第六章 英雄ガルデア
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第六章
レオンとルシウスは立ち尽くしていた。
アルザリア首都から出発して、半日――僅かな手掛かりで挑んだ旅の目的が、こんなにもあっさりと果たされようとしている現実に。
「あッ!?えッ!?あッ!?」
レオンはガルデアとルシウスの顔を何度も往復した。
長年憧れ思い続けた人物が目の前にいる事実に困惑していた。
「あっ…!」
ルシウスも同様に困惑していた。
しかし、レオンとはまた別の理由があった。
「(若い…ッ!?あの頃の写真とそんなに変わってない!)」
「(…別人!?、いや特徴が一致しているッ。それに…)」
「(…あの力!あの威圧感!?只者ではないッ!!)」
呆然と立ち尽くす二人を見ていたガルデアは、心配するように二人のもとに駆け寄った。
「坊やたち、ホントに大丈夫?」
ガルデアは二人をじっくり見た。
「凄い傷ね。特に赤い坊や…。腕にかけて火傷があるわね。」
「でも…どれも致命傷じゃない。それに…骨は折れてないみたいね!とりあえず、よかったわ。」
安堵するガルデア。
「…。」
言葉を失うレオン
「…あのッ―」
ルシウスが言いかけたその時――
彼女が二人の手を取った。
「大丈夫だからね――。」
そう言った途端、彼女から光が流れ、二人を優しく包んだ。
「あッ…」
「ッ!!」
二人は一瞬、驚いた。しかし、すぐに二人は癒された。
「なんだこれ…。すげー温かい。」
「この光はッ!」
ルシウスがオークの会話を思い出す。
「よし!取り敢えず応急処置は終わり!」
彼女が手を離した。すると――
「すげー!!傷が塞がりかけてる!!しかも身体が、チョー軽いッ!!」
レオンがはねながら、驚く。
「凄いッ…回復魔法?(いや違う!この感覚、魔法じゃない。まるで原始的な…)」
思案するルシウス。
「二人とも若いからね。傷がすぐ塞がった。でも、万が一があるかもだから…。」
「もし、良かったら私の友人のところに来ない?あの子のお詫びもしたいし。」
そう言うとガルデアはゴーレムの方を向いた。
「ほら、”ゴリ”ッ!この子たちに謝りなさいッ!!」
「ウゥッ!ダッテ、ガルデアッ…コイツラ、ガルデア、ノ事、探シ、テタ。」
「…ッそうなの?」
ガルデアは、二人の方を向いた。
ルシウスは何かを決心し、ガルデアに話しかけた。
「…はじめまして、ガルデア…アストリア様ッ。」
「俺ッ!…私は、アルザリア魔導情報局<A.M.I.S>捜査官のルシウス・ノルドといいます。」
「…アルザリア。…ノルド。」
ガルデアは呟いた。
ルシウスは続けた。
「ガルデア様ッ。私が貴方にお会いしたかった理由は…。貴方に本国に帰還してもらい、我々アミスと捜査協力してもらいたいからです!」
ルシウスの真っ直ぐな視線がガルデアに突き刺さる。
ガルデアは頭をかき、目線を少し逸らした。
「…遅かれ早かれ、こうなるんじゃないかと予想していたけど、まさか坊やみたいな子に頼まれるなんてね…。」
「突然の訪問、失礼を承知で申し上げました。…ガルデア様!今、我々の祖国で、未曾有の危機に陥っています!」
「どうか!!あなたのお力を貸してくださいッ!!詳細はこのデバイスで説明し――」
「ちょっとッ!ストップッ!!」
レオン二人の間に入り、話を遮った。
「レオンッ!!何するんだ!!今大事な話のッ!――」
「ルシウスッ!落ち着け。」
ルシウスはガルデアの顔を見て、自分が一方的に話をしていることに気づいた。
「すまんッ!ガルデア様ッ!こいつ仕事熱心なところがあって――。」
「あっ俺ッレオン!レオン・アルバードって言います!こいつの友人で、いろいろあってついて来ました!」
レオンが元気良く自己紹介し、勢いよく深くお辞儀した。
ガルデアは笑顔で返事した。
「うんうん!気にしてない!レオンに。ルシウスね。」
「私は…って、知っているか。アハハッ!」
「あ~。やっぱり本物だぁ~」
「あっ!ガルデア様ッ!さっきのお誘いだけど、是非行きたいです!!俺も!こいつも!貴方とお話ししたいっす!!」
レオンが眼を輝かせてガルデアを見つめた。
「えぇッ!もちろん!!」
ガルデアは快く快諾した。
そして、ゴリの方を向いて叫んだ。
「さぁ!ゴリッ!いつまでも不貞腐れないで、この子たちを連れて帰ろうッ!!」
「ウホッ!!」
ゴリが元気よく返事した。すると、辺りの破片がゴリの方に集まりゴリの体にくっついた。
そして体を変形させると、ひと回り小さくなったが、傷が癒えたゴーレムができた。
「うおッ!!まじかよ!」
「何でもありかよ…」
二人はゴリの回復力に驚いた。
「よしッ!準備ができた。坊やたちは大丈夫かい?」
「あっ!荷物森の方に置いてきたッ!ガルデア様!ちょっと待ってッ!」
そう言うとレオンは駆け出し、森の方に向かった。
「ふふッ。元気な子…。」
「すいません…ガルデア様。…先程は強引に…。」
「だから、気にしてないって。先ずは、ゆっくり休んでからッ!話しましょう。ねッ。」
ガルデアがウィンクしてルシウスを慰めた。
「…はい。」ルシウスが少し微笑んだ。(不思議な人だ――一緒にいるだけで安心する。)
「――ただいまッ!!」
レオンが勢いよく戻った。
「ッ!?速ッ!!」
ルシウスは不意をつかれたみたいに驚いた。
「なぁ!ルシウスッ!ガルデア様と何話してたんだッ!!」
レオンが純粋無垢な子どものように聞いてきた。
「…別に。」
「ちぇ!なんだよ。守秘義務ってやつか!」
レオンが不貞腐れると
「レオン…。」
「ありがとなッ。」
レオンが気をきかせ事に感謝を述べた。
「へへッ」
レオンは照れくさそうに笑った。
「おーい坊やたち――!!乗って――」
ガルデアの声が遠くから聞こえる。
いつの間にかゴリの背中に乗っていた。
「いくぞ、レオンッ!」
「おう!」
二人はガルデアに導かれゴリの上に乗った。
「さぁ、しっかりつかまって!ゴリッよろしくッ!」
「ウホッ!!」
「遂に…出会えたッ!…俺の夢ッ!! 俺の憧れッ!!」
レオンが抑えていた気持ちがここに来て、もれそうになった。
「こんなに早く出会うことができた。…後は、俺次第ッ」
ルシウスの瞳の奥が、静かに燃えた。
ゴリは勢いよく駆け出し、草原を懸けていった。
「…いい風ね。」
ガルデアは全身で風を感じ、新たなる旅の予感を感じた。
第七章 旅のひとときに続きます。




