87話 魔法が使えない俺とキルスティンへの道中
キルスティンに向けて歩いてる俺ら。
一応、リーナが道を知ってるっぽいから、彼女の後ろについてってる感じかな?
もしかしたら、またテロスが襲ってくるかもしれないから、センサービンビンにして、注意を払って進まないとね。
今はちょっとした森を歩いてるんだけど、幸い魔物は出てないかな?
まあ、すぐ倒せるから別に良いんだけど。
「あぁ!あなた様と肩を並べて歩けるなんて、尊過ぎてもう!!」
「ミシアはいつまでそんな状態なの?」
「ミシアさんは寂しかったんじゃないですか?」
「ご主人様は、女性を待たせる男なのですー!」
「おい」
なにやら意味の分からない悪態をつかれてきてる気がするし、しばらく無視しようかな。
リーナはというと、会話には混ざらずにただ、黙々と前を歩いてるね。多分、今まで同世代とか近い年齢の人と話す機会がなかったのかな?
なにか声を掛けるべきか・・・
「リーナって好きな物とかある?」
「・・・?好きとか嫌いとかって意味ある?」
えー・・・ああ、そういう感じ?現実主義というか費用対効果とか気にしたり、そういうタイプ?
顔はすげえ可愛いのに、なんとも無機質だなあ。環境要因でこうなってるんだろうけど、可哀そうだよなあ。
「リーナさん、そういうのは頭で考えるんじゃなくて、心で感じるんですよ」
「頭空っぽにするのですー!」
「可哀そうね、好きって感情がないなんて、昔のわたくしを見てるみたいだわ」
「ミシアはそもそも、自分が好きすぎて宗教やってたじゃん」
「あばばばば」とか言って身振り手振りするミシア。
こいつってこんなポンコツみたいな事する奴だっけ?いい意味で言えば丸くなったってことか。
「まあ、何か色々やってみると、自ずとなにか見つかるよ」
「そうなんだ。あなたはあるの?」
「俺?」
よく考えたら、俺って好きなものある?全然気にしてなかったわ。
こりゃ、リーナに人のこと言えないなぁ。
ん、なんだアンジェ、こっち見て。
「私はちなみにたくやさんが好きです!」
「ニナも好きなのですよー!あと肉!!」
「ちょっと!!あなた様を取らないでくれる!?」
えー、すげぇ困る。嫌とかそういうのじゃなくて、リーナの前でっていうね?
あと、好きの意味違う気がするんだけど・・・
「あなたは、皆んな好き?」
「え!?」
リーナに返答しずらい質問されちまった!
うわ、3人ともずっと俺のこと見てるよ・・・どうしよう、これ言うの恥ずかしくない!?
「えーっと俺は・・・ん?」
俺はその気配に気づいたよ、森から何か来る。しかもでかい。
歩いてるっぽいね、ドシンドシンって等間隔でちょっとした地響きが伝わるからさ。
「みんな、敵だ」
「すごい音ですね」
「臭いはしないのですよ!」
「んー、この感じはあれね」
森から正体を覗かせたのは、岩の塊?って言うの?
5メートルくらいの人型なんだけど、岩を無理やりくっつけた感じで連結してて、腕は長いし足も短い。それに、頭は大きい岩が乗っかってるだけみたいな?
「これは、ゴーレムね。こんな所にいないはずだけど・・・」
「そうなの?」
「あなた様、はい。大体はダンジョンとかにいる魔物なんですけど、こういった森には居ないはずなんですけど・・・」
そんなもんなのか。なんで、そんなやつが俺たちの前に現れたのかは知らないけどね。
でも、道を塞がれたしここで倒しちまった方がいいな。
っと!リーナにゴーレムがぶん殴ろうとしてくるから、急いで担いで退避!
振り下ろした岩の腕で、ちょっとした地震が起きてるよ。しかも、地面にめり込んでるし。
これ、1発でも喰らったらアウトだなー。
「リーナ大丈夫?」
「平気、ありがとう」
リーナを後方にやってと。さて、この岩の塊斬れるかなぁ?普通の岩だったら問題ないんだけど、見た感じ普通でもないだろうしね。
「『テンペスト・ブラスト!』」
「ニナパーンチ!!」
アンジェが魔法を発動したら、空か竜巻みたいな風の渦が出てきて、ゴーレム目掛けて放たれたんだけど、なんか効いてないっぽい?
んで、ニナのパンチを喰らってもゴーレムはピンピンしてるね。
「そんな!魔法が効かないです!」
「手が痛いのですー!!」
ゴーレムって魔法は効かないし、クッソ硬いもんなのか。
「あのゴーレム、少し様子が変ね。普通の個体に比べて魔力耐性が高すぎるのと、硬さも段違いね」
「そんな!どうすれば・・・」
「おー!パンチキーック!!痛いのですー!」
さてと、このデカブツめんどくさいけど、何枚に下ろしてやろうかな?




