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第十一章 旅立ちの朝

拝読していただきありがとうございます。 

第十一章です。

各々の進むべき道を決めた話し合いが終わった。


緊張が解けたのか、ルシウスがテーブルにうつ伏せになり、寝てしまった。


サラが毛布を持ってきて、ルシウスにそっと被せた。

「頑張ったんだね。坊や…。でもこんな所で寝ていると風邪ひくよ。」


そう言って、ルシウスのほほを優しく撫でた。


ガルデアとレオンは、焚火にあたり談笑していた。


「レオン、マーロのところで働いてんだ。」


「えッガルデアさん。おやっさんのこと、知ってんの!そんな有名な店かなぁ~あそこ…。」


「ははッ。違う違う!…マーロとね、知り合いなの。」


「えッ!?じゃあ、おやっさん!戦ってたの!?」


「まぁ、そうね。炊事兵として、一緒に戦ってくれたわ。」


「なんだ~料理番かぁ~。」


「馬鹿にしちゃダメよ。戦場の貴重な癒しを提供してくれたんだかね。立派な兵士よ。」


「確かに!でも意外だなぁ~。おやっさん軍隊にいたなんて。だって、おやっさん。口では勇ましいけど、凄いビビりなんだぜ。厨房にゴキブリ出た時なんか、俺に抱きついてさ。『追っ払ってくれー!!』なんて慌てるんだぜぇ。」


「ははッ。変わってないんだね。…まぁ、昔はさ、兵になるか、奴隷になるかの選択肢しかなかったからね。ドワーフ族だし。それにマーロ、弟を守らないといけなかったからね…。」


「えッ!弟いたんだ!…なんか、俺、おやっさんのこと。全然知らなかったんだ…。」

「…ショック?」


「いや…多分、俺の世話が忙しくて、話すタイミングがなかったからだと思う。それに…俺にとっては、おやっさんは、“おやっさん”だから…。」


「…そう。」


「あっ!――――ガルデアさん、俺、店、無断で休んじゃったから、おやっさんに口添えお願いッ!!」


「うーん。考えておく。」


「うえーん!!頼むよ~。」


レオンの泣き言が虚しく響いた。

まだ、しばらく談笑が続いた。


「ガルデアさん…ご家族は…。」


「私含めて四人。そのうち二人は戦争でね…。」


「そう…だったんすね。…すんません。」

「…どんな方だったんすか?」


「そうね。うちは、父と、兄と姉でね。でも全員、実の家族じゃなかった。でも皆、力強くて、明るくて、そんな事はどうでもいいくらい目まぐるしく過ごしていたわ。」


「へぇ!~うちも似たようなものっす!うちは、大所帯でした。まぁ孤児院なんでね。へへッ!ガキの頃なんか毎日、どんちゃん騒ぎでしたよ!!」


「その中心は、レオンじゃないの。」


「へへッ!バレました…。」


「はははッ!…お母さん、大変だったんじゃないの?レオンを育てるの…。」


「えぇ、多分…。分かります?」


「私も、そうだったの。姉が、家族の母親代わりみたいなものね…。ふふっ。父含めて、三人でよく怒られたわ…。」


「えぇ!?ガルデアさんを叱れるなんて…。すげー、そのお姉さんは、今は…。」


「生きているなら…アルザリアの首都にいるはずよ…。」


「マジっすか!?…。じゃあ、また、お会いできるかも…。」


「そうだといいわ。…お互いお礼しないね。」


「押忍ッ!!」


――夜が更けていった。


「ガルデアさんッ…ありがとうございます。」


「レオンどうしたの?改まって。」


「俺、ルシウスの事、気になっていたんです…。別の友人に、あいつが怖いくらい別人になったて聞いて…。本当はそばで見守ってやりたかったすけど、お互い忙しくて、しかも、そんな年じゃないていうか…。」


「…。」


「そんな時、あいつがガルデアさんのお迎えする任務に行くって知って…俺、『今しかない!』って思ったんです。」


「レオン…。」


「へへッ!!そしたら、あいつと共闘したり、すげーやべぇー事聞かされたりして、濃い体験できました。」


「…。」

「でも、それだけじゃなかった…。サラさんや、他の家族の方たちに歓迎されて、ゴリと仲良くなったし、ガルデアさんの凄い事も聞けたし、何よりあいつの苦労とか、覚悟とか知れて…一緒に戦ってくれるって約束してくれたし…。俺、この旅で色んな人の優しさに触れることができました…。」

