85話 魔法が使えない俺とリーナ
医務室に戻ったら、助けた女の子が目を覚ましてたとこ。
ミシアは大丈夫って言ってたけど、一応女の子に具合を確認しとくか。
「えっと、身体はもう大丈夫?」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
平気そうだけど、真顔だし元気はなさそうだね。まあ、あんな化け物に追われてたんだししょうがないか。
「俺はたくや。んで、左からアンジェ、ニナ、ミュラだよ。君は?」
後ろ3人は笑顔で返しながら挨拶するけど、女の子は軽くお辞儀するだけで、感情の乏しさが目立つね。
「私は、リーナ。キルスティンから来た」
「キルスティン?」
なにそれ、初めて聞く名前だなあ。ミシアとアンジェは知ってるっぽいから、割と有名なところなのかな?
「王都には及ばないものの結構大きい街ですよ。優秀な魔法使いがいっぱいいて、魔法エリートのための街です!魔法使いとして行ってみたかったんですあそこ!」
「解説ありがとうアンジェ。そのキルスティンから逃げてきたってことだよね?」
「そう。今、キルスティンが危機に陥ってる」
んー?そんなに強い魔法使いがいっぱいいるなら、そんな危機的状況にはならないよね?
それか、あのテロスと何か関係あるとか?
「危機って何なのですかー?」
「もしかして、あれが関係あるんじゃないかしら?」
ミシアがあれって言ってるけど、何を知ってるんだろ?てか、魔王の配下で意味わからん宗教活動してた癖に、実は色々詳しい奴なのでは?
「あれってなにー?」ってミュラがきいたら、はぁって溜息ついて説明してくれた。
「キルスティンのトップが変わった件ね。最近になって変わったって聞いたのだけれど?」
「ミシアって、結構詳しいんだね」
「や!そ!そんな!!あなた様に比べたら全然!!もうわたくしなんて!!」
「それ、軽く俺の事馬鹿にしてるよ?」
頬を赤らめて身体を左右に揺ってる元配下はともかくとして、その街のトップが変わったことと、リーナが追われたことに因果関係が?
「その人の言う通り」
リーナ曰く、キルスティンの前首席が死んで、新しい奴がトップになったと。んで、その首席が新しくルール?を作ったんだって。
そのルールってのが、一定値以下の魔力保持者を間引くって話らしいよ。
そのルールが制定されてから、テロスと首席の精鋭隊が街中を巡回するようになって、見つけ次第連れ去られるんだって。怖いよねー。
街は封鎖されて、マジでピンチって感じ?思ったより危機的状況だね。
「そしたら、リーナはその一定値以下だから捕まりそうだったけど、上手く逃げれたってことでいいの?」
「・・・」
喋らないってことは、つまりそういう事なんでしょう。
「私は、前主首席の娘だから」
「え!リーナさんって偉い人なんですか!?」
「はうあ!ニナ頭下げるのです!!」
「ええ!びっくりだよ!でも、普通に考えたらそういうのって世代交代とかじゃないの?」
ミュラの言う通りだね。俺のイメージ、国とかって大体世襲制取ってそうだけど・・・ああ、そういう事?
「つまり、外部の奴がトップになって、目障りなニーナを排除しようとしたってことか」
「そういう事。私の父を殺して首席の座に就いたアイツを許せない。・・・でも、誰もあいつには敵わない」
「・・・そっか。そんなに強いんだ、そいつ」
「うん、全然歯が立たない。私は何とか逃げることが出来たけど、でも町の人が今も」
そっかー、恐怖政治だなあ。誰もそいつに逆らえないし、反抗したら終わり。恐ろしいね。
まあ、話は簡単だな。
「じゃあ、俺がそいつぶっ倒せば問題ないんじゃない?俺がリーナをトップにしてやるよ」
「・・・っ!あなた、何言って・・・!」
「あなた様・・・はぁ流石ですぅ。もう愛超えて宿命です・・・」
「ミシアは何言ってんの?」
本当だったらリーナが首席になる予定だったのに、その座を態々ぶんどった偽物の奴なんて、許せねえよなぁ?
「勝てるわけない!あいつは化け物。あなたじゃ全く歯が・・・」
かなり力を分からせられたみたいだね。可哀そうに、ボコボコにしてやらないと。
「あ、たくやさんは最強なので、大丈夫ですよ?ねー!」
「ご主人様なら余裕なのです!」
「たくや君に任せときゃ問題ないよ!」
「流石あなた様です。ああ、この思いどうすれば・・・ちょ!あなたたち!あなた様にくっつかないで!!抱き着かないで!!」
ちょ、苦しい・・・
窒息しそうだけど・・・あ、柔らかいものが・・・
「あなたが勝てると思えない。私はあいつの強さを間近で見てるから分かる。側近の精鋭だって強さが別次元だし・・・」
「大丈夫だって。俺魔法効かないから」
「・・・は?何言ってる?」
「だから、俺に任せな。リーナだってやられっぱなしじゃ悔しいでしょ?大船に乗ったつもりで任せな!」
ってことで、明日の朝にキルスティンに行くことになったとさ。
・・・ん?ボラが医務室に入ってきたぞ?




