう後がない。
★☆★ 女騎士アデラ視点 ★☆★
人食い鬼は恐ろしいまでに強かった。
凄腕のはずの追手を素手で撃退するなんて、まるで勝負になっていないじゃないか。まったくの驚きだ。
驚いたのはそれだけじゃない、この人食い鬼、ちゃんと名前があった!
しかも冒険者ということは、まさかの人間!
あまりのビックリ仰天に、こちらも名前を名乗るだけで精一杯だ。
追手たちが投げ捨てていった剣を集めながら気が付いた。どれもこれもかなりの高品質だ。
今私が使っているのは、安物の支給品。それも何度か追手と戦って、刃こぼれしている始末。
「あの、デブータさま、この剣、一本いただいても構いませんか?」
「ああ? 『さま』はいらん、呼び捨てにしろ。剣が欲しいなら持てるだけ持って行け。どうせ売るだけだ」
かなりの値段になるのに、本当に良いのだろうか?
そんな迷いもあったけれど、その言葉に甘えて、バランスの良い剣を一本、さらに予備を一本いただくことにした。
人間の人食い鬼。
この不思議な存在に、私は少しづつ興味がわいてくるのを避けられなかった。
★☆★ 伯爵家三男クロード視点 ★☆★
「くっ、剣に刃こぼれが……でも負けん! 絶対に負けんぞ!」
アデラ、必ず助けに行く、待っていてくれ!
まじで急げ、クロード! 間に合わなくなるぞ!
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