89話 魔法が使えない俺と魔王幹部イジャ
ゴーレムを出したら、ピエロみたいに嘘くさい笑顔の男が出てきた!
「魔王幹部?お前が?」
「そうだよ?そこの裏切り者の言う通り。よろしくね」
「仲良くはしねーな。魔王の手下だろ?」
「釣れないなぁ、たくやくんは」
名前を知ってるって事は、やっぱ魔王軍内で俺の存在は噂になってるみたいだね。全然嬉しく無いけど。
「あなた、何しに来たの?」
「んー、裏切り者の様子を見に来たのと、あとたくや君の実力を見にかな?」
ミシアの問いに対して、目を合わせず答えるこの幹部野郎。
多分ゴーレムを持ってきたのはこのクソ迷惑な奴だな。
「ゴーレム持ってきたのはてめーだな?んで、採点結果は?」
「うーん、人間としては120点!マイフとやり合っただけはあるかなー」
「そっか、じゃあ殺すか」
「ちょっと!?話になってないよ!?」
こいつ結構フラットな奴だな。
幹部なんて血も涙もないやつらばっかのイメージだけど、案外喜怒哀楽あるのかもな。
「なんか・・・悪い人にあまり見えませんね・・・」
「むー、分からないのです」
アンジェとニナは困惑してる感じだけど、ミシアは殺気立ってるね。
「あなた、今回の件に絡んでるでしょう?」
「んー?今回?なんのことだろー?」
「とぼけるな。あなたのクソみたいな性格なら、こんなとこにあるのには、何かしらの理由があるでしょ」
「心外だなー」って言いながら、ニコニコして頭を掻くイジャ。
クソみたいな性格?なるほどな、嘘くさい笑顔の裏側は肥溜めってことか。
とりあえず斬ってみるか!よっと!
んー、外したなー。というか、こいつ瞬間移動したぞ?
「あっぶないなー、僕はマイフみたいに戦うのは好きじゃないんだけど?」
「そっか?にしては、俺の動きが分かってたみたいだよな?」
「そりゃそうだよ、たくやくん。本気出してないんだから」
あー、そう?実力とか分かっちゃう感じ?見透かされてるみたいで、きもちわりー!
でも一個わかったのは、こいつに敵意はないってことくらいかな。じゃなきゃ逃げないだろうし。
「お見通しってか?」
「君が分かりやすいだけだよ。好きなんだ、人間を見るのが」
人間を見るのが好きって言ってるけど、こいつあくまで自分が上位の存在だって確信してるってことだよな。
「あなた様!気をつけてください!イジャは、快楽の為なら何でもするクズです!」
「え、そうなんですか?やばい人なんですね」
「ゴミなのですー!」
ミシアは俺に忠告してくれてるみたいだね。
なんだ快楽の為に何でもって。ミシアだってそうだったのに。
うわ、イジャってやつめっちゃ笑ってるよ!キモ!なんで?
「ハハハ!!いやーおかし!はぁお腹痛い。ミシアー?人間に謙るなんてどうしたんだい?」
「黙りなさい人間もどき。あなたには一生分からないわ?」
「・・・ふーん、ここで殺してやってもいいけど、今はそれどころじゃないから、見逃してあげるよ」
顔は笑ってるけど、目は笑ってないとはこの事だな。細い目から覗かせる、瞳に光が灯ってないよ。
なんかミシアとイジャがバチバチして、居心地悪いなぁ。
とりあえずもっかい斬っとくか。よっと。
「だー!斬らないでってぇ!もー、今面白いところから俯瞰してたいの!」
「あ?面白いって何が?」
「うーん、じゃあヒント!『魔力増強石』。これなら分かるでしょ?んじゃ!しつれーい!!」
「おい!」って声かけたけど、奴は謎の黒い楕円の中に吸い込まれていなくなっちゃった。
魔力増強石、これがヒントだって言ってたね。
あいつが今回の件に絡んでる事が、これで決まったと言っても過言じゃないな。
ミシアが近づいてきたね。
「すいませんあなた様。わたくし、ついカッとなってしまって」
「いいよ別に、俺の事心配してくれたでしょ?ありがとう」
「あ、や!!あー!わたくし、感謝の言葉を受けて死んでしまいそうです!!!」
「なんで?」
感謝と死ぬの関連性は分からないけど、とりあえず喜んでるらしいことは分かった。
ミシアの後から、アンジェとニナ、リーナもこっちに近づいてきたな。
「魔力増強石とあの人が関係あるって、どう言う事でしょう?」
「むー、ニナ難しい事は分からないのです」
アンジェとニナは考え込んでるみたいだね。一方でリーナは沈黙。何か言いたいのかな?
「リーナ、言いたい事ある?」
「・・・魔力増強石、キルスティン、徘徊するテロス。首席とあの人、関係あるかも」
「うーん、可能性は0じゃないね。まあ何にせよ、首席に直接聞いてみようぜ」
「うん」
って事で、俺らは再びキルスティンに向けて、歩みを進め始めるよっと。




