94話 魔法が使えない俺と元騎士団長エジール
リーナを泣かせたこの、元騎士団長にお仕置きしてあげないとね。
「下には恐らく、お前の仲間がいるのだろ?しかしだ、元副団長がそこにいる。思い通りにはならんよ」
「自信過剰もどうにかしたら?クビになった癖に偉そうだね」
「違うな。俺から出て行ったの・・・だ!!!!」
炎と風を掛け合わせたような、炎の竜巻を纏った大剣で振りかぶりながら、俺に突進してくる元団長。
おっせー。このくらいなら剣を弾いて・・・ってうお!
剣が俺に斬りかかる瞬間に、エジールが視界から失せた!
なるほどね、後ろか。
振り向いたらエジールの姿を確認、炎風の大剣を防ぐ俺。グレートだね。
「ほう?よく反応できたな?」
「分かりやすいんだよ。軌道が、ね!!」
思いっきり剣を弾いて、後ろに後退させることに成功したと。
さて、遅い動きを見せての高速移動っていう、姑息な緩急を見せてくるあたり、戦い慣れてるみたいだな。
「魔殺は伊達ではないな。俺の大剣がお前の剣に触れた瞬間に、大剣に宿った魔法が消えた。少々めんどうだ」
「そうか?魔法使えるお前の方がよっぽど面倒だけど?剣で斬る瞬間に、風属性魔法で移動速度を上げて、後ろに回り込んでるんだし」
クククって喉を鳴らす元団長は、結構戦いを楽しんでるように見えるよ。俺は全然楽しくないけどね。
「あの一瞬で技術を暴かれるとは、恐れ入ったよ。お前が魔法剣士ならば、更に高みへと行けたであろうに」
「はー?そんなもんなくても十分通用してるから、いらねー。魔法に依存して、人にマウント取るような人種にはなりたくはないね」
「俺の事か?」
「ご想像にお任せします!」
フェイントを掛けながら、軌道を読まれずらいよう剣を振る俺。防がれてはいるけど、重心がずれてってるね。
対して、相変わらず大剣に魔法を宿しながら、俺に剣を振ってくるエジール。意味ないのになあ。
「おっさん、魔法意味ないって知っててやってる?」
「あー、剣で弾かれてダメなら、剣に当たらないように体に当てれば問題ないだろう?確殺だ」
「発想が弱いね。そんなことにはならないっつーの!」
剣と大剣のぶつかり合いで、広い部屋に金属音が響き渡ってて、この音を聞くとなんだかやる気が出てくるね。
勇者クランと同じくらいかな?剣捌きとか技量がいい感じだから、戦ってるって感覚があるよ。
強いか?って言われたら普通くらい?動く的くらいレベルかな。
踏み込んで逆袈裟をすると、奴はバックステップで若干よろけると。その隙をついて兜割りに持ってこうとしたら、風魔法で距離を稼がれちゃった。
「ふう危ない。中々やるじゃないか。魔法無しで良くここまで出来るもんだ」
「それはどーも。そろそろ本気出してくれないと飽きてくるんだけど、早くしてくれない?」
「そうか、俺は見くびってたみたいだな。なら見せてやろうか、ぬん!!」
なんか大きい声出したと思ったら、エジールの身体が燃え始めたよ。熱そー。
しかも、なんか3人くらいに分身したよ?不思議だね。
「体3つあるよ?」
「これが俺の得意技、『炎分身』だ。この技を攻略できたやつはいない」
ほーん、確かに3人連続で来られたら、厄介そうだね。と、普通の剣士なら思うだろうが、本体がバレバレだ。
「へー、じゃあ俺が第一号かな?」
「楽しみだな。その油の乗った舌が燃える様を見ることが出来るのがな!」
風魔法で身体を浮かせて、空中を飛び回り始める元団長。
3人の身体が交差したりって不規則な挙動を取ってて、動いた軌跡が炎の線になってるね。
「燃えろ!!『炎撃影連斬!』」
三つの炎があらゆる角度から、俺に突っ込んできて、死角がないかに思える感じ?花火みたいできれいだなあ。
「た、たくや!」
んお、リーナ?なんだか俺を心配してくれてるっぽいな?
まあこれくらい大丈夫だけど、一応目くばせでも送っておくか!
そんじゃ、まとめてやっちゃいますよー。
『剣舞・水月映華』




