表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第五章 邂逅

拝読していただきありがとうございます。

第五章です。

ゴーレムが呟いた瞬間――

飛び散った石の破片が、意思を持つかのように宙を舞い、二人の身体を囲うように絡みついた。


「なにッ!? くそッ!動けねぇッ!」

「くッ!!(こいつッ!まだ、こんな力が残ってたのか!)」


石は次第に密度を増し、腕や脚へとぴたりと張り付いていく。


2人は必死に抜け出そうと魔法を行使した。


だが―――


「なぁ、ルシウスッ…なんか、上手く、魔力が練れねぇ。」

「あぁ!くそッ!”こいつ”が魔力の流れを…遮断している。」

「へへッ!やっぱりな…。これは…まずいぜ。」


二人は同時に違和感の正体に気づき理解し、冷や汗をかいた。


魔力――それは、魔法を扱うための根源的な”エネルギー”

ゴーレムは砕けた自身の体を操り、そこから特殊な”波長”を流し、二人魔力循環を阻害したのだ。


「守ルッ」

ゴーレムがゆっくり立ち上がり、二人の方へ歩み始めた。

剝がれ落ちる石の皮膚など意を介さず、重い歩みで二人へ近づいてくる。

 



ドシンッ

ドシンッ


地面を通して、確かな振動が伝わってきた。


それに呼応するように、二人の身体を縛る石が締め付けを強めた。



「痛ッ!くそッこんな石ッ!」

レオンが力ずくで拘束を解こうとしたが、自身の身体を傷つけるだけだった。


「レオンッ!!無理に剥がすな!!(くそッ!せめて、こいつだけでも助ける方法はないのか!?)」


思案を巡らすルシウス。しかし、状況は一向に好転しない。足音だけが無慈悲に近づいてくるだけだった。


――このままじゃ、まずい。

焦燥が胸を締め付けた。


その時だった――

「あっ!?」

「なッ…!?」

二人は目を疑った。


ゴゴゴ…


低い摩擦音が響いた。


バキッ!

ガコンッ!


散らばった破片と、ゴーレムの身体に残った一部が引き寄せられ、砕けた右腕に集束していく。

それはやがて――

巨大な岩塊へと姿を変えた。

その巨岩と化した腕を、ゴーレムは二人に目掛けて振り上げた。


太陽の光を遮るほどの質量。身動きも魔法も封じられた二人に逃げ場はなかった。。


「…完全に潰す気だな。」

レオンが呟く。


「…ッ。」

ルシウスは言葉を失った。


「へへッ俺たち相手にそこまでするとはな…。よっぽど堪えたらしいぜ…。」

「…身体を削ってまでも、か。」

「それ、俺たちにも言えるぜッ。」

「…たしかに。」


二人は思わず笑った。

足掻くことをやめ、互いの健闘を讃えるように。


そして――


「おいッ!!ゴーレムッ!」

レオンが叫んだ。


「ッ!」

一瞬ゴーレムの動きが止まる。


「いいパンチだったぜッ!」

敵を讃える一言だった。


「お前…最後に何言ってんだ。」

戦友の一言に呆れるルシウス。


「最後くらいカッコつけてもいいだろッ…」

レオンは、満面の笑みでルシウスを見つめた。

「なぁ、ルシウス…。楽しかったぜッ!」


「…あぁ、俺もな。レオン…。最後まで傍にいてくれてありがとう。」

ルシウスも、今までにない穏やかな笑みで返した。


二人の視線がゴーレムに向けた。

そこに恐怖も敵意もない。あるのは”戦士”としての敬意だけだった。


ゴーレムもまた、二人を見つめ返す。

そこにも怒りや敵意ない。この小さき存在たちが、全身全霊をかけて挑み、格上のはずの自身をここまで追い詰めた。その事実が、立場も種族を越え、尊敬の眼差しで見つめていた。


「ウオォォォッ!!!―――」


ゴーレムが咆哮が空気が震わせ、大地が軋む。


「サラバダッ、小サキッ、戦士タチッ!!――」


巨大な腕、が振り下ろされた。


その瞬間――


ブゥゥ―――ンッ!!

ズガァァァァァァ―――ッン!!!


轟音とともに、衝撃波が戦場を貫いた。


「なッ……!?」

「…今のは…?」


ゴーレムの振り上げた腕が――

後方から、粉々に砕け散った。

「ウホッ!!?」


そこにいた誰も何が起こったか理解できずにいた。

何かが風を裂き、空を切ったのだ。


その時だった――


ゾワァ―――ッ!!


「「「ッ!!?」」」


三人に強烈な視線が刺さる。


「はぁッ!はぁッ!」

「なんだッ!?この圧はッ!」


「分からないッ!!はぁッ、まるでッ!何かに睨まれているみたいだッ。はぁッ」

息が上がり、全身の鳥肌が立つ二人。


ゴーレムが後ろを向く。

「ウホッ!?ウホッ!!??」


怯える三人。

鋭い視線が場を支配する。その正体を知っているのはゴーレムだけだった。


二人が視線を後ろに向けると、遠くの丘に“人影”が立っていた。


「なッ!?まさか…!?」

「あんな、遠くから…殺気ッ!?」


ただモノではないと即座に理解した二人。


長い髪が風に舞う。その小さな影が、ゆっくりとこちらに歩き出したかと思うと――


次の瞬間、


シュンッ!!


影が高速で駆け抜けた。


「はッ!!速ぇ――ッ!?」

レオンが声を上げた時、その黒い影は跳躍し、ゴーレムのもとに飛び降りた。


ドッカ―ンッ!

土煙が舞い上がる。


「うおぉッ!!」

拘束された二人は、軽く吹き飛ばされた。


「痛ててて…」

「レオン、大丈夫かッ?」

「もう、何が何だか…あれ?拘束が…解けてる。」

「あぁ、さっきの爆風で砕けたみたいだ。いったい誰が…?」


二人は、爆心地の方を向いた。


土煙が晴れる。


そこにいたのは

縮こまり、しかられる子どものようにガタガタと俯くゴーレムと、その前に立つ、フードの女性だった。


「……嘘だろ……?」

ルシウスの声が震える。


「あっ…がッ…!?」

レオンは口をあんぐりと開けた。


フードを被った人物は二人に背を向けて、ゴーレムをしかっているようだった。

それがひと段落したのか。その人物は立ち尽くしている二人の方を向いて、歩み寄った。



「…ごめんなさい。大丈夫だった?」


その声は、驚くほど穏やかで優しい女性の声だった。


フードを深く被っていたが、その奥から、微笑みが見えていた。

二人はただ言葉を失い、ただ見つめるだけだった。


風が吹く。その瞬間だった。

フードがめくれた。


「「ッ!」」


その姿を見た瞬間、二人は息を呑んだ。


長いダークレットな髪色。左ほほにほくろ、右下に傷。


「あッ…!!うっ噓だろ!?」

レオンは目をあんぐりさせた。


「まッまさかッ!?・・・・」

ルシウスは立ち尽くした。


二人は確信した。


――間違いない。


彼女は、アルザリアの英雄。”ガルデア”。




第6章 英雄ガルデアに続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