「おかげで…ルシウス、立ち直れた気がしますッ!」


レオンが深く頭を下げた。


「そのきっかけ…いや、そんな時代を造ってくれたガルデアさん…。あなたのおかげですッ!!」

「だから…本当にありがとうございます!!俺、ガルデアさんみたいに、強くて、優しい戦士目指して、頑張りますッ!!なので、期待ッ!しててくださいよッ!!へへッ!」


ガルデアは一瞬、レオンが兄の姿に重なって見えた。


いつもやんちゃで、どこか頼りない兄であったが、自身の心の支えになっていた兄の姿に

『ガルデア、お前は俺より強い!!でもな。俺はお前の兄だ!!だから、辛い時は俺に任せろ!!へへッ!!』

――兄貴、今でも私を見守ってくれたんだね。――


気づけば、ガルデアはレオンを抱きしめていた。


「んぐッ!?」


「レオンッ!あんたって子は…!私が見守ってやる!だから…どこまでも!全力で!生きな――!」

ガルデアの声が一瞬震えた。手で涙を拭い、力いっぱいレオンを抱きしめた。それはまるで亡き兄貴の思いを託すように。


「んぐぐぐッ!?」

レオンが必死にガルデアの腕を叩いた。


「なんだい。レオン。」


「”く”る”し”い”―!!」


「あっ!?ごめんッ!つい!」


「ぷはッー!!はぁッ!はぁッ!」

「ガルデアさん!!…急に、どうしたんすか!?俺ッ走馬灯が見えたっすよ!?」


「あッ…あははッ!ごめん。ちょっと寒くなって暖がほしくなって…。」

ほほを染め、誤魔化すガルデア。


「確かに、ちょっと寒くきましたね!!じゃあ、俺!焚火の火力あげるっす!!」


「あぁ!いいよ!それより、明日早く出発するんでしょ!!ルシウス連れてもう寝なさい。」

ガルデアは急かすように、レオンを寝かしつける。


「了解ッ!!じゃあ、ガルデアさん!おやすみなさい!」

無邪気な笑顔でレオンはガルデアの元を去り、ルシウスを連れてテントに戻った。


「ほら!ルシウス。テント行くぞッ。」


「う~ん…。」


「…。私ったら、何やっているんだろ…。」


「あの子、兄さんの”レオンハルト”に似てたわね。」


「ッ!!サラッ…。見てたの…。」


「ガルデアッ…いくら何でも年離れすぎじゃないのかい~。」


「…ッ!そうじゃないわよ!もうッ!!」


「ははッ!そう言う事にしておくわッ!」

そう言ってサラは離れていった。


「……。全く。」

「…『優しさに触れる』…か、姉さんも同じ事、言っていたな…。」

ルシウスが目覚めると、あの暗闇にいた。

「ここは…。そうか――。」


すると血だまりが現れ、あの化け物が現れた。


「ルシウスゥゥッ…」

低い声で唸り、漆黒の瞳でルシウスを睨んでいた。


「ルシウスゥゥゥッ!!」

化け物が叫びながら、とびかかった。


しかし――ルシウスの顔に恐怖の色はなかった。

両手を広げ、その化け物を受け止めた。


ルシウスは静かに語りかけた。

「先輩…。」

「俺、もう逃げません…。」


「ッ!」


「先輩の…無念、憎しみ、全部背負って、俺、進みます。」


ルシウスが化け物の顔を見つめいった。

「だから…見ていてください。俺の生き様を…。」


その瞬間だった。

「――そう言う事だからッ。消えな!俺の偽物ッ!」


懐かしい声が後ろから聞こえてくると、光る手が化け物に触れられ、消滅した。


ルシウスが後ろを振り向いた。すると、眼から涙があふれてきた。

「あッ!…あぁッ!…」

声が震える。


「よッ!ルシウスッ!やっと会えたぜッ!」

「おっと…!」

ルシウスが勢いよく抱き着いた。

「先輩!!エリオット先輩ッ!!」

ルシウスの感情が爆発した。


「ルシウスッ!…どうした~?そんなに会いたかったのかッ!」


「だって!俺ッ!俺のせいで…先輩を…。」

涙で言葉が詰まる。その代わり力の限り抱きしめた。


「ルシウス…。俺がそんなみみっちい奴じゃないこと、お前が一番知ってるだろ…。そりゃあ、家族を残しちゃったことは本の少し、悔いはあるけどよ…俺が選んだ妻だ!俺がルシウスを守り抜いたことを誇りに思っているさ――。もちろん、俺もなッ!」


すると先輩の身体が光の粒と化し、足元から徐々に先輩の身体が空に消えていった。


「何だよ。もう時間かよ。」


「先輩ッ…。もう行っちゃうんですね。――俺、頑張ります!頑張ってアルザリアを守って見せます。だから、見ていてください!」


「おう!でも…無理するなよ…。」


「…はい!」

涙を手で拭い、精一杯の笑顔で返した。


「そうだッ、なぁ!ルシウス。」

そう言うとエリオットがルシウスの両手を掴んだ。


「先輩?」

すると、ルシウスの身体に黄金に輝く光が流れていった。


「先輩…これ?」


「へへッ贈り物さぁ!――――じゃあな。ルシウス…。ありがとな――――。」


その瞬間、辺りが眩い光に包まれ、ルシウスを飲み込んだ。

朝日がテントの中を照らしていた。ルシウスは、ゆっくり目を覚ました。そのほほに一粒の涙が流れていた。


「…夢?」

ルシウスが呟く。しかし、その身体はまるで人の温もりに包まれていたかのように暖かかった。




早朝――出発の数時間前


朝靄が草原を覆う。

ケンタウロスの集落には、穏やかな風が流れていた。

数人のケンタウロスたちが朝の支度をしていた。


「……なぁルシウス、さすがに眠いよ。」


「俺だって、そうなんだ。我慢くらいしろ。」

呆れながらも笑みを浮かべるルシウス。


そんな二人の様子をガルデアは微笑ましそうに見ていた。

レオンとルシウスは荷物をまとめ、ガルデアと共に準備を整えていた。


「まさかこんな日が来るとはねぇ。」

サラがしみじみと笑うと、ガルデアは肩をすくめて答える。


「戦士っていうのは、じっとしてる方が落ち着かない性分なのよ。」


「うわ〜それ分かるわ〜」とレオンが相槌を打つ。


「お前はただ喧嘩したいだけだろっ」と傍にいたルシウスが突っ込む。


「そッそんな訳ないだろッ…!」

とレオンが慌てて取り繕った。



「そうよ、もう泣き虫坊やたちじゃないんだから。」

サラが冗談めかして笑い、


ルシウスは顔を赤くして、

「あ、あの時のことは忘れてください!」と慌てた。


「そういえば帰りの足はどうするの?」

ガルデアが尋ねた。


「実は、迎えに来てもらえるよう頼んであります。」


「えッ来るってここに!誰が、どうやって!」

レオンが質問を投げかける。


「それは…来てのお楽しみだ。」

ルシウスが笑って返した。


「ふーん。そうかいッ!」

レオンは誰が来るか、楽しみにした。


しばらくして出発の準備が完了し、迎えを待つ3人。すると、


「ガルデアさん。」

ルシウスが口を開いた。


「昨日、あなたが放った“あの金色の光”……あれって一体何だったんですか?」


「それッ俺も気になってたんすよ!」とレオンも身を乗り出す。

「いい加減教えてくださいよ~。俺たちガルデアさんの弟子ですから~。」

レオンが猫なで声で喋った。


「真面目に聞け。

…ガルデアさん、教えてくれませんか。それ、ガルデアさんの強さの秘密だと思うのでッ!」

ルシウスが推測した。


「お願いしますッ!」

今度は真面目な声で懇願するレオン。


二人は真剣な眼差しで訴えた。


ガルデアは笑い、2人を見つめた。


「そうねッ。分かった。どの道教えるつもりだったの。うーんそうね。強いて言うなら、”生きる力”かしら。」


「「”生きる力”…?」」

2人がそうつぶやいた。


そのとき――


ガルデアの表情が一変した。

目が鋭く光り、視線が空へと向けられる。


「……来るわッ!」


第十二章 オーラに続きます。

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